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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第五話 決戦!張高ソフトボール部!前半戦
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3 今日はスタメン落ち

 「来てないぞ」

 張高のグランドに行くと、キャプテンは険しい表情でそう言った。

ちなみに来ていないというのは、勿論碇の事や。

 「ええ?来てないって、どういう事ですか?」

 驚いて聞き返す俺。

このグランドには既に、野球部とソフト部の面々は一通り集まっている。

しかしその中に、碇の姿はなかった。

 そんな中キャプテンは続けた。

 「来てないものは来てないんや。

君はここに来る時、松山君の家に行かんかったんか?」

 「いや、行きましたよ。

そしたら碇のお母さんが出てきて、

あいつはユニフォームを着て試合に行ったって言うてたんですよ」

 「何やて?それはホンマか?」

 「ホンマですよ。何やったら碇の家に電話して確認しましょうか?」

 「いや、それやったらええわ。

しかし妙やな、試合の準備をして家を出たのに、ここに()らへんっちゅうのは」

 「考えられるのは、気を持ち直して家を出たけど、

来る途中になって、やっぱり嫌になった」

 「もしかして君は、まだ松山君と仲直りしてないんか?」

 「いや、あの、一昨日あいつの家に行ったんですけど、

全く話を聞いてくれなくて・・・・・・」

 「う~ん」

 キャプテンは頭をかきながら考え込んだ後、俺の両肩に手を乗せてこう続けた。

 「今日は君を、先発(スタ)選手(メン)から外す」

 「そ、それって、俺が碇を連れ戻せなかった罰ですか?」

 「ちゃうがな。松山君が()らん以上、この試合の先発投手は岩佐や。

あいつは昔から近藤とバッテリーを組んできたから、

近藤以外のキャッチャーとバッテリーを組むのを嫌がる。

それに君には、グランドの外で仕事をしてもらわなあかん」

 「え?仕事って何です?」

 「決まってるやないか。松山君を探し出して、ここに連れてくるんや」

 「ええ?でもあいつが何処に居るのか、見当もつかないですよ」

 「何を言うんや!君は松山君の恋人やろ!」

 「違いますよ!」

 「とにかく何としても探し出すんや!

今日の試合は矢沙暮高の時と同じく、絶対に負けられへん試合や!

だから松山君の力が必要なんや!」

 「まあ、それは確かにそうですけど」

 「今日の試合は七イニング制や。早ければ一時間ちょっとで試合が終わる。

だからできるだけ早く、松山君を探し出すんや。

彼を説得してここに連れてこられるのは、君しか()らん!」

 「そう、ですね。やっぱり俺が行かなくちゃダメですよね」

 「行ってくれるか⁉」

 「分かりました!俺、碇を探しに行きます!そして何としてもここに連れて来ます!」

 「よっしゃ決まりやな!」

 キャプテンはそう言うと、

周りでウォーミングアップをしていた先輩達を集合させた。

そしてひと際大きな声でこう続けた。

 「聞いてくれ皆!今日は見ての通り、松山君がまだ来てない!

だから今から正野君に彼を探しに行ってもらう!

それまでは俺らだけの力で何とかするぞ!」

 「よっしゃ!」

「分かった!」

 キャプテンの言葉に賛同する先輩達。

そんな中千田先輩が、俺の背中をバシバシ叩きながら(凄くいてぇ!)言った。

 「頼んだで正野!早く松山を連れ戻してくれよ!

岩佐はスタミナと根性がないから、すぐにへばるさかいに!」

 「うぉい⁉本人の前でそう言う事を言うなよ!

聞こえてんだよこの野郎!」

 傍らに居た岩佐先輩が声を荒げ、それを見た回りの先輩達がドッと笑う。

良かった。

岩佐先輩も近藤先輩も、すっかりチームに戻れたみたいや。

 すると、グランドのホームベース付近に立っていた審判のおっちゃんが、

 「そろそろ試合を始めますよーっ!」

 と、両チームのベンチに向かって叫んだ。

 「よっしゃ!今日の試合も絶対勝つぞ!気合入れろよ皆!」

 「おーっ!」

 キャプテンの掛け声に皆が答える。そして、

 「どぉうりゃい!」

 という掛け声とともに、俺以外の張高野球部員が、グランドに飛び出して行った。

頼みますよ先輩方。

俺が碇を連れて戻るまで、何とか頑張ってください!

 グランドに駆けて行く先輩達にそう念じた俺は、

一目散に学校の外に向かって走り出した。

 野球部の存続を賭けたソフト部との一戦。

果たして勝つのはDOTCH(どっち)



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