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追放少女と矜持

広間へと突き進む凪咲の背中を、リアは見送った。


たった一人で、あの群れに飛び込んでいった彼女。

剣を抜き、誰も巻き込むことのない場所へ向かっていった姿を。


(そうか……)


リアは、ようやく理解した。


なぜ、凪咲は剣を振るうことに躊躇していたのか。


それは、技量の不足や臆病さではない。

彼女の斬撃は――あまりにも広く、あまりにも鋭すぎる。

普通の冒険者なら、盾を構えていても、鎧を着ていても、

一瞬で斬り裂かれてしまう。


だから、振るえなかったのだ。

仲間を傷つけないために。


(私たちを、守ろうとしてくれてたんだ)


胸の奥が熱くなる。

尊敬の念が湧き上がると同時に、リアは心から願った。


(私も――あの人と共に歩きたい)


共に、同じ未来を目指したい。

だが。


リアはすぐに、隣で呻き声を上げる冒険者たちに目を向けた。

傷つき、疲弊し、地面に伏した仲間たち。

今この場にいる彼らを、置き去りにして凪咲を追うことはできない。


それはきっと、凪咲が最も嫌う行動だ。


「……チッ!」


悔しさを噛みしめ、リアは自らを奮い立たせた。


「みんな!立てる人は武器を!動けない人を守って!」


声を張り上げる。

絶望しかけていた冒険者たちが、わずかに顔を上げた。


「ここで死ぬか、生きて帰るか、今決めろ!!」


再び矢を番え、リアは前に立った。

この戦場で、今できることを全力でやり遂げるために。


(待ってて、凪咲――)


私も、私なりに戦う。

あなたが示してくれた矜持を、背負って。


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