第六話 避けられない
再月竹夏に勝ったのはいいが、
生徒会、そこにいる刀龍介沁先輩から逃げ出した。
でも、目的は達成してやったぜ。
俺達は、体育副委員長からかなりの依頼報酬を貰った。これを足掛かりに『クラスマッチ委員会』で揃えないといけないものを揃えていくと決めた、
ところまではよかったのだけどさぁ。
快く思わない体育委員会の下部組織がいたらしい。その委員会は不良を雇ったようだ。
日常は常に思うようにいかない。歩いていればふとした偶然で足元の石を蹴るときもあるし、道端の草を踏むときもある。それは、もう定められた運命。
だから彼女、美化委員会から借りている『教室』のクラスで叶帆が苛められることになるとしても、もう決まっていたことなのかもしれないな。
と、俺はクラスで一人苛められている叶帆を横目で捉えながら考えに耽っていた。しかしそれはいじめと呼べると断定できることではない。しかし、確実に叶帆の心をえぐっていた。
「マジキモい~」
人形に話しかけている不良がいた。彼女らはその人形にキモいキモいと言い続けているが俺は知っている。
その人形は不良の前に座っている叶帆に例えて、かなちゃんと仮の名前を与えて遠回しに彼女の外見を否定していることを。このクラス、体育大院代学園二年B組の生徒全員が知っていた。
誰が止めるのだろうか。そんな王子様のようなことをする輩は。最近、主人公がいじめから助けてくれる小説がたくさんありすぎていじめを止める=主人公、かっこつけ、彼女のことが好きというふう風潮が広まっている。
もちろん、いじめは許されることではないが如何せん誰も面倒事に関わりたいと思っているわけではない。逆に裏がある俺かっけーという風潮も広まりつつあるので無視を決め込む方がかっこいいと思われ始めていた。
不良がいない場所でさりげなく仲良くする。そんな近づきすぎず、遠すぎずの関係を維持しているのだ。
俺? もちろん俺もである。いい年して主人公になりたいと思わない。脇役の方がいい。そんな俺を知ってか知らずか話しかける人がいた。
「いいのかい。ほっといて」
聞いてきたのは脱ぎやすい体育委員会の制服を着ている九雨創治である。さて、俺自身は知り合いには慎重派である。
すぐにこいつ、九雨を俺の情報網を使って調べたのだが、全て素性に国のプロテクトがかかっていてまったく底が見えない。
嘘だと思うくらい、情報が少なかった。だが、
これでもいい。俺はそれでよかった。人間関係なんてだるいだけ。秘密がある方が軽い付き合いになるし一番いいと常日頃から感じていたからだ。
チラリと九雨を見る、何も言わずに気だるげに伸びをしていたら、
「助けてあげた方がいいんじゃない。君、彼女のブレインでしょ。」
九雨はそう指摘した。確かにあいつのブレインだ。彼女を助ける理由がある。しかし、ここで彼女を助けると好きだと早とちりされるように感じたので、
「あれぐらいのこと、耐えないでどうする?」
と突っぱねた。九雨は苦笑いを浮かべているから、性格の悪いと思い知り諦めたのだろう。ため息をつき、
「優しいんだね~」
と、わかりやすい皮肉を吐かれた。だいたい、そういうのだったら自分で助ければいいはずだ。
でも、思いながらも頭の片隅にはどうせあいつが来ると思っていた。本当にかっこつけとわかりながらそれでも人を助けるあいつが……。
「ちょっと、止めなさいよ‼」




