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ぼっちが学年二代美少女に憧れた結果  作者: 豚太郎
中編 俺と優し過ぎる彼女と球技大会
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第32話 種目選択

 飛鳥と幼馴染だと告げた時の反応はまちまちだった。

 小田と姫野は声を上げて驚き、柊と古賀、橘は驚きながらもどこか腑に落ちたような顔をした。


「え!? 美少女の幼馴染とかそれってどこのラノベ主人公でござる!?」


「飛鳥ちゃんって隣の県から来てたよね〜? つまり、それってどんな確率〜!?」


「確率の問題じゃねぇだろ。でもなるほどなぁ、だから朝一緒に登校してたのか」


「よく二宮君のこと気に掛けてましたもんね」


「そうそう、さっきの話の時も驚いてなかったし、知ってたんだね。仲良さそうだとは思ってたけど」


「そうかしら」


 飛鳥は相変わらず澄ました表情をしている。


「こんなのと幼馴染だと知られてしまったわ」


「おい、こんなのって言うなよ」


「もう終わりね。転校するしかない」


「そこまでショックなのか」


「貴方が転校するのよ?」


「俺かよ!?」


 飛鳥に理不尽な仕打ちを受けていると、水瀬がふふっと笑い、皆の方を向いて言った。


「ほら、凄い仲良いでしょ?」






「そういや球技大会、お前らどうするんだ?」


 飯を食っていると柊が言った。

 球技大会は今週末に開催される。

 今朝担任から正式に通達があって、男子の種目はやはりバドミントンとバスケットに決まったようだ。

 

「拙者達はバスケでござる。控え安定でござるな!」


 堂々とサボりを宣言する小田。他のオタク達も同様ということだろう。


「ま、バドの方は人数少ないから出なきゃいけねぇしな……俺もバスケかなぁ」


 自分から話題に出しておいて、柊もやる気無さげである。


「俺はバドにするよ」


 弁当を綺麗に食べながら、さらりと言う橘。


「はぁ!? お前出たら優勝確定だろうが! 考えろバドミントン部!」


「確かハンデもあったと思うし、まだ優勝とは限らないと思うけど」


「いーや、優勝するね! お前が負けるとこ想像出来ねぇもん!」


「二宮はどうする? 良かったらバドにしないか?」


 言って、じっと俺を見てくる橘。俺はハンバーグを口に入れながら頷いた。


「じゃあ、バドにするわ」


「……よっし」


「あーあ、ご愁傷様。橘の引き立て役確定じゃん」


「早く終わったら拙者達と一緒にオタ話でもするでござる」


 勧誘が成功して嬉しそうな橘と、からかってくる柊、既に慰めにかかっている小田。反応は三者三様である。


「ま、こういう時でもねぇと、運動部の活躍の場って体育祭くらいしかねぇからな。橘もやっぱり、女子にアピールしたくなったってとこか?」


「……まぁ、アピールってところはその通りかな」


 橘の意外な言葉に柊が追及しかけたが、そこに割り込んできた奴がいた。


「なになに!? 橘君はバドミントンに出るの!?」


 水瀬である。まぁ女子4人も隣で食べてるし話も聞こえてるか。


「そんなの優勝確定じゃん! じゃあ、バスケの応援行こっと!」


「女子は種目なんだっけ?」


「バレーと卓球だよ〜、バレーが人気で、余った人は卓球かな〜」


「余った人とかサラッと言います?」


 姫野を古賀がたしなめる。


「個人種目が好きな人だっているのです」


「それな、ほんとそれ。団体種目の方が上って風潮はおかしいぞ」


 俺が思わず言うと、古賀もうんうんと頷く。


「へ〜、じゃあ二宮君はバドの方に出るんだ〜?」


「橘に誘われてな」


「へぇ」


 飛鳥はそれだけ呟いてまた弁当を食べ始めた。

 ああもう、なんか調子狂うな。


「あ、そう言えば水瀬氏、この間貸したアニメの件〜」


「おー! あれね! マジ面白かったよー!」


「その話、俺も混ぜろ!」


 その後小田と俺と水瀬でアニメの話で盛り上がり、他の奴らを呆れさせた。いやほんとに面白いから。見てみ? ギアス。







 









 ――その日の放課後。


 学校を出た俺は、ある場所を訪れていた。


 背中には物置の奥に仕舞われていたバッグを担いでいる。……これを使うのも二年ぶりか。

 少し感慨深い気持ちになりながら、駐車場から目の前の建物を見上げる。


「……よし、行くか」


 一つ息を吐いて、歩き出す。


 近づくにつれ、入口に人影があることに気づく。

 俺と同い年くらいの女の子だ。

 短パンからすらりと伸びた白い脚がまぶしい。

 ウィンドブレーカーを羽織ったその子は、モデルと見間違うほどスタイルがいい。……って。




「――やっぱり来たわね」



 驚愕に目を見開いた俺の正面。()()()の壁に寄り掛かっていた俺の幼馴染は、そう言って身を起こした。


「……何で、分かった」


 ここに来ることは、誰にも言っていなかったはず。

 飛鳥はこてりと首を傾げた。長い黒髪がさらさらと零れる。

 

「さっきバドミントンに出るって言った後、私の方を見たじゃない。あれって、『放課後練習に付き合って下さい』って意味かと思ってたけど」


「そんな複雑なアイコンタクト取った覚えはねぇ!」

 

「でもそのつもりで来たのよね?」


「……」


 俺は返す言葉を失い、ガクリと項垂れた。

 背負ったバッグ内のラケットがガチャリと音を立てる。

 

 こいつの言う通りだった。

 球技大会まであと一週間ちょっとある。

 それまでに少しでも練習しておきたかった。

 それは勿論、


「未来の為、よね」


「…………」


「見た目が改善されても、学校での貴方の評判はマイナスからせいぜいちょっとプラスになったくらい。未来と釣り合やせるためには全然足りない。だから、手っ取り早く評価をあげるために球技大会で活躍したい――なんて、考えてるのかと思ったけれど」


 すらすらと言葉を紡ぐ彼女に、俺はせめてもの反論をしようと口を開く。


「……それじゃ結局、俺の為じゃないか?」


「貴方は周りの評判なんて気にしないでしょう? だけど、貴方の悪評で、付き合っていることになっている未来にまで良くない影響が及ぶかもしれない、そのことを恐れているのよね?」


「……でもそれなら、俺が誰にも言わずにここに来ている理由がないよな。橘なりお前なりに話して、手伝ってもらえばよかったじゃねぇか。一人で練習するより、その方が効率的だろ」


 思ってもない言葉を聞いた、とばかりに飛鳥は目をぱちくりと瞬かせた。


「それは……そうだけど。でも、どうしてかしらね、貴方ならこうすると思ったの」


「……」


「私や橘君には部活があるからかしら? ……それでも、私には話しておいた方が良いわよね。他に何かあるわね。多分、合理的じゃない、もっと感情的な理由が」


 正解。

 俺は心の中で、そう呟いた。

 飛鳥は一瞬考え込んでいたが、すぐに顔を上げて、それでどうするの、と問いかけてくる。

 

 ……結局見つかってしまったなら、最早選択肢は一つ。

 俺は出来るだけ白々しく幼馴染に問いかけた。

 胸の内に一つの思いを秘めて。


「次の球技大会、出来る限り勝ち上がりたいんだが。練習に付き合ってくれないか?」


 それは不合理で、だけどとびっきりの原動力。

 俺が隠れて練習しようとしていた理由。

 

 ――せめてお前達の前では、かっこつけていたいんだよ。

 へへっ、短編を書いてみやした。

 良かったら読んでみてくだせぇ。

 https://ncode.syosetu.com/n0413gf/

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