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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第一話 ソフトボール部の壁、強豪校からの刺客
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6 ソフト部の部長

 「あんた、ウチの部員に何やってんねん」

 と、背後からトゲのある声がした。

その声に振り返るとそこに、

黒い髪をポニーテールにした長身の女子生徒(俺よりデケェ)が、

鋭い目つきで俺を見下ろしていた。

 「な、何ですかあなたは?」

 そのえも言えぬ迫力に、俺はたじろぎながら尋ねる。

すると傍らの小暮が、その女子生徒の名を呼んだ。

 「あ、佐渡(さわたり)部長」

 ん?部長?

という事は、この人がソフト部の部長なんか?

 と思っていると、佐渡と呼ばれたその人は、

俺の事をギロリと睨んでこう続けた。

 「あたしは張高ソフトボール部の部長、佐渡天音(さわたりあまね)

学年は三年。ポジションはキャッチャー。あんたは?」

 「お、俺は、張高野球部一年の、正野昌也です。

ポジションはキャッチャーです」

 「野球部?野球部のあんたがウチの小暮に何の用なんよ?」

 「彼が、嫌がる俺を無理矢理野球部に引き抜こうとしているんです」

 佐渡さんの問いかけに、小暮がそう言って口を挟んだ。

するとそれを聞いた佐渡さんは、一層目つきを鋭くして俺に言った。

 「引き抜きとはナメたマネしてくれるやないの。

あんた、ウチの部に喧嘩売ってんの?」

 う、女子やのに凄い迫力。

目つきの怖さだけなら、ウチの千田先輩とええ勝負かも。

しかしここで引き下がっては男がすたるので、俺も(ひる)まず言い返す。

 「別にソフト部に喧嘩を売るつもりはありませんよ。

ただですね、小暮は中学時代に野球をやっていたんですよ。

しかも全国優勝したチームでレギュラーやったんですよ。

そんな凄い選手が同じ学校に居たら、勧誘するのは当然やないですか」

 「中学時代に何をやっていようと、

小暮は自分の意志でソフト部に入ったんや。

それをあんたがとやかく言う権利はないやろ」

 「確かにそうかも知れませんけど、

ウチのチームが甲子園を目指すには、小暮の力がどうしても必要なんですよ!」

 「甲子園?あんたらみたいな弱小チームが?キャーッハッハッハ!」

 俺の言葉を聞いた佐渡さんは、そう言ってゲラゲラ笑いだした。

 「キャッハッハッハ!アホな事言うたらあかんで。

甲子園出場どころか、創部以来一勝もした事ないくせに。

この前なんか、小学生のチームに負けとったやんか」

 「あ、あの時はちょっと調子が悪かったんですよ!

それにこの前の練習試合では、初勝利もしましたし!」

 「たかだか一勝したくらいで何調子乗ってんねん。

もうこれ以上あんたと(しゃべ)っとっても時間の無駄や。

小暮、今からソフト部のミーティングがあるから、あたしと一緒においで」

 「分かりました」

 そう言って佐渡さんと小暮は、さっさと俺の前から立ち去ろうとした。

 「ちょ、ちょっと待てや小暮!話はまだ終わってへんぞ!」

 慌てて呼び止める俺。

すると小暮は立ち止って俺の方に振り向き、

 「もう、俺につきまとわないでくれ」

 と抑揚のない声で言い、(きびす)を返して去っていった。

その後姿を眺めながら、俺はギリッと奥歯を噛みしめた。

 小暮の奴、俺がこんなに熱心に誘ってんのににべもなく断りやがって。

おまけにあのソフト部の部長、完全にウチの野球部を馬鹿にしとる。

 そう思うと、腹の底から怒りが湧き上がってきた。

 ボコボコボコ(怒りが湧き上がる音)。



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