第五十七話 二章エピローグ
前回のあらすじ
小学校が作られる
この会議はその流れで設けられた喫茶店だった。
で、下部組織、俺がリーダー、っへ?
こうして、小学生の相談役のような立場に収まった俺にはいろいろと不幸があっちからやってくるようになった。
まずは、
「退組金は出すから、早くこのクラスから消えてくれ! 君は面倒事を持ってくる! 体育副委員長からも厳重注意を受けてしまったし、もう関わらないでくれ‼」
そういわれて、クラスを除籍されてしまった。俺だけ。
どうやら、俺が関わる事件の数々に恐れを抱いたらしい。
さらに、
「慎、さんですか? お願いします! 解決してほしいことがあるんです‼」
そういって俺に面倒事を持ってくるやつらの多いこと多いこと。力で解決できると考えている生徒はこの学園都市に多く存在するらしい。
もっとも力以外でも解決できると、正しい理念を持っている人間がこの学園都市に何人いるのかとも思ってしまうのだが。
極めつけは、
「ッチ、目障りだ! 慎をこの学園都市から排除しろぁぁあああああああ‼」
闇に隠れ、潜んでいた連中。闇委員会、不良などの事件が今多発している。治安が悪くなっているこの学園都市でその姿を誇示するように、目立つように歩いて、ギョロっと見かけた俺に殴りかかってくるようになった。
そういうわけで、俺の評価は五分五分になっているが、なんかマイナス部分が強く、都合の良いやつとしか見られていないと思う。
はぁ、世知辛い。どうしてこんなことになってしまったのか。俺は普通を求めていたはずだったのに。
普通に過ごして、学校を見つけられればそれでいいのに。
全部あの女のせいだ。児島のやつだ。そうだそうに違いない。
小学生の相談役になったんだよな? あいつは学園都市から追放だ、そうだ、それがいい!
「お疲れ様です!」
「ああ」
俺はそういう厄介事からやっとたどり着いた病院の中で、厳重に風紀委員が監視している病室に入っていった。
生徒会長から一度見舞いに行ってやってくれ、と言われたからだ。
「慎様」
「体はそのままでいい。無理するな表道」
「ありがとうございます」
縫いぐるみは持っていない。そんな彼女を見ていると、糸が切れた操り人形のようでどこかはかなげに感じる。
そんな俺にざわざわと、心に苦い記憶がよみがえる。
来るもの拒み、去る者嬉しい。そんな弱い心を守ることに精いっぱいだった。はるか昔の、高校一年生の時だ。
ふと、顔を見たくなくて冷たく接していた、小学校から中学校卒業まで、俺の家に来てくれた女の子がいたことを思い出す。
どうでもいいことを考えてしまったな。そうして、なんとなく表道の目を見てみると、
ジッと俺を見ていた。とても不思議そうに。
「どうした? なにか欲しいのか?」
「いえ、少し思ってしまっただけです。慎様を追い求めていた、慎様の本当に生きたいと思っている道を切り開こう、そう決めていたのに。何故か折れることで慎様を身近に感じられるなんて、と」
「いつまでもお前のそばにいることはできない。俺はお前には情報しか期待していない」
「情報、ですか?」
「そうだ。俺が作った『正義執行委員会』の根城はどこだ? 今の構成員は? あの双子は何者だ?」
「ふふふ、そうだった、のかな」
急に力が抜けるように笑う。イラっとしたが、ここで罵倒したものなら生徒会長という面倒くさいものに嫌味を言われるしコイツから情報も出せないし。我慢だ。
「慎様、私を連れて体験入学をしてみないですか? もちろん、生徒会には秘密で」
体験入学だと?
「もし、慎様が『正義執行委員会』に合っていないと私が感じたなら、洗いざらい話しましょう」
どうです? と顔を真っすぐに見つめられている。答えを見つけようとしている目をしていた気がした。
これは、チャンスだと思った。
もうこれ以上は猶予がない、再月竹夏を助ける最後のチャンスだと。




