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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第四話 エースの不在、帰ってきたバッテリー
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1 マジで碇が来ない

 「どういう事や?」

 ソフト部との試合を二日後に控えた、金曜の昼休みの部室で、

キャプテンは至極険しい顔つきで俺に言った。

 ちなみにキャプテンの言う『どういう事や?』とは、

ここ数日碇が全く部活に顔を出さへん事に対してのモノや。

なので俺は、明後日の方向を眺めながらこう答えた。

 「さ、さあ?どういう事なんでしょうねぇ?」

 碇が部活に来ない事について、俺は

『体調が悪いんじゃないですか?』

と言って誤魔化してきた。

しかしそれも三日目ともなると、

キャプテンがそれを不審に思うのも無理はない。

キャプテンは疑いの目でズズイッと詰め寄り、俺にこう続けた。

 「どういう事なんでしょうねぇやないやろ⁉

ソフト部との試合は明後日に迫ってるんやぞ⁉」

 「そ、そうですね」

 「それやのに、何で松山君は部活に()ぇへんのや⁉」

 「え~と、昨日も言うたように、体調が悪いんじゃないですかねぇ?」

 「それホンマか⁉」

 「ど、どういう事ですか?」

 「俺はどうも、君が何か隠してるように思えるんやけど」

 「ギクッ!さ、さあ、何の事やら?」

 「喧嘩でもしたんか?」

 「い、いいえ?喧嘩なんかしてないですよ?」

 「そやけど君と松山君の間で、何かあったんやろ?」

 「え~・・・・・・まあ、そう言えなくもないような・・・・・・」

 「という事は、松山君にまた部活に来てもらうには、

君が何かしらの行動を起こさなあかんという事やよな?」

 「そ、そうなんですかねぇ?」

 「違うと言うんか?」

 「いえ、俺が動かないとダメです。ハイ」

 「じゃあ君は今日の放課後、松山君の家に行って、彼に謝ってくるんや」

 「や、やっぱり、俺が行かないとダメですか?」

 「他に誰が行くんや?」

 「そうですよね、俺が行かなきゃダメですよね。ハイ」

 「しかしこうなると、

万が一松山君が試合に()ぇへんかった時の事も考えとかんとあかんな」

 「どうするんですか?」

 「アテはあるよ。この前部室の前をうろついとった、あの(・・)二人(・・)

 「ああ、野球部に戻りたいんだか戻りたくないんだか

よく分からないあの人達ですね。

確か名前は、岩佐先輩と近藤先輩」

 「あの二人をチームに呼び戻す」

 「そうですね。どちらにしろピッチャーとキャッチャーは、

チームに二人ずつは欲しいですからね」

 「という訳で正野君、今からその二人を野球部に戻るよう説得してきてくれ」

 「でぇえっ⁉また俺ですかぁっ⁉

何か厄介事は全部俺に押し付けようとしてません⁉」

 「何を言うんや!雑用をこなすのは一年の仕事!

例え君が中学時代に凄い選手やったといえども、特別扱いはせぇへんからな!」

 「それは別に構わないんですけど、

こういう仕事は雑用の域を超えてるような・・・・・・」

 「そんな事はない!

それにあの二人は性格がひねくれ倒しとるから、

同級生の俺らが行っても余計にヘソを曲げるだけや」

 「難儀な人達ですね・・・・・・」

 「その反面あいつらはおだてるとすぐに調子に乗るから、

後輩の君がちょっとおだてたったら、

気を良くしてまた野球部に戻ってくるはずや!」

 「そんなにうまい事いきますかねぇ?」

 「大丈夫!君ならできる!」

 「そ、そうですかねぇ・・・・・・」

 何か、また面倒な事になってきたなぁ・・・・・・。



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