12 碇、学校辞めるってよ
そんな事があった次の日の昼休み。
俺はいつものように部室でキャプテンと昼飯を食っていた。
そして二人で飯を食いながら喋っていると、
「大変やーっ!」
という声とともに、栗色の髪をポニーテールにした女子生徒が、
バァン!と部室の扉を開けて駆け込んできた。
「何やねん、相変わらず騒がしいやっちゃなぁ」
その女子生徒を見たキャプテンが、うっとうしそうに言う。
そんな彼女の名は鹿島栞さん。
キャプテンと同じく二年生で、新聞部に所属している。
ちなみにこの人は密かにキャプテンに片思いをしてるんやけど、
(というても、キャプテン以外の野球部員は皆その事を知っている)
その話は今はおいておこう。
そんな鹿島さんが、息を切らしながら言った。
「た、大変や!」
「それはさっき聞いた。だから何が大変やねん?」
そう言って眉を潜めるキャプテンに、鹿島さんはこう言った。
「あ、あのね、これを聞いても驚いたらあかんで?どぇええっ⁉」
「何を一人で驚いとんねん⁉まだ何も言うてへんやろ!」
「いやぁ、これはやっぱり基本やから」
「そんな基本は要らんねん!ええから早く要件を言え!」
「わ、分かった。ほんなら驚かずに聞いてな?あのね、実は──────」
「えーっ⁉そうやったんかぁっ!」
「って、まだ何も言うてへんし!」
「基本や基本!」
「そっかーっ!これは一本取られたなーっ!」
「ざまあみろ!」
何なんやこのやりとりは?
この二人は仲がいいのか悪いのかよく分からんぞ。
ていうかこの調子やと、鹿島さんの言う大変な事って、
別に大した事ではないんとちゃうか?
そう思った俺やけど、とりあえず鹿島さんに聞いた。
「それで、鹿島さんの言う大変な事って、一体何なんですか?」
それに対して鹿島さんは、大して大変でもなさそうな軽い口調でこう言った。
「ああ、何か松山君が、この学校を辞めるかもしれへんらしいよ?」
「へぇ、そうなんですか」
ほら、やっぱり大した事やなかった。
碇がこの学校を辞めるかもしれへんなんて、
別に大した事でも何でも・・・・・・いいいいいいぃっ⁉




