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第六十六話  逃避行

前回のあらすじ

全てを失ってもやらないといけないことがある。

どうしてか、竹夏を助けることをそう思った。

早く、取り返しのつかなくなる前に。



 


『大人の階段を上るための玄関』と言われる、疑似学園都市『パラレル』の大学地区。


 そこは自衛隊の干渉を受けない、ほとんど独立した地区になっている。


 なにせ、『私達は自衛隊を認めない‼』という反骨精神の塊のような人間が多く住む地区と言われているところだ。



 自衛隊を快く思っていない人。無い方が発展するといったり、実際無い場所でここよりも優れていると思っていたが、転勤などでやってきた人々が住んでいた。


 そもそもこの疑似学園都市に自衛隊が置かれている理由というのが、都会や大事な役職に学生を配属するにあたって『どこまででも本気で試練を与える場所にしたい』という国の考えがあって隊が置かれたと言われている。


 都会の中では問題になるようなことでも、ここならできるということらしい。


 さて、と。現実逃避はここまでにしよう。



「こちら警察A班、犯人はまだ発見できません」



「ボディーガードC班も同じく、索敵範囲を広げます」



 怖ろしいってものじゃない。 小、中、高、大の犯罪行為に関わる組織の候補生がこの大学地区を隈なく探しまくっている。


 手際よく、疑似学園都市の住民に悟られないように捜査しているところが、もうプロ顔負けに感じてしまう。


 見たところ小学生は高い場所で望遠鏡片手に目を凝らしていて、中学生は十人くらい固まって同じ場所を取り締まっている。高校生と大学生は聞き込みと路地裏を中心的に見回りをしていた。



「慎様、そんなに怯えなくてもいい。キノミの変装は完璧。風紀委員会にも穴を開けられたよね?」



「それはそうだが……」



「ふん、肝っ玉の小さいやつですね。今すぐにでも突き出してやろうか? 少しは根性が付くかもしれない」



「キノミ、黙って」

「はい、黙ります~! 黙るからもっと叱って、叩いて、愛を感じさせて~‼」



 今俺達は、大学生の格好になっている。キノミの変装は体格まで変えられるらしく、職務質問などを受けても全くバレる感じがない。


 これをつかって今まで悪事をしていた。と思うと少し考えてしまうがその『正義執行委員会』を作ったのは俺だ。俺も似たようなことをしているし。今更だな。



「いいですか、これを破るにはまずボクという存在の心を砕く必要があります。例えば、骨一本折るとかで僕の心を動揺させる必要がありますね。まあ、まず無理ですけど! 僕の心は静沙ちゃん一択ぅ~!」


「……」



 黙々と歩く表道、もう相手にするのも面倒になったらしい。


 てか、大学生になってもほとんど小さいままとか、職質されたのもほとんどコイツのせいだった。



「おい表道、お前何でその身長にしたんだよ? おかげでかなり目立つ」


 チラッと先を歩く表道がこっちを見る。そして顔に赤みがさすと、



「慎様には私という存在を強く印象付けたい。私の体、心、渡すもの何もかも、私を摂取させたい。私をずっと見てほしいから」


 いや、それで捕まったら一生俺はお前を恨むんだが?



「敵はお前だった。表出ろぃ! ここで決着をつけてやろうじゃないか!」


 そして、めんどっくさい塊は空気を読むことはできないらしい。

 せめて今だけは、コイツと仲良くしたいんだけどな。



 ああ、そうだ。俺を第一に考えているなら、俺の命令には絶対服従でいいんだな?



「表道、俺の心を渡すというのなら命令には従うってことだよな」



「はい。そう」



「だったら、今すぐこの男、キノミと結婚しろって言ったらどうするんだ?」



「出来るなら今すぐにでも結婚届を提出しに行くよ?  だって慎様はそういうプレイをしたいからでしょ?」



 冗談を真に受ける、とはこういうことか。少しは俺中心の考え方を変えてほしいから言っただけなのに、むしろ清々しく返された。


 いや、でもプレイって。清々しいというより……深く突っ込まない方がいいか。それに心酔しているから今の状況に持ってこれたのだろうからな。


「先輩、これからは兄者と呼ばせてもらってよろしいですか?」

 サブプランだったキノミをやる気にさせることには成功できたよ。なんかムカつく。



「やっぱ止めた。これからキノミと関わった所を見たらお前を無視させてもらう」


「わかった。キノミ、明日死んで、一生のお願い?」


 ホントブレないな。昔の俺はコイツに何をしたんだよ?



「おいクソ野郎! 俺が死ぬ前にお前を殺す! そしてそのまま静沙ちゃんと投身自殺をぉおおおおおおおお‼‼‼‼????」


 おいおい、いりくんで人が少ない道をさぁ、何かを見つけていきなり大声を上げるんじゃねえよ!


「て、てんし……」



 ついにボケたらしい。幻覚使いが幻覚を見ているよ。


 俺は少し離れた、キノミが見た光景を見ると、





「やっと見つけました! 矢炭マネージャー!」




お疲れ様です。イイタチイリュウです。

昨日は投稿できず申し訳ございません。金曜日からまた頑張ります。よろしくお願いいたします。

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