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第八十八話 敵の暴走、俺の本気

前回のあらすじ

絢小町から言われていた竹夏を『別の構成能力者に移し替える必要』。

俺自身どうすればいいか分からなかったけど。

意外とどうにかなるものだな。アイツ等と一緒なら。





 バタ、バタと倒れていく。獣人幼女達。その体から魂が、獣を霊化したような物質が体から飛び出す‼


「ちょ、やりすぎやりすぎ姉さん‼ コイツの服化(ふか)にそこまでぜんりょくを出さなくても‼」


「ち、ちがう‼ 勝手に、もってかれて!」


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”‼」



 暴走、そのあまりの余次元フィールドは、誰でも構わずその次元を吸い取っていくようだった。


「きって姉さん‼ もう仕方ないよ! 早くここからはなれよう‼」


「ま、て‼ お前達、はにがさん‼ 敵の情報を、吐いて!」


「おい、動くな風紀委員長様よ⁉ 体が動くわけないだろう‼」



 双子近くに選考会襲撃事件の時の影が‼ しかし今度の双子達は、焦ったようにその影に逃げ込んでいって。



 そして、爪痕を残すように、言葉を吐き捨てていきやがった。



「わすれるなよ‼ もう、絶対に、確実に竹夏ちゃんには『悪』の構成能力のタネになる器になっている‼ 必ず取り返してやるから、首を洗って待っているんだよ‼」



「勝つのは私達、新しい『構成能力者』だからんね‼ しーゆー」



「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”‼ コロス、コロスコロスコロス!‼‼‼‼‼‼‼‼ シンンンンンンンンンンン‼‼‼‼‼‼‼‼」



 無迅先輩は獣人幼女達から何かを奪い取る。ここからだったらわかる。服化(うか)というより、これは、



「ふん‼ 獣の魂を集めて、まるで、空を夢見る『地龍』じゃない」



 龍の皮を被り、全身が蛮族の鎧で覆われていく。その唸り声で、『刀刀』が軋むような、悲鳴を上げてその威力を上げていっているのが分かった。



「ボス、避難誘導はもう終わっているか‼」



「馬鹿かよお前‼ 俺達に期待するんじゃねえ‼ 仕方なく協力してやっているのを忘れるな‼ 風紀委員長の部下が頭固いからできるわけないだろうが‼」



「なんだと‼ 私達のせいだと‼」



「当たり前だろ‼ クソどもが‼」


 こんな時に、クソメンドクサイのは、どっちともだよ‼



「竹夏‼」


「なによ」


「アイツを倒せるか?」



「……、無理ね。勝てるかもしれないけど、今のあたし、何がどうなってどうすれば最大威力を出せるか、分からないから」



「は、いい答えだ」


「はぁ、アンタバカでしょ⁉ 止められないかもしれないのにこれじゃ――」


「俺が、止める」



「え、アンタが⁉ だってアンタはブレイン(無能力者)で、ただの司令塔で‼」



『疑似学園都市の隙間』で話したことはどうやら覚えていないらしい。良かった、好都合だ。



「大丈夫、お(・)前(・)は(・)威(・)力(・)の(・)高(・)そ(・)う(・)に(・)見(・)え(・)る(・)、技を放ってくれればいい。それに合わせて、俺が決める‼」



「だから‼ ……もおぉ! 分かったわかりました‼ 何か隠していると思ったけど、やっぱりあるのね‼」



「ああ、俺が、体育副委員長から学んだ流派だ‼」


 俺は、自分の力を、ステージを上げていく‼


 レベルファースト、レベルセカンド、レベルサード、そして、


 最大レベルフォース‼


 深層化(プロミネンス)、俺の目からは、アオイホノオがチリチリと燃えていく‼


 ガクンンン‼



「な、なんだ‼」


「く、寒気が」



 ボスたちがその次元に触れて、変化に驚く。


 だろうな、隠して誰にもちゃんと見せてこなかった、それをこの場で初めて使うんだからな。



「叶帆、お前はありのままでいい。しっかりついて来いよ‼」



 ヒモをぐるぐると手に何回転も巻き付けて、鎌型銃を振り回す。


 最初は小さい円だ、でも手からヒモを外していくうちにどんどん大きな円に変わっていく。


 ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン。



「これ、時間が、切り取られて⁉」


 そう、これがディレイラグを学んだチカラを俺に昇華した、答え。俺が井鳥先輩から学ぼうと思った本当の力の使い方は、


 『短時間のときの制御』だ。


 余りの破壊力に、誰も相手にならなった流派技法。



「時間、だ、、、だ‼ いく、いくぞ‼ さん、にいいいいい、いち、いち、いち」


「タイミングがずれて、これを、合わせないといけないの、でも‼」


 そうだ、目をつぶって、気持ちで合わせてくれ‼



『ゼロ‼』


「炎炎沸々(メルトファイヤ)‼」


「角闘流派、オリジナル‼ 『【捻じ曲げ切った(折れて、折れて、)針(エンド)】ぃおおおおおおおおおおおおお‼‼」


 ピキキキキキキキキキキキギャリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンン‼


 俺は無迅先輩を斬るのではなく、時間を切っていた。


 その切り取った時間で、体を支配していた力がすっぽり抜けた、混乱している無迅先輩にぶつかる‼


 ひゅン、かちゃ。


 俺は無迅先輩を向かっていった鎌型銃を、彼から背を向けて、片手で掴んだ。


 辺りは火の海、普通の人だったら、竹夏の攻撃が致命傷だっただろうと思うだろう。


「が、はぁ」


 無迅先輩は倒れた。暴れる前だったから、今回は誰も被害者はいない。


 お前も、やり直せ。きっと――。






 人を救う大事さを知っていただろうから。



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