ジュウハからの依頼
現在登場したドラゴンに対するディアスの評価
・アースドラゴン
亀
・ウィンドドラゴン
トンボ
・フレイムドラゴン
ちゃんとしたドラゴン
・アクアドラゴン
ザリガニ
――――イルク村の広場で ジュウハ
歓迎の宴の準備が整って、ジュウハと同行者達は思っていた以上の歓待を受けることになった。
来客を歓迎するのは義務であり当然のことであり、特に今回は外交に絡む公的な客人だからと気合が入っているようで……案内をされた宴席の中央には、食べきれない程のごちそうと酒樽が待っていた。
日が傾き始めて風が心地よく、食欲が増してきた所にこれはたまらないものがあり、更にはもっと豪華な食事が用意されているというのだから驚かされる。
驚かされたのは料理のことだけではない。
イルク村のことはエルダンから何度も聞いていたが、そこから想像していた光景とは全く違うものが広がっていて……以前の来訪から発展していることを加味したとしても、この光景を想像することはジュウハであっても難しかった。
しかもその頭領があのディアスだと言うのだから……戦中も滅茶苦茶なことをした男だったが、戦後になってその無茶苦茶具合には拍車がかかっている。
驚いて驚いて驚いて……ここから更に驚かされるのだろうと考えたジュウハは、小さな笑みを浮かべる。
それから酒と食事を楽しんでいると……ディアスと共に大皿に載せられた料理が運ばれてくる。
丸く大きな魚料理のようだ、皮を剥かれて焼かれて大皿に横たわるそれの周囲には色とりどりの野菜や果物が置かれていて……その全てに手の込んだ調理が行われているらしい。
香辛料もたっぷり、それでいて色々な味が楽しめるように部位ごとに味付けが変わっているようで、それぞれ色合いが違っている。
そしてディアスの手には大きなナイフと重ねられた皿があり……今からそれで切り分けを行うようだ。
「ようこそイルク村へ、喜ばしい客人を歓迎して宴席を設けさせてもらった。
どうか楽しんでいって欲しい」
と、そう言ってからディアスは魚を切り分け始め……客人であるジュウハ達に一番美味しいとされる背中や腹の部位を切り分け、差し出してくる。
ジュウハはそれに真摯な態度と言葉で応じて受け取り、同行者もそれを真似して受け取り……その料理を口に運んだジュウハは、その美味しさに驚きながら次にディアスはどうするのかと興味津々の視線をやる。
客人が第一なのは当然のこと、次は公爵であるディアス、そしてその家族、そこから部下となって……そして一番不味い部位は失策をした者や活躍出来ていない者に回される。
それは当人にとっては惨めで苦しいもので……また切り分ける側にとっても辛いものだが、そうすることで発奮させるという意図もあるし、首長としては欠かすことの出来ない仕事だ。
だがジュウハはここでも驚くことになる。
ディアスは次に美味しい部位を、皿を持って並ぶ子供達に切り分け始めたのだ。
幼い順に美味しい部位を……笑顔で受け取る子供達に不満を抱く者はいないようで、誰もが微笑みながらその様子を見守っている。
そして次に大人達に……並んだ順に切り分けていく、言ってしまえば早いもの勝ち。
こぼれ聞こえて来る雑談から察するに、今日一日よく働いた者が優先して並べるようだが、それでも並ぶも並ばないも個人の判断に委ねられているようで……普通はそんな方法、騒動の原因にしかならないぞと、ジュウハは苦笑する。
その上……ディアスは自分用の皿を最後の最後まで残しているようで……一番美味しくない部位を自分に回すつもりらしい。
領主が……ましてや公爵がそんな真似、許される訳がないのだが、これまた誰も気にしていないようだ。
続いて運ばれてきた肉料理も同様だった、ディアスは魚料理と全く同じ方法で切り分け……誰もそれを気にしない。
「クックックック」
なんて声を上げて小さく笑ったジュウハは、ここで深くあれこれ気にするだけ無駄なのだろうと察し、困惑する同行者達に気にするなと、素直に楽しめと指示を出した上で、今日の宴を存分に楽しむのだった。
――――宴の翌日、広場で ディアス
よく分からない仕事をやらされて、エリーやジュウハ、ダレル婦人がピゲル爺に苦笑された翌日、朝食やら何やらすべきことを終えたタイミングで、アルナーが調合してくれた薬草を食みながらジュウハが近寄ってきて、強引に肩を組んでくる。
昨日飲みすぎて二日酔いになったらしいジュウハは、二日酔いに効くとされたそれを懸命に食んでいて……朝食の時よりは顔色がよくなっているようだ。
「……なんだ?」
私がそう声をかけるとジュウハは、薬草を飲み下してから言葉を返してくる。
「昨晩はありがとよ。
……でだ、オレ様達はこれから大量の手土産と共に隣国に向かう訳だが、お前にも手土産を用意して欲しいんだよ。
色々とやらかした連中の後継とも言えるマーハティの手土産なんかいらねぇと言われるかもしれねぇが……既に付き合いがあって結構な貸しがあるメーアバダルからの手土産は迂闊に断れねぇだろう?
つまりマーハティとメーアバダルの手土産を一緒に差し出せば向こうも断りにくくなるって訳だよ。
関係が終わっていればそれでも断ってくるもんだが……幸いにしてエルダン様はそのやらかした張本人を討っているし、奴隷にされた連中の帰還にも前向きで、事情があって帰還したくない連中と家族の交流会のようなものも開催しようとしていらっしゃる。
ならまぁ、メーアバダルの手土産と一緒なら受け取ってもらえるはずだ。
……ドラゴン素材の端材でも何でも良いから適当なもん、用意してくれねぇか?」
そう言われて私は……なるほど、分かる話だと頷く。
心のどこかで断りたいと思っていても、そう言い出せない状況となったら受け入れるしかない、とかは良くある話なのだろう。
そういうことなら……と、私はジュウハの肩を組み返す、逃げられないように。
「……あん? 何の真似だ? 男と……ましてやお前なんぞと組み合うつもりはねぇぞ?」
するとジュウハがそんなことを言ってきて、私は笑顔で言葉を返す。
「詫びに行くならやっぱり誠意って大事だよな。
誠意を示すにはやっぱり本人が頑張らないとダメだよな、つまりその適当な物を用意するためにジュウハが自ら頑張るべきだと思うんだよ。
と、言う訳で今から手土産となる素材を手に入れるためにモンスターを狩りにいくぞ……なぁに、北部に行けばドラゴンは無理でも何かはいるはずだ」
そんな言葉の途中でジュウハは懸命に肘打ちなんかを繰り出して逃げようとするが、流石にこの状況で力負けはしない。
そのまま強引に朝食の片付けをしているアルナー達、婦人会の下へと向かい、大きな声で宣言をする。
「アルナー! ジュウハと一緒に狩りに行ってくるよ!
なんでも獣人国への詫びの品を自分の手で用意したいそうなんだ!
良い素材が手に入るまでは頑張ることになるだろうから、よろしく頼む!」
すると洗い物をしていたアルナーは笑顔をこちらに向けて、
「それは良いな! 男気があって結構なことだ!」
と、そう返してくる。
それに続いて手伝いをしていたセナイとアイハンや、婦人会の面々もアルナーに続いて「頑張れー!」とか「成果が楽しみです!」とか、わーきゃーとした歓声なんかを返してくれる。
そんな中ジュウハは歯噛みしながらも笑顔を作り出し……断ったり言い訳したりせずに状況を受け入れる。
ジュウハはこういう時……特に女性の前では見栄を張る所がある、これが間違っていることだったりしたなら話は別だろうが、私は特に間違ったことを言っていない。
本音でそう思っている、自分で用意した方が良いだろうと。
絶対にその方が良い結果になるはずだし、ジュウハにとっても良い経験と運動になるはずだ。
このままイルク村に残して酒盛りさせ続けるよりも何倍も健全だろうし、ジュウハに北の……洞人族達が作った対ドラゴン設備も見てもらいたい。
ジュウハの知恵があれば狩りがうんと楽になるのも間違いなく……本当に良いことばかりだと思う。
……実はほんのちょっとだけジュウハをからかう意図もあったりするが、まぁこのくらいなら許してくれることだろう。
そういう訳で狩りに行くことになった私達は、早速狩りのためにとそれぞれ準備を整えるのだった。
お読みいただきありがとうございました。
次回はこの続き、ディアスとジュウハのあれこれです。
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