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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第二話 碇の不満、小暮の悩み
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19/92

1 校長室へ急げ!

 ダダダダッ!

 さっきに続いて昼休み。俺とキャプテンは、

校舎二階にある校長室に向かって猛ダッシュをしていた。

 さっき部室にやって来た鹿島さんは言った。

碇がこの学校を辞めるかもしれないと。

 話によると、鹿島さんはさっき、

校長室に入っていく碇の姿を見たらしい。

そしてちょっと気になったので入口の所で聞き耳を立てていると、

中から校長が碇に転校を勧める声が聞こえたそうや。

その時他の先生に盗み聞きをしている所を見つかって逃げて来たので、

それ以上の事は分からんかったらしいけど、

ウチの校長が碇を呼び出して何かを言っていたのは事実。

なので俺とキャプテンは、校長室に行って直接話を聞く事にしたんや。

 階段を駆け上がり、二階の校長室の前に辿り着いた俺達。

この中に碇が居る。

俺はノックもせずに、

そのやけにゴージャスな造りの校長室の扉を開け放とうとした。

するとそれより先に中からガチャリと扉が開けられ、そこから碇が姿を現した。

 「碇!」

 「え?昌也君?どうしてここに?」

 俺の姿を見て目を丸くする碇。

その碇の肩をガシッと掴んだキャプテンが、それを揺さぶりながら叫んだ。

 「松山君!この学校を辞めるっちゅうのはホンマか⁉

という事は、ウチの部も辞めてしまうっちゅう事か⁉」

 「わ、わ、落ち着いてくださいキャプテン」

 キャプテンに肩をガックンガックン揺らされ、

碇は目を白黒させながら言った。

確かにこれやと碇もまともに話ができないので、

俺も一旦キャプテンを落ち着かせようとした。するとその時、

 「何だね騒々しい」

 と言いながら、グレイのスーツを着た白髪頭

(そしててっぺんがちょっとうっすらしている)の校長が姿を現した。

 「校長先生!」

 それを見たキャプテンは碇の肩を離し、今度は校長に詰め寄った。

 「松山君に転校を勧めたっちゅうのは本当ですか⁉

どういう事が説明してください!」

 それに対して校長は、やれやれといった様子でこう答えた。

 「君は確か野球部の部長だったな。ならば説明してあげよう。

実は先日ある野球の名門校から、

松山碇君を特待生そして招きたいという申し入れがあってね」

 「なっ⁉それってつまり、

よその学校のチームがウチの松山君を引き抜こうとしてるって事ですか⁉

その名門校って、一体何処です⁉」

 声を荒げるキャプテン。

しかし俺は校長が言ったある名門校というのにピンときたので、こう言った。

 「それって、大京山(だいきょうざん)高校じゃないですか?」

 「何やって⁉」

 俺の言葉にキャプテンは驚きの声を上げたが、校長は至って冷静に答えた。

 「その通りだ」

 やっぱり。じゃあ昨日グランドに来た定山は、

碇の実力を確かめる為に偵察に来たんやな。

 「そういう訳だから、後は本人に聞きたまえ。ただし、ここ以外の場所でな」

 校長はそっけなくそう言うと、さっさと校長室の中に引っ込んだ。

 そんな中キャプテンは、静かな口調で碇に言った。

 「とりあえず、詳しい話を聞かせてくれるかな?」

 それに対して碇も、

 「分かりました」

 と、静かに頷いた。



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