4 じゃ、そういう事で
う~む、完全に誤解されとる。
早いうちにこの誤解を解かんと、伊代美との距離がますます広がってしまうぞ。
と思っていると、教室の中から小暮双菜が現れた。
黒髪のボブヘアーに整った顔立ち。
全体的に男っぽい雰囲気をかもしだしていて、
男子の制服を着ても、全く違和感はないやろう。
男子よりも女子にモテるタイプやな。コンチクショウ!
そんな小暮に、俺は下手な愛想笑いを浮かべて言った。
「よ、よう。悪いな、いきなり呼び出して」
すると小暮はやにわに俺に頭を下げ、開口一番こう言った。
「この前は、ゴメン」
「へ?な、何が?」
小暮の予期せぬ言葉に、俺は目が点になった。
そんな俺に小暮は、顔を上げて続けた。
「この前の試合で、俺は君にひどい事を言って殴っただろう?」
「え?あ、ああ、その事かいな。別に気にする事ないがな。
あれは碇の本当の力を引き出す為の演技やったんやろ?」
「まあそうだけど、それでも君には悪い事をした。この通り」
「だから、謝らんでもええって。俺は全然根に持ってないから」
「許して、くれるのか?」
「おうよ」
「そうか、ありがとう。じゃあ、そういう事で」
小暮はそう言うと、踵を返して教室に戻ろうとした。
それを俺は慌てて呼び止めた。
「ちょっと待った!話はまだ終わってないんや!」
すると小暮は立ち止って振り向き、にわかに眉を潜めて言った。
「何だよ?君はこの前の文句を言う為に、俺の所に来たんだろう?」
「だからその事は最初から気にしてないっちゅうに!
そうやなくて、俺はお前を野球部にスカウトに来たんや!」
「じゃ、そういう事で」




