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第三十九話 作戦会議

前回のあらすじ

俺の秘密が暴露された

再月は慰めてくれたが、俺の心は不安定だった。

でも、進むべき道はやっぱり彼女の言う通りだったかもしれない



「はぁ~。こいつらほんとっうに使えない。影武者ですか? あんな目立つことして。期待して損した」




「出たぞ、ブラック実凛(みりん)だ。いつかこうなるんじゃないか分かってはいたけど」


 おいどういうことだ。なんか、コイツの性格変わってね。




「ひぃいい。たすけてくだぁいマスター! この人といると、なにか精神的におかしくなりそうですうううう!」



「もっと仲良くしないか? 君のことについて詳しく聞きたいな」


 秘密基地と言われる場所に着いた。小奇麗なオフィスといったところだ。場所は裏路地にあった。


 そのオフィスの隅っこで柱の角をブツブツ言いながら蹴っているのは出(で)合崎(あいざき)と言っていた愛嬌のある黒髪女の子。心なしか肩にのせている髪がボサボサだ、親近感よりも既視感が強く出ている。病んでいないか?


 無迅先輩と叶帆。お前ら、状況を解決するつもりでもなくいちゃついていたのかよ。もう帰ってくれ。



「おいどうなってんだ大河」



「彼女の素ってことだ。そもそもどうしたって、こっちが聞きたい。調査、確認のために行ったんだろ⁉ それがどうして動画サイトに出演しているんだよ⁉」



「そうです! 無迅先輩がいけばよかったのです。あなた達二人は邪魔!」



「気を静めてくれ。可愛い可愛い俺の後輩。慎はその通りだが竹夏は作戦があるんだよ」



 へ~、作戦ね。詳しく聞きたいな。この、とり頭のどこにそんなものがあるかじっくりと。


 そもそも、戦いを切り開く前線に相応しいから『前衛(フォアード)』と呼ばれている。知恵比べなら普通左文(レフト)の奴の方が相応しいのでその頭があったらもっと違う能力の傾向だっただろう。


 疑似学園都市『パラレル』を造ったと言っていた男が俺に勝手につけた、たった一人だけの『中央(センター)』にもなっていたかもしれない。



「さ、作戦は……」



 ジッと、この場にいる人間が目を向ける。あの出合崎でさえ、少し期待しているのかこっちを覗いている。



「さ、作戦は!」



 あたふたしているようにしか見えない。手をもじもじとあっちを見たりこっちを見たり、必死に無い知恵を振り絞っていて実に滑稽だ。笑いそう。俺のせいでもあるけど。



 しょうがない。助け船を出すか。




「ここに、ゲストパスがある」


 ポケットから取り出したのは、俺が使っていたゲストパスだ。



「え、どうしてそれを!」



「簡単だ、事前に同じものを持っていた。本当は使えるかどうか試すつもりだったのだが、運よく中に入れた。だから返却の時に偽物を渡した」



「偽物って。すぐにばれるんじゃ」



「バレるのは俺のせいではないな。作成した委員会に行ってくれ。でもこういっていたぞ。『一週間ぐらいはもつぞ。フガハハハハハハ‼』だそうだ」



「ピカーン‼ 私ヒラメウィちゃいました! 決行は明日、そのチケットを複製して一気にテレビ局の内部に侵入、放送委員会の副委員長を確保。そして契約書にサインさせて安全にスマートに乗っ取りをしよう。そうしようよ、みんな! ありがと先輩達! これはお礼!」



 一瞬で元気になった親近感の、いや、ぶりっ子だった出合崎が息を吹き返した。そして、俊敏な動きで俺達に近づいてニマニマ笑って抱き着いてくる。



 これが、彼女の性格の裏を知る前だったら、そう思うほどに可愛げのあるハグだった。



 だがもうだまされない。お前は計算高い性格だということが分かった。ミスであれだけ素が出るのだがら心の中でどう思っているか分かったものじゃない。



「出合崎、少し良いか? ちょっと明日は都合が悪い」



「どうしてですか~? まさか、デートですかぁ!」



「ちょっと、アンタどういうこと‼」



「落ち着け再月、明日は四争選の選考会だ」



「ああ、そうでした。ごめんなさい実凛ちゃん。お願いします、少し待ってくれませんか?」



「いいですよ~‼ 今は気分がいいです、少しくらいならいいですよ~‼ というか、応援とか行きますよ! いや、行かせてください! ほんっと、私達本当にツイてる、だってこの先輩達強いもの! 相手の助っ人が誰だとしても正面突破できる!」



 テンションがハイになっている。そこまで嬉しいようだ。



「でも、先輩達に頼りすぎるのは先生がダメだって」



「君はそんなことを心配しなくてもいいんだよ。可愛い可愛い俺だけの依頼主さん」



「はう!」



「お前ら、この委員会のリーダーは僕だ! 僕が作戦を決めるかどうか最終決定をする!」



「委員会って、まだ名前もやることも決まっていないのに~?」



「それは……、学校を作るって目的があるだろ!」



「それは結果であって、目的になりませ~ん」



 小学生三人組は嬉しそうだ。仮にも、体育委員会の幹部だけあってその能力も高いのだろう。俺でも少数精鋭で切り込んだら勝てる可能性は八割方あると思う。


 予想外のことでも起きない限り、だが。


 そして予想外とは、俺達のつながりの中で生まれることになる。


 嬉しそうに笑う一人の男は、ポケットに入れた何かを操作しているように見えた。




すみません。今日は二話、ここまでです!

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