第八十三話 部品
前回のあらすじ
悪事は暴かれた。
でも、それで気が晴れた人もいた。
ただしかし、敵はこの機会を逃さなかった
警備システムが作動、していない?
このクラスマッチに当たり、体育委員会副委員長と、保健副委員長は独自に警戒網を敷いたと聞いていた。もし問題が起こるようだったら、関係各所の警察機関や自衛隊などが助けてくれることになっていた。
でも、まるで止められたかのように動いていない。
「さてさて、ではモブ兵をしょーかん! 来たれ獣の魂を埋め込まれた『X0少女』達!」
ブクブクと地面から黒い影が噴き出し、それが人の形を構成していく。すぐに数百の獣耳女子たちが現れ、目がうつろになりながらも俺達という標的に攻撃を始めた。
「きゃああああああああああああああ!」「ちょ、今ブレインから超能力を回収されているんだぞ!」
そう、このクラス対抗戦に当たって超能力を使用させないためにブレインは超能力者の力をオフにしていた。つまり、
「いや~、もう疑似学園都市におもいのこすことはないよね~? だって、楽しい楽しいクラスマッチが出来たんだし! はははは、いけやれ~ウサギ共を刈るんだぁああ!」
「ふふふ。あはははははは‼」
竹夏は、笑っていた。少女達が襲い掛かり死者の行進のように迫ってくる時に、
俺のクラスメイトの女子は体を寄せ合って、生きようと足掻いている、男子は力及ばずともその女子達を守るために必死に守る体制。
もう、届かない。今まで仲間だと思っていたクラスメイト達もその差し迫る恐怖の笑顔に竹夏を連れ戻そうとする手を、引っ込めてしまっていて。
この状況の中、竹夏の笑い声は、腹の底に重く響くようだった。
「はは、アハハハハハハ‼ だまされた~! あたしが構成能力者様を裏切るわけないのよ! 刀龍の遊びがどうなるかと思ってついでにこの潜入作戦を考えたんだ~、これが構成能力者しゃまの崇高な作戦。は~面白かった、面白かった~‼ また遊ぼう⁉」
ケタケタと壊れた玩具のように、戻っていた。そうじゃない、か。もともと、彼女は戻っていなかったんだ。
俺が、この問題を引き起こしてしまった。俺が、この俺が、クラスメイトを危険に晒してしまった。
振り向いて、確認する勇気はない。クラスメイトが疫病神と言っているように、聞こえくるような――。
「いいかんじに仕上がったねぇ。だよね、ねえさん?」
「うんうん‼ 竹夏には、わたしたちの一部になるんだからねぇ、もっと、もっとこわれてほしいな~‼」
壊れる、だと?
二人は同じ仕草で俺の言葉を遮るように手で制止する。
「いううい、分かっているよ~。部分構成能力者、矢炭 慎。分かってる、笑っている?」
「君も知っている通り、この世界、ちがうなぁ。もっと広い異世界も含めて‼ 支配している力は今の所、君の師匠達によるよくあつされたちからだよね~、ん?」
『でも、でも‼』
声を合わせて、双子の男の娘共は頬を合わせて、抱き着いて、最低最悪の言葉を放った。
「『時間』が『そうぞー』からぬけたことにより、それに空きが出来た。なら、どうすればいいとおもう? じゃじゃ~ん‼ かんた~ん。空いた穴に収まるように、概念そのものに変えて、構成成分『竹夏』というものを作ればいい‼ その概念は私達にとって都合よい未来を作るだろう、いやつくってみせるぜぇいいい‼‼」
意識が飛んでいくように、こいつらが言っていることが、何も分からなくなってしまったよ。
でも、無意識にギリッと唇を噛む。はは、本当は脊髄反射のように頭に浸透していたらしい、こいつらが何をしようとしているのか。
「私達構成成分のリーダー、『時世』は戦争を起こして『竹夏』という存在を概念化してネ? 恐れの代名詞にするきなんだよぉ‼ 戦争を止めていた彼女がせんそーを起こす、いい、いい‼」
「この世界には、『悪』という部分構成能力は存在しなかった。でも、竹夏ちゃんがこの世界に無くてはならない『悪』になることによってね、『悪』がセイトウカされるのだよ‼」
とても楽しそうに語る双子。『悪』が世界を包みこみ当たり前になる、それは、殺しが当たり前になるということだろう。
そして、そのまま世界を現構成能力者達から奪って、世界を自分達の思うままに。
ふざ、けんな‼
お前達にとって、竹夏は部品かよ‼ 構成能力を埋めるための、ただの生きたパズルのピース。
敵であっても、こいつらにとっては仲間なんだと思っていた。
でも、それですらないのかよ。くそ、くそくそ‼
「さあ、おしゃべりがすぎたねぇ? 竹夏ちゃ~ん、服化して、体育委員会のにんげんをころしてやってあげな~‼」
「いえすぅ! いいいえええ、え゛」
その嬉しそうな声は、繭に包まれていくにつれて、とても苦しそうに、助けてほしいように俺のクラスメイトには聞こえたらしい。
俺の目にも、彼女は救ってほしいと訴えかけているようで。
繭に包まれながら、深層化の赤い炎は抵抗するように浮かび上がる。でももう炎自体も諦めてしまっているように簡単に、黒く染まっていく。
そのまま、あの時のように双子達に頭を撫でられ、首を掻かれる、甘えるような表情。沢山の黒い翼が花びらように開いていった状態に生まれ、変わってしまった。
(どうすれば、いい。どうすれば……竹夏を救える?)
俺の思考は、もう悔しいほど何も浮かばなく――。
『竹夏は、今『時空』構成能力者の支配下にある。だから彼女を元に戻すには、その『時空』構成能力者から別の構成能力者に移し替える必要があるよ?』
「‼」
そのとき、俺は出来そうな気がしたんだ。
俺は、どのような人物だったのかを、思い出して。




