15 挙動不審な二人組
そして部室にやって来た俺と碇。
すると部室の前で、二人の男子生徒がうろうろしているのが見えた。
一人はやけに背の高い坊主頭の生徒で、
もう一人は小柄でぽっちゃりと太った七三分け頭の生徒やった。
見た目は全く違うけど、二人は同じようにそわそわしながら、
部室の前をうろついている。
何処からどう見ても不審人物やな。
そんな二人の近くに歩み寄り、俺は声を掛けた。
「あのぉ、ウチの部に何か用ですか?」
「うぉうっ⁉」
「はぅぁっ⁉」
俺の問いかけに、二人は同時に驚きの声を上げた。
そして俺から二、三歩後ずさり、あたふたしながら坊主頭の生徒が言った。
「い、いや、別に、用という程のモンじゃねぇぞ?
ただ偶然、たまたま、ここを通り掛っただ」
「そうそう!」
七三頭の生徒がそれに相槌をうつ。
それに対して俺は、眉を潜めながら続けた。
「たまたま通りかかったって言いますけど、
ずっとここをうろうろしとったやないですか」
「ぎくっ!な、何の事かなぁ?」
そう言って露骨にうろたえる坊主頭。
益々(ますます)もって怪しい。
しかもこの二人、よく見るとどっかで会ったような気がするんやけど、
はて?誰やったかいな?
・・・・・・あ!思い出した!
なので俺は、二人をビシッと指さして言った。
「ああっ!よく見たらあなた達は、
ちょっと前に野球部を辞めた先輩方やないですか!」
そう、この二人は、前に野球部が小学生チームに負けてしまった次の日に、
そのショックで野球部を辞めた、
ピッチャーとキャッチャーの人達やった(第一巻第二話参照)!
ちなみに長身の坊主頭の人がピッチャーで、
小太りで七三分けの人がキャッチャーや。
野球部を一度辞めた二人が、
どうして野球部の部室の前をうろついていたのか?
考えられるのはただひとつ。
なので俺はそれを二人に言った。
「もしかして、また野球部に戻りたくなったんですか?」
それに対して坊主頭の先輩は、顔を真っ赤にしながらこう答えた。
「バ、バ、バッキャロウ!そ、そ、そんな訳ねぇだろ!」
続いて七三分けの先輩。
「お、俺達は別に、また野球部に戻りたいなんて思ってるんとちゃうぞ!
勘違いすんなや⁉」
そして二人は踵を返し、猛ダッシュで部室の前から去って行った。
「な、何やったんや?あの二人・・・・・・」
呆れた口調で俺が呟くと、傍らの碇が人差し指を顎にあてながら言った。
「やっぱりまた、野球部に戻りたいんじゃないかなぁ?」
「でも本人達は激しく否定しとったぞ?」
「一度辞めるって言った手前、素直に戻りたいって言えないんだよ。
ツンデレだなぁ」
「嫌な表現をするなよ・・・・・・」
というやりとりをしていると、背後からキャプテンが声をかけてきた。
「部室の前で何を話してるんや?」
「それがさっき、ちょと前に野球部を辞めた二人の先輩が、
部室の前でうろついてたんですよ」
「ああ、岩佐と近藤やな」
俺の言葉に、キャプテンは事もなげにそう言って頷いた。
「何か、また野球部に戻りたそうな雰囲気でしたけど」
と碇。するとキャプテンはこう答えた。
「ああ、あの二人はこの前に限らず、
試合で負けるといじけて部活に来ぇへんくなるねん。
そんで半月くらいしたら、またひょっこり現れるんや」
「困った人達ですね・・・・・・」
俺がそう言うと、キャプテンはケラケラ笑いながら続けた。
「もう慣れたわ。まああの二人も根はいい奴らやから、
戻ってきたら仲良くしたってくれ」
「はあ」
「分かりました」
キャプテンの言葉に頷く俺と碇。
するとキャプテンは一転して真顔になり、俺に言った。




