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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第二話 碇の不満、小暮の悩み
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2 誰かさんの態度次第

場所は再び野球部の部室。

俺、キャプテン、鹿島さんを前に、碇は頭をポリポリかきながら言った。

 「えーと、何か、大京山っていう学校の監督さんが、

僕をスカウトしたいらしいんです」

 するとそれを聞いた鹿島さんが、目を見開いて声を上げた。

 「大京山っていうたら、甲子園で春夏連覇を達成した超名門やんか!

そんな名門校にスカウトされるなんて凄い!」

 「そんな事を言うてる場合か!」

 鹿島さんの言葉に、キャプテンが口を挟む。

 「松山君は我が張高野球部期待のエース!

俺らが甲子園に行く為の希望の星なんや!

それを甲子園の優勝校やからって、そう簡単に引き抜かれてたまるかい!

なあ正野君!君も何か言うたれ!」

 キャプテンがそう言って俺に話を振ってきたので、俺は碇に尋ねた。

 「お前自身はどうしたいんや?」

 すると碇はやにわに頬を(ふく)れさせ、そっぽを向きながらこう答えた。

 「さぁて、どうしよっかな~」

 「なっ⁉それはどういう事や⁉まさか、大京山に移ってもええっちゅう事か⁉」

 碇の言葉に驚きの声を上げるキャプテン。

それに対して碇は、

 「まあ、()かさん(・・・)の(・)態度(・・)次第(・・)では、そういう事もあるかもしれません」

 と言って、席を立って部室から出て行った。

 「な、何といういう事や・・・・・・」

 頭を抱えるキャプテン。

まあでも甲子園を目指す高校球児なら、

少しでも強い野球部に入りたいと思うのは当然の事。

碇はもう野球に対するトラウマはなくなった訳やから、

もっと強いチームに移りたいと思っても不思議ではないわな。

 と考えていると、鹿島さんがジト目で俺の事を見やりながら言った。

 「それにしても、松山君が言ってた誰かさんって、一体誰の事やろうねぇ?」

 しかしその目は明らかに

『あんたの事やろ』

と言っていたので、俺はややたじろぎながら鹿島さんに言った。

 「お、俺の事やって言うんですか?

何で俺の態度次第で、碇の今後の行動が決まるんです?」

 それに対して鹿島さん。

 「だって正野君は、松山君の恋人やんか」

 「誰が恋人ですか!」

 「でもさっきの松山君、何か不機嫌そうやったやん?

あれって正野君に何かしらの不満があるんとちゃうの?」

 「ええ?」

 鹿島さんにそう言われ、頭をひねる俺。

確かに昨日の部活からこっち、碇はやけに不機嫌そうやった。

それが俺のせいやと言うんか?

しかもそれが原因で、あいつは転校まで考えてるってか?

そんなアホな。

 とか考えていると、キャプテンがやにわに俺の胸ぐらを掴んで言った。

 「君が原因やったんか!一体松山君に何をしたんや⁉」

 「ええっ⁉俺別に碇に何もしてませんよ⁉」

 「何もしてないのに松山君がよそのチームに行くなんて言う訳ないやろ!

何か心当たりはないんか⁉」

 「こ、心当たりって・・・・・・」

 正直、心当たりがない訳ではなかった。

碇が俺に対して怒る理由。

それは、俺が碇と遊ぶ(デートとちゃうぞ!)約束を完全にすっぽかしている事。

だから昨日の定山との勝負でもあんなにやる気がなくて、

さっきもあんな事を言うたんやろう。

 そんな中鹿島さんが、右手をヒラヒラさせて俺に言った。

 「何にしろ、正野君が松山君に謝らんとあかんやろうね。

そうでないと、ホンマに松山君は大京山に行ってしまうかも」

 「う・・・・・・」

 あいつならホンマにやりかねんな。

そう思っていると、キャプテンが激しい口調で続けた。

 「とにかく一刻も早く松山君と仲直りするんや!

もし松山君が大京山に転校するような事になったら、俺は君を許さへんからな!」

 「わ、分かりました・・・・・・」

 何か、面倒な事になってきたなぁ・・・・・・。



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