第六十五話 表道静沙
前回のあらすじ
一先ず、忘れたことを覚えることのできる九雨のことは忘れよう。
今は井鳥先輩と数少ない訓練中だ。
て、膝枕ぁ???!
その彼女の手は、何処か寂しそうだった。
井鳥先輩と別れた。後は、
生徒会に詳しいことを聞く、でもやらなければいけないことがある。
疑問だらけで、上手くことが運ぶか分からないが、やるしかない。
この行動でもしかしたら二年Ⅾ組でさえも追い出されるかもしれないが、そのときはその時だ。
なぜ、ここまでして助けたいのか。未だにわからないけど、
俺は表道の案内で俺が捨てた『正義執行委員会』のホーム地区に足を踏みしめることにした。
こいつ、どうやったかは知らないが結局誰も口を割らせることは出来なかったらしい。
風紀委員会の連中が言うには、
「もうこの一週間で三回は襲撃されたよ! おかげでドタバタと取り調べが思うように進まない。場所を変えたり、レベルフォースで対応しようとするのだけど、それを上回る姑息さで対処が面倒だ!」
「早めに記憶読み取りに相談したらいいんじゃないか?」
「もうやった! やったらその超能力者とブレインに嫌がらせや脅迫状が届いて誰もやってくれないんだ!」
とのことらしい。当の表道は何が起こっているのか分かっているようで当たり前という顔をしていたよ。
だから情報を手に入れるためにもこの話に乗るしかない。竹夏を助ける最後のチャンスというのが一番の理由だけどな。
「いいですか、慎様。私は生徒会の味方ではないです。どちらかというとこのまま『正義執行委員会』に取り込んで味方に引き入れたいと思ってます。それをしないのは、どちらが慎様の生きたい道か、知りたいから」
ここは牢屋の一室。厳重に、秘密裏にここまで輸送してきたようでまだ彼女の存在はバレていないらしい。
と、思っているだけだろうと彼女は言っているが。
「で、どうすればいい。お前を連れてここから抜け出すことも難しいのだが?」
「別に構わないです。もう仲間は潜入しています」
え、嘘だろ。ザルだぞ生徒会の風紀委員長、やる気ないだろう?
「入って」
「静沙ちゃ~ん、やっと帰る気になってくれたんだね~!」
「直径疑似学園都市の大きさメートル、近づかないでくれない?」
「いえ~い。その性格に痺れる憧れるぅ!」
「さわらないでって言った!」
ぎぎ~っと扉を開けて入ってきたのは眼鏡を付けていて中学生の学ランが似合いそうな生真面目な少年だった。
表道は危険が少ないと判断されたぬいぐるみを間に挟んでその少年とのふれあいを拒否する。
本当だったらしい。少し面食らってしまった。
いや、コレはチャンスか? こいつも捕まえて情報を洗いざらい吐かせてやれば……、
「お前「死ね」は――、は?」
開口一番死ねって。
「勘違いしないでくれるかな? 僕はあなたという存在は大嫌いなんだ。なにせ静沙ちゃんの愛を受け止められずに生暖かい場所で胡坐をかいているやつだろう? へ、しにさらせぇい!」
「黙って、キノミ」
「はい黙ります! 今すぐこの空間からことばを失くします! いやもちろん、静沙ちゃんの言葉以外だよ~!」
キノミと言われた少年は嬉しそうにしっぽを振っているように、見えた。
何を見せつけられているのか、変態プレイはホテルでやってくれ。
「このキノミは私の超能力者、見た目を変化させる力を持っている。それでここから抜け出すことは簡単だよ? そのまま大学地区にある正義執行委員会の隠れ家に戻って私が連れて来たということにする」
ブレインである表道の超約者らしい。こんな奴、過去を振り返ってもいなかった気がするが、双子共が入って変わっているんだ。このぐらいは当たり前か。
「それをしたら、あの双子共に疑われないか?」
「大丈夫、上手く隠す、そのために正義執行委員会副委員長を上手くだまして協力してもらう」
上手くやれる自信があるようだ。今の会話を聞いて行き当たりばったりだと感じるところもあるが、そもそも潜入という相手の懐に入ることに簡単という二文字はない。
「いいのかよ、コイツに話して? 簡単に裏切りそうだが?」
「ふふん、あなたの目は節穴だったね。いいかい、はっきり言って僕がこの正義執行委員会にいるのは静沙がいるから。彼女に……一目ぼれしているからなんだ~! 静沙さえいれば僕はどこへだろうと移動するし、なくてはならない物は手に入れる。その覚悟がある!」
「気にしないで、人形だと思えばいい」
そうかよ。
「決行はいつにする?」
「今すぐ」
そして俺は、誰にも相談乗せずに敵地に乗り込むことにした。




