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第三十六話 テレビ局

前回のあらすじ

栗数大河 男のような女の子

連鶴希  おかっぱ少女 デレデレ

出合崎実凛 審判適正なし女の子


「ちょっと近い、もっと離れてよ離、れ、て!」



「うるさい、お前とペアになったんだから仕方ないだろ!」


 今、本質的には小学生が運営している放送委員会の放送室、『テレビ局』の一つに下見に来ていた。外からじろじろと壁に隠れてすきを窺っている。


 別に、同じ場所で下見をしないといけないわけじゃない。だから本来近くにいる必要はない。


 でもこの組み合わせは仕方ない、小学生の護衛と状況確認をする二つのチームに分かれないといけなかった。そして再月も無迅先輩もウザイくらいに目立つ目立つ。


だから最高に目立つ組み合わせの二人を分けたうえで、人畜無害で斥候に適している俺と共に行く人をこのグループのリーダーである大河が決めたのだが、うるさいくらいに息の合った叶帆と無迅先輩はこの人選に不満そうだった。



「別に分ける必要ありませんよね? 今までどおり私とマスターで調査に行けばいいです!」



「そうだ、この男は信用ならないね。下手に連れまわされて傷物にされてもたまらないな」



 無迅先輩に至っては『年下の場合、俺はブレインにしか従わない』と言ってきやがった。



 もうそれでいいよ、と言ったら。この中の三人組でブレインになっているのは誰か、話さないと決めているらしい。



「ダメです! あの『テレビ局』を落とすのは私の委員会の目的なのです~。そのサポートをするということは私達小学生の決定には従ってもらいます!」



 テレビ局を手に入れる。それは放送委員会の収入源である、昨今小学生の間で人気の職業である動画サイトの場所を手に入れるということになる。



 今のトレンドで『テレビ局』では動画サイト用の映像を作る施設になっていてこの疑似学園都市の多くの小学生が使っているらしい。



 人気の動画制作者は月何百万も稼ぐようだ。はっきりいって分けてほしい。



「そんなに離れたかったら、別の場所で探れよ! ここは俺が最初に見つけたんだぞ!」



「もう、嫌。そもそもこんな面倒くさいことをしなくてもいいのよ。いますぐ攻め落とすわよ慎、報告は任せたわ」



「どうしてそう馬鹿の一つ覚えに突っ込もうとする! もっとスマートに解決できるだろ!」



「うるさい、うるさい! あたしが突破できない施設はないわ。例えブレインがいなくても、レベルセカンドまで下がっていても氷炎攻撃で一点突破よ!」



「それでこじれて小学生の保護者が出てきたらお前責任とれるのかよ!」



「そう、あくまでたてつくのね。なら、敵の一人として認めてあげる、さあ、かかってきなさい!」



「今は俺がお前のブレインの代わりだ。だから指示に従ってもらう」



「はぁ、アンタがブレイン? 単細胞で戦うことしか出来なさそうなアンタが?」



「お前に言われたくない‼」



 いったい、皆大路はどうやってコイツの制御をしているんだろう。本気で興味を持ってしまった。


 情報を集めるのが下手くそで、わがままで、でもちょっとした勘は鋭くて馬鹿には見えないから余計にメンドクサイ野生生物を、止める方法を誰でもいいから教えてくれ。



「皆大路でも同じことを言うぞ。もっと考えて動け!」



「彼女はてきとうに倒して、てきとうに倒して、生きて帰ってくればいいって言ってくれるもん」



 遊撃専門かよ。確かに前衛(フォアード)だから作戦とかを事前に考えて行動させるより、彼女の動きでかき乱してから作戦を考えるほうがいいの、か?



「よし、コンビ解消だ。今すぐ無迅先輩と一緒に高校地区に帰れ」



「いやよ、アンタの秘密を暴くことがあたしにとって大事なことの! 今がチャンスなの!」



 そういって俺達はお互いに言い争っていた。それはいつの間にか周囲に人だかりを作っていたようだ。



 はっと俺が状況に気づいたときには、双子の女の子達が高価なビデオカメラを持っている大人と一緒に俺達にマイクを向けていて。



「そっこの~あつあぁつの二人組さん。いまかめらいいですか~」



「ども~、『双子ちゃんねる』で~っす。今いいですか~」



 突然のインタビュー。まずい、サーっと冷や汗をかいてしまった。目立つ行動は控えてくれと言われていたのに。



「なにかようですか?」



 断ったほうがいい。



 でも自然に、自然にだ。決して怪しまれないようにしろ! 



「いや~本当は今日オフの予定だったんですと。でも、いまわだいぁの死神事件を解決した人がテレビ局の前にいると聞いてお話を聞いてみたいと思って~」



「本当にそれだけか?」



「ええ~? それだけじゃない? それでもない? どういうこと?」



「詳しく聞きたいだけですよ~!」



 ……のったほうが怪しまれない、か。そうだ。まだ俺達は結成したばかり、いくら無迅先輩と決闘をして少し目立ったくらいで敵かもしれないと判断されているわけないだろう。



「分かりました。どこでやる?」



「もっちろん~!」




「テレビ局のなかで」



 はっきりわかるのに、失敗だった。






 彼女達に言われて理解させられたんだ、今話題の人物の一人は、俺も一緒だということを。




今日二話目です。よろしくお願いします。

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