2 バッテリー交代
「じゃあ俺、準備してきます」
俺はそう言って自軍のベンチに戻った。
そしてキャッチャーのプロテクターを着けていると、
ソフト部の佐渡さんが、ニヤついた顔で俺の元に歩み寄って来た。
「随分遅まきの登場やなぁ。真打は最後にお出ましって訳?」
「まあ、そんなとこですよ」
佐渡さんの言葉に、俺はそっけなく答える。
すると佐渡さんはマウンド上の碇を見やって続けた。
「あの子がリリーフすんの?随分可愛い子やなぁ。女の子?」
「いえ、男ですよ」
「へぇ、そうなんや。結構あたしのタイプかも。
あんな可愛い子をボコボコに打ち込むなんて、何か気が引けるなぁ」
「まあ、その心配なら全く要りませんよ」
俺は心の底からそう言ったが、佐渡さんは聞く耳持たずに続けた。
「あの子、野球部が廃部になったらウチの部にくれへん?マネージャーにするから」
「まだ廃部と決まった訳じゃねぇぞ!」
一足先にベンチに戻っていた岩佐先輩が声を荒げる。
そしてプロテクターを着け終えた俺も、
「その通りです」
と言って立ち上がった。
「試合はまだ終わっちゃいない。本番はこれからですよ」
「はいはい、じゃあその大した自信を、この後あたしのバットで粉々に砕いたるわ」
俺の言葉を嘲るようにそう言うと、
佐渡さんはネクストバッターサークルの方へ歩いて行った。
あの人が次のバッターか。
こりゃあ尚更打たれる訳にはいかん。
俺の心の中で、闘争心がメラメラと燃えあがった。
メラメラっ!(闘争心が燃えあがる音)




