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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第四話 エースの不在、帰ってきたバッテリー
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10 扉越しの伝言

 俺は家の中に入れてもらい、碇の部屋があるという二階へ上がった。

そして碇の部屋の前に立ち、その扉をノックしながら中の碇に声を掛けた。

 「お~い碇~?()るか~?」

 するとしばらくして、中から碇の声が返って来た。

 「え、その声は、昌也君?」

 「そうや、俺や」

 「な、何でここに?」

 「お前に話があるんや」

 「僕は、ないよ」

 「でも、俺はある。なあ碇、俺の話を聞いてくれ」

 「そんなの、聞きたくないよ」

 「まあ聞けや。あのな、この前お前が見たアレはな、誤解なんや」

 「聞きたくないって言ってるじゃないか!もう帰ってよ!」

 「碇!心配して来てくれた正野君に何て事言うの!」

 傍らに居た光さんが、部屋の碇に声を荒げる。

しかし碇もそれに反発するように声を荒げた。

 「うるさいな!今は誰とも話したくないんだ!僕の事はほっといてよ!」

 「碇!」 

 光さんはそう叫び、碇の部屋の扉を無理矢理こじ開けようとした。

しかし俺はそれを横から制した。

 「おばさん、今日はもういいです。

彼が落ち着いて話ができるようになってから、また来ます」

 「正野君・・・・・・ごめんなさいね、せっかく来てくれたのに・・・・・・」

 そう言って申し訳なさそうに頭を上げる光さん。

それに対して俺は「構いませんよ」と言い、

部屋の碇に向かってこう続けた。

 「おい碇、実はな、明後日の日曜、ウチの学校のソフト部と、

野球の試合をする事になったんや。

場所は学校。そしてその試合で負けたら、野球部は廃部になる」

 「え?廃部?」

 にわかに驚いた声を上げる碇。俺は頷いて続けた。

 「そうや。相手のソフト部は、

この前の矢沙暮高に勝っても劣らへん強豪チームや。

だから明後日の試合、何としてもお前に来て欲しい」

 「・・・・・・」

 「待ってるからな」

 黙り込んだ碇にそう言い残し、俺は碇の家を後にした。


 結局碇の誤解を解く事はできんかったけど、

あの状態の碇には何を言っても無駄やったやろう。

まあとりあえず試合の事は伝えたから、後は碇が来てくれる事を天に祈ろう。

 どうか試合当日、碇が来てくれますように。



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