7 ムカついたからどつきました
という声とともに、背後からキャプテンが姿を現した。
キャプテン、一通り話を聞いとったんか。
それやったらもっと早く出てきて欲しかった。
と、内心思う中、キャプテンは二人の前に歩み寄って言った。
「岩佐、この前の試合の事を気にしとったんやな。
確かに高校生のお前が小学生に打ち込まれるなんて、最悪にカッコ悪いもんな」
あれ?キャプテンは岩佐先輩にトドメを刺しに来たんか?
しかしキャプテンは構わず続けた。
「でもな、そんな事は他の奴らは気にしてないがな。
皆お前達が戻って来てくれるのを、心待ちにしてるんや」
「そんな事言って、本当は俺の事を馬鹿にしてるんだろ?」
自嘲するように岩佐先輩は言った。
それに対してキャプテン。
「うん、してるよ」
えぇーっ⁉
うんって言うてしもうたよこの人⁉
例え心でそう思ってても、実際に口に出したらあかんヤツでしょ⁉
と心の中でツッコんでいると、更にキャプテンは、
「この、アホタレ!」
と叫びながら、岩佐先輩にビンタをかました!
「ぐへぇっ⁉」
地面にすっ転ぶ岩佐先輩。
それを見た近藤先輩が、慌ててキャプテンを止めに入った。
「や、やめてくれ東倉!ガンちゃんの気持ちも分かったってくれ!」
するとキャプテンはその近藤先輩の首元に、
「ちぇすとぉっ!」
と叫びながら、強烈な手刀を打ち込んだ!
「うぐっ!」
膝から崩れるように地面に倒れ込む近藤先輩。
キャプテンはこの二人を殺す気なんやろうか?
冗談抜きでそう思った俺も、慌ててキャプテンを止めに入った。
「落ち着いてくださいキャプテン!とにかく落ち着いて!」
それに対してキャプテン。
「やかましい!俺の事はキャプテンファルコンと呼べ!」
何でやねん。
あかんわこの人、完全に頭に血が昇ってしもうとる。
この人は熱血漢な分、熱くなるとどうにも手がつけられへんくなる。
下手をしたらこの後、更に大変な事になるかもしれん!
ここは千田先輩を呼びに行った方がいいやろうか?
と本気で心配する中、キャプテンは目の前の二人に向かって怒鳴り散らした。
「このアホタレどもが!ゴチャゴチャ言い訳しとらんと、
さっさと野球部に戻って来いボケ!」
すると岩佐先輩は、ビンタされた頬をさすりながらこう返す。
「だって野球部の皆は、俺の事を馬鹿にしてるんだろ?」
それに対してキャプテン。
「してへんわアホ!誰がそんな事言うた⁉」
いや、アンタがさっき言いましたやんか。
心の中でそうツッコむが、キャプテンは堂々と続けた。
「ええか⁉さっき正野君も言うとったけど、今野球部は大ピンチなんや!
このままやと廃部になってしまうかもしれんのや!
パイプになるんとちゃうぞ⁉」
分かってますがな。
「その危機を救えるのは、お前ら二人しか居らんのや!」
「え?お、俺達が?」
「野球部の危機を、救う?」
キャプテンの言葉に、にわかに目を輝かせる二人。
その二人にキャプテンは、一転して優しい口調になって言った。
「俺はさっきお前らをどついたけど、あれは別に、
お前らが憎くてどついた訳とちゃうんやで?
そうやなくて、ムカツいたからどついたんや」
何が違うの?




