第51話 戦乱を告げる鐘(後)
「ソーマ! どこへ逃げたっ?!」
エルドア王宮にシェムルの怒声が響き渡った。
絶対権力者であるはずの王を呼び捨てである。他国ならば無礼だと眉をひそませ、ときには不敬罪だと近衛兵たちが取り押さえようと武器を手に駆け出すところだ。
ところが、このエルドア王宮は、他とは少し違う。
宮廷の人々は「やれやれ、またか」と呆れ顔や苦笑を浮かべるだけであった。しかも、そこには否定的なものは含まれていない。むしろ、そこにあるのは好意的な感情である。
そうなるまでには、いくつかの騒動が起きていた。
蒼馬の即位とともに王佐として様々な特権を与えられたシェムルだったが、当初は彼女もしおらしく蒼馬の傍に控えているだけであった。
これに多くの人は、あくまで名分だけの特権だったのだろうと思ったものである。
ところが、それも数日だけのものであった。
建国したばかりのエルドアは、様々な問題や課題が山積していた。そうした様々な事案の折衝のために国の内外の要人らと接見したり、問題の解決を重臣らと協議したりと、蒼馬は連日連夜の多忙を極めていた。そうしたことが何日か続き、ついに根を上げた蒼馬が玉座に座ったままぐったりとうなだれていたときである。
バシンッと肉を打ち合わせる大きな音が謁見の間に轟いた。
居合わせた者たちが何事かと音がした方を見やると、そこには痛そうに顔をしかめて自分の背中をさする蒼馬と、おそらくはその蒼馬の背中を張ったと思われる右手を伸ばすシェムルの姿があった。
「背筋を伸ばして、しゃんとしろ! みっともない!」
容赦ない張り手の音と怒声に、すわ王への反逆かとホルメア国の人間だった衛兵が殺気立って武器を構えようとした。
ところが、元から蒼馬に仕えていたエルフの女官や衛兵らは呆れ顔になるばかりで驚きもしていない。これにどうしたものかと戸惑う衛兵たちの見守る中で、手を上げられた当の蒼馬は怒るどころか、すねて見せたのである。
「いいじゃないか、ちょっとくらい」
しかし、シェムルは容赦しない。
「人前でなければ、私もとやかく言わない。だが、今はおまえを王と仰ぐ者たちの前なのだ。ならば、おまえは彼らの上に立つ者として、常にその姿を誇示し続けねばならん!」
「……わかったよ」
そう言うと蒼馬は渋々ながら玉座の上で居住まいを正したのである。
そして、そうしたことはそれ以降も続いた。
シェムルは蒼馬がだらけた態度を見せようものならば尻を蹴り上げ、弱音を吐くようならば叱咤し、どこかへ逃げ出そうものならば首根っこを引っ掴んで連れ戻したのである。
そんなシェムルを罰するどころか、むしろご機嫌を損なわないようにする蒼馬の姿に、いつしか元ホルメア国の者たちの間に蒼馬を侮る空気が生まれてしまった。
そんなある日のことである。
すっかり蒼馬を侮っていた三人の元諸侯の男たちが接見していたとき、彼らはシェムルの面前で蒼馬を軽んじる発言をしたのだ。
すると、いつものように蒼馬の傍らに黙って控えていたシェムルが、即座にこう言ったのである。
「よし。おまえたちに決闘を申し込もう」
これに元諸侯の男らは驚いた。
王への非礼に注意や叱責するのならばともかく、いきなり決闘――命のやりとりである。非礼をたしなめるにしても、踏まなければいけない手順を三つも四つも跳び越えて、一気に命のやりとりに持っていくとは常識の埒外も埒外。まさに暴挙であった。
「とうてい正気とは思えない」
驚きのあまりに取り繕う余裕もなく、思ったままを正直に口にする元諸侯の男たちを前に、シェムルは「それもそうか」とうなずいた。
それでシェムルが引き下がるだろうと男たちが思ったのも束の間である。シェムルはさらにとんでもないことを言い出した。
「では、こうしよう。まず、おまえと決闘する。次に、おまえ。最後におまえだ。ひとりずつ順番にやれば問題ないだろう」
どうやら三人と同時に決闘するのを正気ではないと疑われたと思ったらしい。シェムルは平然と決闘をする順番を決めたのである。それどころか、二番目と三番目にされた男たちに向けて深々と頭を下げて見せた。
「もし、先の決闘で私が敗れて命を落とせば、この決闘の約を果たせなくなってしまう。そのときは、どうか許して欲しい」
これに三人の男たちは呆気に取られた。
いくら順番にとはいえ、自分ら三人にいきなり決闘を申し込むこと自体が正気とは思えない。そう言われたシェムルは、人間でもそれとわかるぐらい心底不思議そうな顔をして、次のように言った。
「目の前で主君を侮辱されて黙っていられる方こそ、私には正気とは思えないぞ」
何の気負いもなく、ごく当たり前と言わんばかりのシェムルに、男たちはまたもや唖然としてしまった。
これに蒼馬は小さく笑ってからシェムルに「私のために怒ってくれて嬉しいけど、決闘はダメだよ」と諫めてから、男たちへ次のように言ったのである。
「あなたたちの誤解を招いたことは、私からも謝ろう。だが、わかって欲しい。こんな彼女だからこそ、私は彼女を王佐と認め、私に対しての様々な特権を与えているのだ」
これに男たちは平身低頭で蒼馬とシェムルに謝罪したという。
それ以来、シェムルの蒼馬への行いに眉をひそめる者は少なくなった。それどころか、むしろ最近では王である蒼馬には直接に異議異論を述べにくい者たちがシェムルを介して蒼馬へ上申するようになっていたのである。
「ソーマ。その施策は問題が大きいと私は聞いたぞ」
そうシェムルに言われれば、蒼馬は施策を改めて見直し、ときには撤回すらした。逆にまったく問題がなかったとしても、決してシェムルを咎めるようなまねはせず、誰がそう言ったのかと追求することもなかったのである。
このように蒼馬に対して強い影響力を示したシェムルに、取り入ろうとおもねる者たちが出てきたのも当然であった。
ところが、金品を賄賂として送ってもシェムルは「ソーマ! これをもらったぞ」と右から左へと蒼馬へ献上してしまう。歓心を買おうと甘言を弄しても通用しない。唯一彼女に効果的なのは蒼馬を誉め称える言葉だが、それもシェムルは誰それが蒼馬をこう褒めていたと嬉しそうに報告するのだ。そのため、かえって蒼馬から「わざわざシェムルを通じて媚びを売るのは、何か意図があるの?」と勘ぐられ、かえって裏目に出る始末であった。
そうしたことがしばらく続くと、下心ある者たちもシェムルを通じて蒼馬に取り入るのは不可能と思い知らされ、それとは逆に心ある臣下の間では、何かと暴走癖がある蒼馬の良き制止役としてシェムルは認められ、蒼馬が問題を起こす度に彼女へ相談を持ちかけられるまでになっていたのである。
そして、今日もまた「実は陛下から、このような命令をいただいたのですが」と布告官から話を聞いたシェムルが怒りもあらわに謁見の間に乗り込んだのだった。
「どこだ?! ソーマは、どこに逃げた?!」
この時間は謁見の間で重臣らから国内の状況などの報告を受けているはずである。ところがシェムルが乗り込んでみれば玉座はもぬけの殻で、蒼馬の姿はどこにもない。獲物を探す飢えた狼さながらの様子で謁見の間を見回して蒼馬を探すシェムルに、彼女に好意的な重臣のひとりが声をかけてきた。
「王佐殿。陛下ならば、先程貴女の声を聞くなり飛び出していかれましたぞ」
それを聞いたシェムルは牙を剥いて歯ぎしりする。
「おのれ、ソーマめ! ――どこに逃げたかわかるか?!」
「さて困りました。陛下は緊急の事態に備えて、どこへ行くか言い残して行かれましたが、決して口外するなとも申しつけられております」
重臣はそうもったいつけておいてから、あっさりと白状する。
「ですが、王佐殿が王のところへ赴くのを邪魔してはいけないと決められたのは陛下ご自身では致し方ありません。――陛下は西の丘に向かうとおっしゃっておられましたぞ」
「そうか! ありがたい!」
シェムルは一言礼を述べると、四つ足となって謁見の間から駆け出していった。
そんな彼女を見送った重臣は手を大きく打って皆の注目を集める。
「さあ、お逃げになられた陛下も程なく王佐殿が連れ戻されるでしょう。今のうちに報告すべき内容をまとめておきなさい」
自分の指示で動き出した廷臣たちを眺めていたその重臣は、ふと思いついたように言葉を付け足す。
「ああ、それと念のために女官長殿に陛下の怪我の治療の準備をお願いしておきましょう」
それに廷臣たちの間から、小さな笑いが洩れた。
◆◇◆◇◆
王都の西にある小さな丘。太陽の光を浴びて新緑に輝く草の上に大の字になって寝転んだ蒼馬は、無事に逃げおおせられた安堵と、降りそそぐ陽光と吹き抜ける風の心地よさにホッと息を洩らした。
「ああ、危なかった。――でも、何がバレたかな?」
いったい何がシェムルの逆鱗に触れたかと蒼馬は思案した。だが、いろいろと心当たりが多すぎて、かえって見当がつかない。蒼馬は早々に思案するのを諦めると、しばらく時間をおいてシェムルの怒りが収まるのを待つことに決めた。
寝転んだまま大きく身体を伸ばしてから蒼馬は誰にともなく言う。
「最近は、特に忙しかったから、たまにこうしてサボるのも悪くないよね?」
遠慮して少し離れたところに立つシャハタの耳ならば聞こえているはずだが、彼からは何の答えも返ってこない。蒼馬の多忙な状況を知るシャハタだが護衛としては答えにくい問いだろう。
もとより返事に期待していたわけでもない蒼馬は、そのまま軽く目をつぶると、しみじみと呟いた。
「ああ、平和だなぁ……」
こうしていると、即位と建国の儀の夜に現れて不気味な予言を残していったアウラのことが幻のように思えてくる。
もちろん、だからといって油断はしていない。東のロマニア国の動向は、常に注視している。
だが、三年経った今もなおロマニア国王ドルデアは病床に伏せたままで、その意識は戻っていないという。国王不在の中でゴルディア王子が何とか国政を切り盛りしているが、それを不満に思う勢力もあってか、なかなか国がひとつにまとまらない状況らしい。それでは他国へ攻め入ることなど、とうていできはしないだろう。
おかげで、この三年というものはロマニア国と小競り合い程度の戦いはあれど、大きな戦いには至っていない。おおむね平和と言っても良い期間であった。
とはいえ、まったく悪いことがなかったわけではない。
たとえば〈牙の氏族〉のお婆様の訃報である。シェムルとともに蒼馬を最初に受け入れてくれたゾアンの老女が、建国して間もない頃に亡くなっていた。多忙な蒼馬とシェムルのふたりに要らぬ気遣いをさせるのは心苦しいと、体調を崩しても決してふたりへは伝えようとはせず、そのまま氏族の子供たちに囲まれて眠るように息を引き取ったという。
「シェムルは寝小便垂れの小娘だが、我が子のように思っている。我が娘をどうか頼む」
すべての葬儀を終えてから訃報を届けにきたゾアンの戦士から聞かされたお婆様の蒼馬への遺言に「要らぬお節介だ、クソ婆」と口にするシェムルの声も、そのときばかりはいつもの勢いがなかったのを蒼馬は覚えている。
また、ホルメアの大宰相と呼ばれたポンピウスも一年ほど前に亡くなっていた。
ホルメア国からエルドア国への王権移譲をはじめとした様々な手続きとその後の処理を終え、一段落した頃である。正式に蒼馬へ暇乞いをし、翌日には領地に引き払って隠居する予定の日であった。
計ったように同じ時間に起床するポンピウスが、その日に限っていつまで経っても起きてこない。これを不審に思った家人が寝室を覗くと、寝台に横たわったまま静かに息を引き取っているポンピウスの姿があった。
その顔は何か大きな仕事をやり遂げた後のような満足げなものであったという。
この突如の訃報に、蒼馬は驚きつつもその偉業を讃えて国葬を執り行った。
ホルメア国の最盛期をダリウス大将軍とともに支えた大宰相ポンピウスの死は、エルドア国全土に改めてホルメア国の時代が終わったことを実感させるものとなったのである。
それ以外にも、小さな騒動や混乱は挙げればキリが無い。
また、そうした凶事とは逆に喜ばしいことも多かった。
ソルビアント平原で実証したノーフォーク農法の導入も順調に進んでおり、そこへソーマの道建設による好景気も加わって国内は目に見えて豊かになってきている。ドワーフが製造するガラスもさらに品質と生産性が向上し、今や蒸留酒やゾアンの香辛料とともに大陸中央から名指しで買い求められる程だ。また、戦争寡婦の雇用対策のために始めた繊維業が思わぬ成功を収め、今や重要な輸出品としてエルドアの財政を潤してくれている。
そして、何と言っても大将軍として活躍するガラムの結婚という吉事を忘れてはいけない。しかも、妻となったシシュルは今年のはじめに待望の男児を出産し、蒼馬を含めた皆が祝福した。その生まれたばかりの子供のお披露目の際、蒼馬が思わず「まるで犬の赤ちゃんみたいだ」と感想を洩らしたところ、シェムルから「失礼にも程がある!」と特大の拳骨をいただいた。平原で狩猟生活をしているゾアンにとって狼は悪者の代名詞である。その狼と良く似た犬に例えるのは、かなり失礼なことだったらしい。しかし、それも今では良い笑い話である。
そんなことを思い浮かべながら、うつらうつらとしていた蒼馬だったが、自分の顔の上に人影がかかったのに気づいた。
「……ん? シャハタ? 何かあった?」
薄目を開けた蒼馬は、逆光の中にゾアンの姿を認めてそう言った。
しかし、返ってきたのは蒼馬のよく知る声である。
「ほう。こんなところでお昼寝とは、良いご身分じゃないか。なあ、ソーマ」
「! シェムル?!」
一気に眠気が吹き飛んだ蒼馬がコメツキムシのようにして跳ね起きると、そこに立っていたのはシェムルであった。
胸の前で両腕を組み、満面の笑みを浮かべて見せるシェムルであったが、その口許を良く見れば牙が覗いている。牙を覗かせて笑うのは、ゾアンにとって威嚇を意味していた。
蒼馬は離れたところでこちらを見守るシャハタへ目で助けを求めるが、シャハタからは「どうにもなりません」と言うように首を横に振られてしまう。
唯一の希望を振り払われてしまった蒼馬は、とにかくこれ以上シェムルの怒りを買わないように、自らその場に正座して彼女の審判を待った。
正座をしてうなだれる蒼馬にシェムルは顔を寄せると、穏やかな――それでいて押し殺した怒りをひしひしと感じる声で話しかける。
「なあ、ソーマ。我が臍下の君よ。なぜ、私がこんなに怒っているか、わかるか? ん?」
心当たりが多すぎて見当がつかなかった蒼馬は、下手な発言で墓穴を掘るよりも素直に「わかりません」と言った。
すると、笑みに細めていた目をカッと吊り上げたシェムルは、蒼馬の耳をつまみ上げると、そこに口を寄せて怒声を上げる。
「私は何度も何度も何度も言ったよな?! ナットウとかいうのを作ろうとして大豆を腐らせるのはやめろとっ! それなのに布告官に命じて、『大豆を腐らせて作るおいしい食べ物を知っている者に褒美を出す』と布告させようとしただろ!」
鼓膜を破ろうとするかのような大きな声の叱責に、蒼馬は目を白黒させながらも弁解をする。
「だ、だけど……別に私が作ろうとしたわけじゃなくて知っている人がいればなぁ、ってだけで――」
そんな蒼馬の弁解をシェムルは一蹴する。
「この馬鹿っ! 報奨金に銀百枚を出すなどと言えば、金に目がくらんだ国中の人間たちが大豆を腐らせて、よけいにひどいことになるに決まっているだろうがっ!」
そう言うとシェムルは蒼馬の耳を解放してから、その場に仁王立ちになって蒼馬を見下ろした。
「我が臍下の君ながら、もはや我慢ならん! 今日という今日は、徹底的に言わせてもらおう! だいたい、おまえは――」
シェムルは日頃の鬱憤を晴らすかのように、事細かに蒼馬の不行状をあげつらい糾弾し始める。その嵐のように吹き荒れる叱責の言葉に、蒼馬は顔をうつむかせて早く過ぎ去ってくれるのを祈るしかなかった。
そうしてシェムルに叱責されているうちに、蒼馬の口許にふっと微笑みを浮かんだ。
いつかは自ら玉座から下りると宣言しているとはいえ、王となった自分には多くの者たちがそれに相応しいだけの敬意と形式をもって接するようになっていた。それは誇らしく思えるのと同時に、寂しさを覚えることもある。
しかし、その中にあってシェムルだけは以前と変わらぬままの態度で接してくれるのだ。
さすがにもう少し怒りを抑えてくれても良いんじゃないかとは思う。だが、それと同時に、こうして自分がシェムルに怒られているのも平和である証かも知れない。
そんな想いを蒼馬は抱いたのだ。
それが思わず口をつく。
「こんな平和がずっと続くと良いなぁ……」
蒼馬は自分の声にアッと驚いて慌てて口を閉ざした。
気づけばあれほど荒れ狂っていたシェムルの怒声が、ピタリと止んでいる。恐る恐る上目遣いに自分の前に立つシェムルの顔を見上げれば、牙が覗く口許をピクピクと痙攣させていた。
「ひ…人がまじめに叱っているというのに……!」
あまりの怒りに声まで震えるシェムルに、蒼馬は「これはまずい」と思った。
しかし、もはや手遅れである。
シェムルは堅く握った拳を大きく振り上げた。
慌てて逃げようとする蒼馬。
その蒼馬の視界のすみで、シャハタが「やれやれ」と言わんばかりに肩をすくめていた。
「この馬鹿がっ!!」
丘の上にシェムルの怒声と特大の拳骨の音が鳴り響いた。
◆◇◆◇◆
苦労は絶えない。やるべきことも山積している。
しかし、それでもこの平和な時間がいつまでも続くことを願う蒼馬だった。
だが、それは叶わぬ願いである。
隣国ロマニアにある王都ロマルニア。
その王都にある大聖堂の鐘が、時ならぬ鐘の音を響かせた。
それは平穏の終わりを告げ、新たな戦乱へと蒼馬を誘う鐘の音だったのである。
――セルデアス大陸の正史において、ロマニア戦役として知られる金の雌狼との戦い。
駆ける馬上から蒼馬へ向けて剣を振り上げるピアータ。
「破壊の御子っ! その首、もらったっ!!」
――そして、正史では決して語られぬ毒蛇との暗闘。
薄暗い部屋の中で、クツクツと笑うバルジボア王セサル。
「手足と胴を押さえられ、余の刃がかわせるかな、破壊の御子よ?」
――古代セルデアス大陸の西域の覇権を賭けた戦いが、今始まる!
ダライオス「私をダライオスと知っての狼藉かっ?!」
名もない兵士「の、呪いだ! 破壊の御子の呪いだっ!」
ピアータ「私を呪い殺せるものならば、呪い殺してみせるがいいっ!」
ゴルディア王子「私はいかなる手を使っても破壊の御子を打ち倒す覚悟だ」
渡河してくるロマニア国軍。
濁流に呑まれる家々。
高所から悲鳴を上げながら落ちるワリナ姫。
ピピ「そんな! どうして……?!」
モラード「おらで良ければ……」
トゥトゥ「金貨五千枚ならば、安いものでしょう」
シャハタ「こんなふざけたもので、ソーマ様を……!」
ガラム「今、この国は存亡の危機に瀕している」
マルコ「そんなの僕にわかるわけないじゃないですかっ!」
エラディア「喜びましょう。私たちの満願成就のときが、ついにやってきたわ!」
憤怒の形相を浮かべる蒼馬。
「絶対に許さない! 必ずその首を刎ねて晒し、その肉体は野に放置して獣どもの餌にしてやる!」
「興亡の章」
血を流して意識を失う蒼馬を抱きかかえるシェムル。
「誰でも良い! ソーマを――ソーマを助けてくれっ!」
ついに古代セルデアス大陸西域の覇権が決する!
建国の章の本編終了! あとは閑話と人物紹介だけ!ヽ(`д´)ノ




