第九話 超約(ちょうやく)
前回のあらすじ
超能力者、研究者、自衛隊などが在籍する疑似学園都市。
俺はここで荷物運びをしていた。
しかし、おばあちゃんとは強い存在である。
「ねえ矢炭君。どうして超約をしないの?」
そう聞いてきたのは三角目と大人びた短めの髪がチャーミングポイントの担任、児島友加里先生である。
担任がいる、ということは学校があって先生が何十人か所属していると感じるだろうが、学校は名前だけだ、そんなことはない。
こんがらがるだろうが学校についているのではなく、疑似学園都市に雇われているといった方が正しいだろう。
そして、この担任はそのなかで優秀な敏腕先生。あらゆる超能力者を高い次元に昇華させた人物で有名だ。その数は百人を超えていて、その教え子のほとんどが第四種免許を取らないといけないレベルフォースだ。簡単に説明すると、
小型免許、ファースト 学園都市ほぼ全員でフォース
中型免許、セカンド 三分の一でフォース
大型免許、サード 千人でフォース
特殊免許、 フォース 一人で人を殺せる
ということになる。
これは今、それほど重要じゃないし話を戻そう。
つまり先生の凄い所はどういうところかというと超能力者の素質だけではなくブレインの余次元超能力付与力量が大体わかることになる。
それが超能力なのか、ただの偶然なのかはわからないがとにかく仕事熱心なその姿を見て、心惹かれた生徒は多数である。
もっとも、自分を除いてだが。
「どうもこうもありません。それよりも早く達成依頼の通知をください。」
そう催促すると、児島先生は体を前のめりにして両肩を掴んできた。
「いい、あなたは数少ないレベルフォースを量産できるブレインだと私は睨んでいるの。あなた達がチームの総次元量を無理のない範囲で操作して超能力者になっていくことは知っているでしょう。だから、余剰次元を沢山持っているあなたなら超能力契約もたくさんできる逸材なの。どうして仲間を作ろうとしないの?」
俺は若干うるさいと感じながらも力ずくで肩の拘束を振りほどき、
「一人で今は十分だからですよ。……あ、もしかしたら三人補充するかもしれません」
と、いいながらペンを直線的に持って右方向に割った、四角形の枠を作り出し液晶画面のように映っている仮想映像のペン型携帯に依頼達成の通知が来ていることを確認したらさっさと帰ろうとした。
しかし、今度は後ろから腕を先生に掴まれてじりじりと握りしめられてしまう。
「やっとその気になってくれたの‼ 大丈夫、あなたなら歴史を変えられるわ‼」
「いや、先生! 俺の腕折れる!」
「あ、ごめんなさい!」
児島先生は俺の悲鳴を聞いて腕をぱっと離す。俺は同じことをされてはたまらないと思い職員室のドアまで避難した。そして最後、閉めるドアの隙間から笑って、
「まあ、期待せずに待っといてください」
と言ってそこから立ち去った。そのときの児島先生は最後の一言に不安が鎌首をもたげ、また問題が起こるのかと頭を抱え始めてしまったらしい。




