5 お豆腐とおワカメのお味噌汁
そしてその日の夕方、碇と別れた俺は、家に帰り着いた。
描写は全て省いたけど(男同士で遊ぶ様子を見たいですかい?)、
今日は碇と色んな所に行った。
カラオケにゲーセン、バッティングセンターにファミレス。
碇は終始ハイテンションで、俺をあっちこっちに引っ張り回してくれた。
おかげで俺は体も心もヘトヘト。
でもまあ碇の奴はご機嫌やったので、
これからまた部活にも専念してくれるやろう。多分。
それより、小暮はどうすれば野球部に入ってくれるやろうか。
あいつ自身はもう野球をする気は全くないみたいやけど、
やっぱり戦力としてあいつの力は欲しいんやよなぁ。
あれだけの野球センスの持ち主は、そうそう居らへんし。
でも逆に、あんだけのセンスを持ちながら、
何で小暮はあっさり野球を辞めてしもうたんやろう?
もしかして碇みたいに、何か深い訳でもあるんやろうか?
それが分かれば、また小暮に野球をやらせる手がかりになるんやけど・・・・・・
まあ、明日にでも本人にきいてみるか。
とか考えながら茶の間でゴロゴロしていると、
ウチの母ちゃん
(名は和枝。歳は、本人は三十代と言い張っているが、実際は四十四歳)
がふすまを開けて顔を出し、オタマを持ちながら俺に話かけてきた。
「昌也、ちょっとええ?」
「何?」
「あんた、ちょっと近くのスーパーに行って、ワカメ買うてきてくれへん?」
「ええ?嫌やメンドくさい」
「今、お豆腐とおワカメのお味噌汁を作ってんのよ」
「ワカメに『お』を付けるのはおかしいやろ」
「ワカメを買うのを忘れとったんよ」
「そんなん知らんがな。何で俺が行かなあかんねん」
「だってワカメがないと、ワカメのお味噌汁を作られへんやないの」
「別にワカメの味噌汁やのうてもええやないか」
「そんなん言わんと買って来てぇや。増えるワカメちゃんの方でええから」
「いや、俺は別にワカメの種類を嫌がってるんとちゃうねん。
買いに行く事自体を嫌がってんねん」
「ワカメがあなたを呼んでいる」
「呼んでへん」
「何でそんなにワガママ言うの!
そんなんやったら今日のお味噌汁にワカメ入れたれへんで⁉」
「だから入れんでええって言うてるやろ!そこまでワカメが好きでもないし!」
「このワカメ面!」
「それを言うならワカラズヤやろ!ワカメ面って何やねん⁉」
「顔の皮膚が全てワカメ」
「顔色が悪過ぎる!」
「ツベコベ言うな!」
「ツベコベ言うてんのは母ちゃんやろ!」
「うるさーい!ワカメーッ!」
「何やねん、もう・・・・・」




