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御者

 溌剌としたシカナの様子に、二人は思わずたじろいでしまうが、なんとか用件を口に出す。


「ええっと、どうも。……俺はジーン、こっちはバリ。首都までいく馬車を探してたら仲介人のおっさんにここを商会されたんだ」


 シカナは馬車という言葉をきくと表情を曇らせた。


「どうかしました? もしかして、馬車出せない、とか……」


 恐る恐る訊ねるバリに対し、シカナは首を大きく横にふって否定する。


「できらぁ!」


 大声を出すシカナ。何か焦ったような表情だ。


「よ、よせシカナ……!」


 シカナがさきほどまでいた奥の部屋から、中年の男が足を引きずりながら歩いてくる。


「お父さん!」


「話は聞こえたよ。……ああ、私がこの商会をやっているルーブンです。二人とも、申し訳ない。馬車はあるんだが、私が足を骨折していてね。御者をできないんだ」


「そういうことですか……」


「骨折してるんじゃ、仕方ない。バリ、次のとこを探そうぜ」


 ジーンがバリの背中を軽くたたき、出口に促す。


「本当にすまないね、こんなところまできてもらったのに」


「大丈夫だよ、おっちゃん。また別のとこ探すからさ。それじゃーー」


 できないと告げるルーブンと、それをきいて出て行こうとするジーンたち。その両方を妨げるような大声があがる。


「だから! できるってのー!」


 大声の主はシカナ。


「シカナ、静かにしなさい。さすがにこの怪我じゃ私は無理だ。御者がいないのにどうやってやるんだい」


 呆れた顔をしながら諭す父親の言葉に、シカナはポンと胸を叩く。


「私が御者をやるよ!」


 自信満々に、そう答えたのだった。

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