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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第七話 決戦!張高ソフトボール部!の、その後
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84/92

1 大京山には行きません

 ぼ~~~~~~~~~っ・・・・・・。

 翌日の放課後、俺は野球部の部室だった(・・・)部屋で、呆然としていた。

今この部屋には俺一人だけ。

もう野球部の部室やなくなったこの部屋に、

野球部の皆が集まる理由はないのやった。

 俺達は昨日、部の存続を賭けた試合で、惜しくも敗れてしまった。

これにより、我が張高野球部の廃部が決定。

という事は、もう俺はこの学校で野球をする事ができず、

という事は、伊代美をマネージャーとして甲子園に連れて行く事もできず、

という事は、甲子園出場を決めた暁に伊代美に告白する事ができず、

という事は、俺はもう一生伊代美と結ばれる事がないっちゅう事やないか!

 な、何という事や・・・・・・。

これじゃあ俺は、何のためにこの学校に来たんや。

ていうか、何のために今まで野球をやってきたんや。

 「はああああ・・・・・・」

 深くて大きなため息をひとつ。

もう何もかもがどうでもよくなってきた。

俺の生き甲斐は、昨日をもって消滅した。

俺はこれから、何を(かて)に生きていったらええんや・・・・・・。

 「ほぅううう・・・・・・・」

 再び深いため息をひとつ。

と、その時やった。

部屋の扉がガチャっと開き、

 「あ、昌也君、ここに居たんだ」

 という声とともに、碇がおずおずと現れた。

それに対して俺が、

 「おう・・・・・・」

 と気のない返事を返すと、

碇は部屋の中に入ってきて、パイプ椅子を出して俺の隣に座った。

 その碇に、俺は尋ねた。

 「他の先輩達はどうしてた?」

 すると碇は浮かない顔をして、力ない声でこう言った。

 「先輩達の教室を一通り覗いて来たんだけど、

皆昌也君と同じように、ショックで呆然としてたよ」

 「そらそうやろうなぁ。対外試合で百連敗するより、

廃部になる方がよっぽどショックやもんなぁ・・・・・・」

 「うん、そうだね・・・・・・」

 碇はそう言って黙り込んだ。

俺も次の言葉が見つからないので、そのまま黙った。

 部屋に重い沈黙の空気が流れる。

そんな中、碇が俺に言った。

 「昌也君は、これからどうするの?何処か違う部に入るの?」

 「う~ん、今更野球以外の事をやりたいとも思わんなぁ・・・・・・」

 「僕も、もっと昌也君と一緒に野球がしたいよ・・・・・・」

 「でも、この学校ではそれがでけへんくなってしもうた訳や」

 「・・・・・・」

 俺の言葉に、碇は再び俯いて黙り込んだ。

が、すぐに顔を上げて、俺にこう言った。

 「ねぇ昌也君。もし良かったら僕と一緒に、大京山に転校しない?」

 「大京山に?マジで言うてんのか?」

 「うん、だってあそこの監督さん、

僕らがここで野球ができないような事になれば、

いつでも来ればいいって言ってたじゃない」

 「ああ、そういえばそんな事も言うとったなぁ」

 「あそこに行けば、また一緒に野球ができるよ?」

 「残念ながら俺は大京山には行かん。行きたいならお前一人で行け」

 「な、何でなの⁉大京山の部長さんも、昌也君の実力を認めていたじゃないか!

昌也君だったら、あの学校でも十分にレギュラーが狙えるよ!」

 「そいういう問題とちゃうんや。

俺は野球をするなら、この学校やないとあかんのや」

 「どうしてなの⁉訳を聞かせてよ!」

 「う、それは言えん。お前に言うと話がややこしくなる」

 「何でだよ⁉僕達恋人同士でしょ⁉」

 「それこそ何でやねん⁉いつから俺とおまえが恋人同士になったよ⁉」

 「この前のデートで、昌也君が僕に告白してくれたじゃないか!」

 「あれはデートとちゃうし告白もしとらん!勝手な事実を捏造(ねつぞう)するな!」

 「ねぇ~、一緒に大京山に行こうよぉ~」

 「嫌やっちゅうたら嫌や!」

 甘え声ですり寄ってくる碇を押しのけながら、俺は叫んだ。



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