7 んむぅ~♡
翌日。
この日は朝から雨が降っていたので、いつもの朝練は休みやった。
なのでグランドには行かず、直接学校に向かった。
それにしても昨日は色んな事があった。
小暮の意外な悩みを聞いたり、
大京山の監督とキャプテンが、碇をスカウトしに来たり。
まあでも大京山の件については、昨日あれだけキッパリ言うたった事やし、
もう来る事はないやろう。
残る問題は小暮やな。
というてもあの調子じゃあ野球部に入ってくれそうにないけど。
あいつは野球をしていると女らしくなれないから、
野球を辞めたと言うとった。
という事は、例え野球をやりながらでも、
女らしくさえなれれば、また野球をやってもええって事やよな?
でも具体的に、どうすればええんやろう?
う~む・・・・・・。
「どうしたの昌也君?難しそうな顔して」
俺が歩きながら考えをめぐらせていると、
傍らを歩く碇が小首を傾げて尋ねた。
それに対して俺は、
「う~ん、ちょっとな」
と言って、何気なく碇の顔を見た。
こいつは紛れもない男で、制服も男子のを着てるんやけど、
見た目や仕草は妙に女っぽい。
一方の小暮は紛れもない女で、いつも女子の制服を着ているんやけど、
雰囲気や言葉遣いが妙に男っぽい。
だから碇と小暮の性別をそのまま入れ替えたら、
ちょうど良くなるのになぁ。とか思いながら碇の顔を眺めていると、
「んむぅ~♡」
碇が目をつむってキスを迫って来た。
なので俺は碇の頬をつねりあげた。
「い、イヒャイイヒャイ!イヒャイよマヒャヤフン!」
「お前は何故ここで俺にキスを迫る?」
「だ、だって、昌也君が僕を熱い視線で見つめるから、そういう事なのかなと思って」
「・・・・・・」
とりあえずこいつは、野球をやっているにも関わらずこんなにも女っぽい。
という事は、小暮にしても、野球をしながら女らしくなる事は可能なはずや。
よっしゃ、まずは小暮を野球部に入れる事より、あいつの悩みを何とかしたろう。
そう考えたら、心の中のモヤモヤが少し晴れた気がした。
そしてそんな俺の心に呼応するように、
雲がかかっていた空に晴れ間が差し込んできた。
そして更にそれに呼応するように、
「んむぅ~♡」
碇がキスを迫って来た。
「やめんかバカタレ!」




