第九十二話 特色
前回のあらすじ
脳筋の俺は疑問を口にすることしかできない。
でも、いつだって出発点はそこからだと、信じてみよう。
右武、左文、前衛、後衛。
この名称は、その人それぞれの超能力の特色を表している。
例えばこの少女、誰もしたがらなかったお目付け役を駄菓子屋のおばあちゃんが名乗りを上げた、よって転がり込む形となった再月竹夏は前衛と言う攻撃的な力を持っている。その力は疑似学園都市一だ。
右武はよく前衛と区別化つきにくいが、メジャーな力を使える超能力者が持つことが多い。
例えば、電気とか。炎とか、とにかくマンガ映えしそうな力だ。体育会系も多いな。
それに逆らう形で左文は邪道、卑怯な力が多い。悪役に相応しい力。こいつらはめんどくさいほどに賢い場合がよくある。
後衛はディフェンス。言わなくても大体想像がつくかもしれない。
……よだれを垂らしている彼女は、特色云々以前に人として、もうダメかもしれないけど。
「こら、竹夏ちゃん‼ お客様だよ‼」
「な、ああに! 起きてる、起きているから‼」
ばっと目を点にして起き上がる学園都市最強候補の少女、ほんと、四天王争奪選に勝ち上がった際のメダルと同じ功績である称号αが泣いている。
【四天王争奪選】。それは、最強能力者の御三家のような四つの椅子を全国の学校、学園都市だったら委員会が手に入れようとする一種のお祭りである。
詳しくは知らないが、これだけは知っている、疑似学園都市がこの四つの椅子をすべて持っていることだ。
なので、この疑似学園都市の生徒会長令司紫苑はそのプライドを折られないために俺に四争選の出場を依頼してきたのだが、
て、どうでもいいか。もう選考から落ちてしまったんだからな。
「ししし、慎、何よアンタ‼ いい年して駄菓子なんて買う性格だったの‼ 幻滅するわ!」
おい、全国の駄菓子愛好家に謝れ。駄菓子は子供のものだけと思っていたら大間違いだからな‼
実際俺も食いたくなる時があるし、あれのおかげで百円の価値が分かったと言っても過言じゃない。
「勝手に幻滅していろ‼ それよりも、どうだ体調は? 何処か力が入りにくいとか、気分が落ち込むときがあるとか」
「アンタ医者かなにかかぁ‼ 大丈夫、大丈夫よ‼ 体調は良好よ‼ 超能力はしっかり発動するし服化も、深層化よりも一段階上の力も訓練中だし。しいて言うなら、ごにょごにょ……」
なんだって、小さい声で『ちょっとアンタの顔が直視できない、でも見られないと暗い気持ちになって……』。ってこわ! まさか、さっき大学で感じた殺意はお前か‼
『服化』。『双子ちゃんねる』の朱象 奏太、未来が使用させていた深層化以上の力で従属させるものだ、と思われる。
なぜかというとその存在はこの疑似学園都市で、彼女しかまだ確認できていないからだ。
それが、目の前にいるこいつが危険と言われる所以。
そう、スラリとした足の後ろで燕尾服の尖った部分を使った衣服が眩しいほどの白さを輝かせ、所々切込みが入っているゴシックドレスも真っ白な、きれいな服。胸には沢山の天使から抜け落ちたかのような羽を蓄えて、どこも真っ白なツインテ赤髪の少女に変わるのだ。
そんな彼女に、少し恐れている自分がいた。彼女が、無意識的に俺を中心にしてしまっているような気がするから。
何故か心臓が警鐘を鳴らしている。半分、そう、半分彼女の感情に鬱屈したものがある気がしてしまう。
爆発してしまったら無茶苦茶な考えが彼女の心を支配してしまうかもしれない、と感じるような。
『わすれるなよ‼ もう、絶対に、確実に竹夏ちゃんには『悪』の構成能力のタネになる器になっている‼ 必ず取り返してやるから、首を洗って待っているのだよ‼』
今は、経過をみるしかないか。
「慎様。私が監視してる。信頼を、もっと信頼して」
「ちょっと、詩沙‼ どうしてアンタが保護者面しているのよ‼ 休憩していたじゃない、そんなに接客したいなら変わって、今・す・ぐ‼」
ああくそ、話が進まないな。
そんなときに、携帯型ペンに連絡が入った。
確認して、ニヤッと笑う。
「おばあちゃん、今友達から連絡があった。二人を連れて行ってもいいか?」




