第三十八話 信念
前回のあらすじ
テレビ局で男の娘にインタビューされていた。
再月も俺も振り回される始末、そして、
俺のスキを、バラされてしまった
事前に教えられた小学生三人組の『秘密基地』に俺と再月は足取り重く向かっていた。
あのあと、俺は当たり障りない言葉で上手くその場を切り抜けた。
再月も少し心配した顔でこっちを見ている。二つのテールがしょぼんと力なく見えた。
やってしまった、動画サイト、それも今人気がうなぎ上りのチャンネルで大きく触れて欲しくないところを突かれた。
双子である女の子達の言う通りだ。
叶帆の超能力は『手袋をはめた人間ならだれでも超能力を使える』のだ。
俺である必要はまったくない。もし誰かが代わりにやるとすれば、
離れたところで一般的なブレインの行動、指示や能力のコントロールをすればいい。
そう、ただの無能力者のように。戦いには参加しない。それで依頼をこなしていくことになるだろう。
まだ知られたくない秘密も、洗いざらい暴かれるかもしれない。もうあの力も、表立って頼れない。
使うときはその場の人間を殺すことも視野に入れないといけない。そんなことはダメだとわかっている。
突然フルフルと首を振る再月、ツンと上を向いて喋りかけてきた。
「あたし、慎を能力者と同列に考えていた。けど、ごめん勘違いだった。でも、いいじゃない! 仲間が増えればその無防備な体で肉体的にも精神的にも、次元能力で補正されている能力者と戦わなくていいのよ! あたし、は。その方が嬉しいわ」
片目をつぶりチラチラとこっちを見てくる。
「なんだよ、慰めているのか?」
「べ、別に! 死んで叶帆ちゃんが一人ぼっちになるのが嫌なだけよ、そもそも、どうしてそこまで戦闘に参加したいのよ! アンタのブレインの在り方、おかしいんじゃない!」
「そうだ、な。俺は、自分自身で戦いたい、とでも思っているんだろうな」
「なんでよ! 言っとくけど戦いは痛いのよ、苦しいのよ! 平気で人として安全に生きる権利を侵害してくるし、友達だって、友達だって突然一緒にいられなくなってしまうかもしれないんだから!」
だろうな。俺はブレイン。戦うことが仕事じゃない。でも、なんでだ、どうして俺はそこまでして戦いたいのだろう。
答えは考えなくても口から出てきていた。
「俺は今まで、ある人に助けられてここに来た。だから、今はその人のために助けることを目的とした、委員会を作った。
一人安全な場所で見ているのは、辛いのかもしれない。安全な場所で俺のために死んでいこうとする人を見ているだけなら、たとえ無能力でも、銃でも持って戦いたい」
「慎、そこまで……」
「そもそも俺のことを調べたんだろう? そこら辺のセカンド能力者より俺は上手くやれると思っている。借りにも前はフォース能力者だったからな。あと、慎って呼ぶな」
「あ。う、うるさいうるさい! もう呼びやすいからいい! これからは慎って呼ぶわ! だから私のことは竹夏って呼んでいいから! それでお互い様だから、それだけよ‼ 別に他意はないんだから。その自信家のまま死んじゃえぇええええええええええええ‼‼」
叫びながら走って消えていく。目的地は一緒だからどうせまた会うことになるぞ。言っておいて恥ずかしがってどうするよ?
まあ、そこまで悲観的に考えなくてもいいのかもしれない。せっかく再月が慰めてくれたんだ。気にしすぎて更にぼろを出すよりここは慰めてくれた再月の胸を借りて気持ちを切り替えていこう。
まあ、ほとんどない胸ではあるが。
「待て! お前、場所分かるのか⁉」
と、慌てて呼び止めたら、
再月はその場でカチンと固まってしまった。
お疲れ様です、イイタチイリュウです。
今日は、今日こそは何話か投稿しますのでよろしくお願いします。




