第九十話 一つの疑問
お久しぶりです。イイタチイリュウです。
色々と方針転換をしてしまい申し訳ございませんでした。
また、たびたびリアクションや評価など、ありがとうございます、励みになります。
引き続きブックマークやレビューなど、よろしくお願いいたします。
ここは、保健委員会と姉妹校である大学の中。
そして彼女が唯一黙々と自分の真理を調べることができる、ただ一つの場所である。
「その機械の電源を入れて、そう、そう」
ジト目で眠そうな大学生の名は絢小町 小連。俺、矢炭 慎のブレイン関係相談役である。
ブレイン、またの名を超能力者の司令塔。その力は、超能力を操作、付与、そして彼らに指示を出す、一般市民であることを意味する。
一般市民、って。この疑似学園都市『パラレル』にそんなやつ、厳密には存在しないことを知っているくせに。
世界は数十年前、ある一つの理論を礎として時代を紡いでいった。
その力の名は、余剰次元超能力。
『次元は能力である』。イコール。突き詰めて言うと、人間は能力を持っている。なぜなら次元を確認する体質と所持しているという能力を生まれながら持っているからだ。その考えをもとに作られたこの理論はこの日本に新たな理論革命をもたらすのに十分だった。
明らかになった九次元の中身。
それは多くの人間から一人の人間に束ねることによって生み出される超能力。
看過された人間はそう少なくない。そう、俺もその一人だ。
何故かというと虐められていた、いやいじめを自ら作り出していた。やり返して、しまったから。
いじめられたくてしていたわけじゃない。ケンカや悪口など、それを全て買ってしまったことが原因だった。
それを変えたくて、どうにかしたくて。この疑似学園都市に来たのだが……。そう、その通り。変わらなかった。
俺は、非行に走った。死なないことを理由として、この都市以外では殺人になることも平気でやった。
もし、姉さんがいなければ――。そうだ。これはまた後にでも話そうか。
だって、今は絢小町 小連の研究の手伝いの話なのだから。
「で、小連はこれから何について調べようとしている気だ?」
「……え、なんて?」
がっくりと肩を落とす。これでも成長しているから何も言えない。小連はそれはもう、超が付くほどの男ガン無視少女である。俺より年上だが、少女である。これは譲らない。俺は見た目の年齢じゃないし。違う、俺が言いたいのはそういう事じゃなく。
集中したら物忘れも激しいし。この前なんてスカートの中のパンツを見せてきた。ラッキースケベという奴だ。中身の性格はおとめと言いたいんだ。
「ゆっくり話すから。ちゃんと聞いておけよ? 『こ・れ・か・ら・何・す・るぅ?』
「うん、考えていない? 取りあえず機械を動かしただけ」
ほおう。どうやらコイツ、俺を怒らせたいらしい、いいぜ。俺は男女平等がモットーの紳士だ。
ケンカは本気でやらせてもらうからな。
「でも……、慎は、私にいつも超能力の根っこの部分を聞いてきた。今日は特別な日。だから今日一日でヒントをあなたから掴んで見せる」
そのふわふわの髪で見せる顔、今までの小連からは想像もできないくらいニマニマとしたものだった。言ってはなんだが、どうも本気で核心に迫ろうとしている人の顔ではなさそうに感じる。
なので、俺もテキトーに言ってやることにした。
ここまで来るのにいったいいくらかかったんだと思う⁉ という思いを込めてな!
バス代もタダじゃない、まあ最近足を運ばせられている小学生地区よりはましだけど。
「そうか……、だったらもうやめてみるか」
「止めてみる? って?」
いまさら何を言っているの。と言いたいような声で、小連は椅子に座り時々外れる目線をこちらに向ける。雰囲気が変わった、集中しているのは嘘じゃないように見えた。
しかしどうせ、俺はこいつより頭はよくないし、テキトーに言うほかない。行き当たりばったり上等だ。
「俺の目標は、『空間』と『時間』を混ぜられないか。それが知りたかった」
「でも、それは無理」
正確に言うと、出来るのだが。あのやり方はダメだった。強硬的に構成能力そのものからとって代わろうとするあいつらと同じ感じがする。
世界を混乱させない。そう例えば、昔誰かがやっていた方法などがいい気がする。
「そう、無理だ。だから、一からやり直しだ」
俺は、ホワイトボードにダダ、と書いていく。
「関係ないと思うが、伝えることに意味があるかもしれない。『次元』というのは一、二、三次元とどんどんレッテルを増やすことで増えていく。知っているだろう?」




