表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/31

追放少女と兵士

ダンジョンの入口。

凪咲たちが床ごと崩落し、混乱が広がる中、残った冒険者たちは即座に動き出していた。


「穴を塞げ! 奴らを通すな!!」


指揮を執る王国軍の隊長が怒声を飛ばす。

軍服を着た兵士たちが急ぎ瓦礫を集め、崩れた床を応急で塞ぎ始める。


それは決して完璧なものではなかった。

だが、わずかな間でも時間を稼げれば、それだけ防衛線は保たれる。


「石材持ってこい! 砂袋もだ!」


若い兵士が仲間と共に力任せに岩を積み上げ、

年配の兵士が崩れないように縄で補強していく。


額に汗を滲ませながら、誰もが震える手を止めなかった。


ダンジョンの入口からは、次々とモンスターたちが姿を現した。

ゴブリン、オーガ、スケルトン、闇狼。

雑多な軍勢が、洪水のように押し寄せてくる。


「下がるな! ここを越えられたら終わりだ!」


剣を持った騎士が叫び、背中合わせになった冒険者たちが、それぞれ武器を構える。


普段はギルドの片隅で酔い潰れていた斧使い。

小さな薬草屋の娘だった短剣使い。

どこかの村からやってきたばかりの若き弓手。


名もなき彼らが、今は同じ目的で刃を振るっていた。


「おらぁああ!!」


無骨な槍兵が、突進してきたオーガを串刺しにする。


「こっちは任せろ!」


双剣を手にした男が、素早くゴブリンたちの群れを切り裂く。


一人一人の力は小さかった。

それでも、必死に食らいつき、押し返し、何度倒れても立ち上がった。


「前衛を押し上げろ! 弓兵、支援だ!!」


軍隊の副官が怒鳴り、弓兵たちが矢をつがえ、一斉に放つ。

無数の矢が空を覆い、モンスターの群れに雨のように降り注ぐ。


槍兵たちは一歩も引かず、体を張って防壁を築いた。

盾持ちたちは隊列を固め、たとえ一撃で倒れようとも、後ろの仲間に隙を作らせなかった。


それは、見栄えのする華やかな戦いではなかった。

泥と血にまみれ、必死で、ただ生きるために、守るために戦う。

無名の英雄たちの戦いだった。


「絶対に……絶対に、ここは通さない!!」


名も知らぬ若い剣士が、叫びながらゴブリンと組み合い、

倒れそうになりながらも、片腕を斬り落とし、なお立ち向かう。


「俺たちの街だ! ここで終わってたまるか!」


仲間の手を引き起こし、もう一度前に進む者たち。


誰も、英雄ではない。

だが、この場では、誰もが英雄だった。


ダンジョンの入り口は、まだかろうじて持ちこたえていた。

だが、押し寄せる波は止まらない。


そして、その裏で――

深層に落ちた凪咲たちもまた、運命の戦いに巻き込まれていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ