15 存続の条件
その言葉を聞いた野球部員全員が、驚きの声を上げた。
そして口ぐちにキャプテンに質問をぶつけた。
「廃部ってどういう事やねん⁉」
「何でいきなりそんな事に⁉」
「スーパーファミコンって、もう新作ソフト出さへんの⁉」
「金玉って何で絶対に左右が入れ替われへんの⁉
(著者注※少なくとも私はそうです)」
何か後半は全然関係ない質問が飛び交っとったけど、
キャプテンは野球部に関係のある質問にだけ答えた。
「実は今朝校長に呼ばれて、いきなりこう言われたんや。
『野球部を今週一杯で廃部にする』って」
「何で校長がそんな事を言うんだよ?」
ポジションがレフトで前髪が目が隠れるほど長い向井富一先輩が、
そう言ってキャプテンに尋ねる。
それに対してキャプテン。
「校長は、
『野球部は対外試合でロクな成績も残せず、
現時点で公式戦に出られるだけの部員も居ない。
そんな部活に予算を回す余裕はない。
だから野球部を廃部にして、その浮いた部費を他の優秀な部に回す』
ってな事を言うとった」
「そんなアホな話があるかい!」
ポジションがファーストでお父さんが金貸しで
いつもサングラスにリーゼントスタイルの千田銅次郎先輩が、怒りの声を上げる。
そしてポジションがサードで色白で病弱で体が細い手古山修二先輩が、
「かはぁっ⁉」
と血を吐いた。
でもこの先輩はよく血を吐くので、誰もそれについては触れなかった。
するとポジションがセカンドで小柄で無口で無表情な赤島常彦先輩が、
いつもの無表情な顔で、
「・・・・・・」
やっぱり何も言わなかった。
俺は未だにこの人の声を聞いた事がない。
そんな中、ポジションがセンターで髪型がセンター分けで
御両親が何とかセンターで働いている扇多阿太郎先輩が、
顔をひきつらせながらキャプテンに尋ねた。
「じゃあ俺ら、今週一杯でもう野球ができへんようになるんか?
ロクに大会にも出られへんまま終わってしまうんか?」
それに対してキャプテンは、気丈な声でこう答えた。
「いや、まだそうと決まった訳やないんや。
校長は、俺ら野球部にある条件を出してきおってな」
「条件?一体どんな?」
と尋ねる俺に、キャプテンは続けた。
「今度の日曜、俺ら野球部がこの学校のソフトボール部と試合をして、
勝てば部は存続。負ければ即廃部」
「と、いう事は、その試合で勝ちさえすれば、
この部は廃部にならんっちゅう事やな?」
「なんや~」
「良かった~」




