↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第二十章 決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
599/600

悪行の果て



――――黒い鎧と肉塊の中で アルフォス



『お前の悪行もこれまでだな』


 激しい苦痛の中で、その男の耳に聞こえてきたのはそんな声だった。


(悪行? これが悪行だと? 何も分かってねぇ愚物が。

 貴族にはたとえそれが悪行であっても成さなければならないことがある。

 恨まれようと憎まれようと嫌われようと、決断し成さなければならない。

 その責務と役割を背負ってこそ貴族だ、ましてや俺は真なる人間だ。

 俺にしか出来ないことなんだ、無念にも死して世界を奪われつつあることを嘆いてきた先人のために、先人の代わりに成さなければならない!

 これだけの苦痛もそのためのものと思えば耐えられるというものだ)


『誰がそれを望んでいるのだね? 目の前の金色の英雄だって真なる人間だ。

 彼の望みは真逆にあるようだぞ? 我らとは相容れぬ望みではあるが、しかし筋の通った望みであり、責任と役割を背負った行動ではあるぞ』


(だから何だ? 所詮は平民生まれの野郎の浅はかな考えだろう。

 ああいう馬鹿が世の中にいるからこそ貴族が必要なんだ、馬鹿の代わりにすべきことをしてやる必要があるんだ。

 ……平民だってそれが分かっているからこそ甘えてるんだ、甘えて何も考えずただただ従って呑気に日々を生きている、その酷い有様を見れば誰にだって分かる、貴族の義務の尊さというものを。

 自分に甘えた判断と……血と生まれ、その教育から何から何まで洗練された判断、どちらが正しいかは明白だろうが。

 ……この痛みと苦しみが俺が正しいと教えてくれている、目を覚ませてくれている、俺の考えこそ正しいと確信を与えてくれている!!)


『……正しさの末路がその有様というのは哀れですらある。

 いや、それは我らも同じか。

 どうしても今の世が許せない、そこに同意して協力したがそのペナルティを背負う時が迫ってきている。

 我らにとってもこの先に続くのは末路だ。

 ……つまりは最後、そう最後に願いくらいは叶えてやろう。

 どうあれペナルティを背負うんだ、今後のことなど気にせずに好き勝手にやってみるが良い』


 そう言われて元王国貴族、戦場でディアスに邂逅し、踏み潰され……その後迷いに迷って聖地に至り、彼なりの暗躍を続けていた男、アルフォス・マルゲリフは沈黙し、頭を悩ませる。


 苦痛は続いている、高熱に包まれている、今自分の意識があるのが夢か現実かも分からない……それでも願う最後とは何なのか?


 朦朧とし何が正気かも分からなくなっている頭を悩ませる、自分が何を決断すべきなのか……何を残すべきなのか。


 自分がこれから死ぬことは分かっている。


 ……最後に何を残すのか、そのために何をしたいのか、何をするのか……。


 真なる人間のためを考えるのであれば、あの男……ディアスのためになる何かを願うべきなのだろう。


 が、アルフォスにはどうしてもそれが出来なかった。


 悩みに悩んで結局は復讐を優先し、ディアスを殺したいと強く願う。


『それはもう致命的と言って良い願いだ。いや、破滅的かな。

 それでも本気でそう願うのか?』


 念押しされ、アルフォスは更に強く願う。


 何もかもが今更だ、こんな所に来てしまった以上はもうこの願いしかない。


(ディアスを、ディアスを殺させろ!!!)


 そしてそう強く声を上げた……つもりだった。


 しかしアルフォスに最早そんな力はなく、ただただ心の中で願いだけが反響し……それを受けてアルフォスに協力した存在は、アルフォスのことを最後の願い成就のための代償として活用するのだった。



――――空の上で ディアス



 地面に落下していく黒い鎧に急激な変化が起きる。


 形が変わっている。いや、それよりも早く嫌な予感が膨らんでいる。


 このまま落下を見送っているだけでは問題が起きそうだとすぐさま戦斧を構えて、歯車に気合を込めて黒い鎧を追いかけるように動かす。


 と、その瞬間、黒い鎧が弾ける。


 全てが粉々となり、無数の破片となってこちらに凄い勢いで迫ってくる。


 こちらの鎧の魔力が健在ならあんな攻撃、余裕で跳ね返せたのだが、仕方ない。


 可能な限りを戦斧で打ち払い、残りは覚悟して鎧で受けることにする。


「おぉぉぉぉぉ!!!」


 そう言いながら戦斧を振るう。


『歯車も上手く使い給え!』


 言われて軽く足を動かし、盾のように歯車を構える。


 回転しているだけあって歯車は破片を次々に弾いてくれて、更に戦斧を振るうことで破片を弾く。


 直後、破片が一気に襲いかかり、鎧が激しい音を立てて……そして破滅的な音もしてくる。


 ヒビが入り砕ける音、割れる音、穴が開く音。


『いたたたたたっ、鎧との同化がまさかこんなことになるなんてね!?

 だがこちらを気にする必要はない、好きにやり給えよ!!』


 そして大トカゲがそんな声を上げる中、私は戦斧を更に振るい、歯車を構え、迫ってくる破片を弾いていく。


 そうやって前進し、黒い鎧に向かって突き進みトドメをさそうとした……のだが、破片の嵐の中を突き抜けた先にあったのは地面で、黒い鎧の姿はない。


 このままでは地面にぶつかると、慌てて振り返りながら姿勢を立て直す。


 そして空を見上げて黒い鎧のことを探すが……どこにも見当たらない。


 大慌てで高度を上げて、空から周囲を見回すが……やっぱり見当たらない。


『……もう彼は存在しないのだろう。

 詳細は調査中だが、先程砕け散ってしまった可能性が一番高いと思われる。

 ……仮にも聖地が、神々がそんな選択をするとは信じがたいが、現状を分析するにそれしかない』


 そして大トカゲの声……思わず唖然としてしまう。


『……すっきりしない勝利かもしれないが、勝利は勝利だ、喜び給え。

 そして破損についても任せ給えよ。

 今回の破損に関しては神々にも非がある、ゆえに修理をしてやろう。

 投斧、鎧、どちらも任せておき給え』


 更にそう大トカゲが続けてきて、私は安堵のため息を吐き出しながら改めて戦斧を構える。


 よく分からないうちに黒い鎧は倒せたが、周囲ではまだまだ戦争は継続中。


 そもそもの目的はそちらの解決だった訳で、意識をそちらに向ける……が、どうも妙な雰囲気だ。


 エルダンの軍は大盛り上がり、誰もが両手を上げて大歓声……戦争中とは思えない有様だ。


 そしてリチャードの軍は意気消沈、ほとんどの兵が戦意を失ってしまっているようだが、かと言って撤退するでも後退するでもなく、何もせずに呆然としているようだ。


 ……これは戦闘が終わってしまっている、のか?


 そう思いながらも油断出来ないと戦斧を構え直した私は、とりあえず大トカゲが鎧を修復してくれるまでは時間を稼ごうと、堂々と構え威圧感を放ち……そのまま静かに状況を見守るのだった。


お読みいただきありがとうございました!


次回は後始末の始まりやら何やらです


アニメも先行はついに9話!

残り3話となっています!


それでも新キャラ出たり色々ありますので、ご期待ください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アニメから一気にここまで来ました ラストは文字通り手も足も出ないから自爆したってことであってます?メガ〇テ的な
 最後の爆散に紛れて、なにか仕込んでいる雰囲気があるなぁ……
立ってるだけで時間稼ぎできそうなディアスさん。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。