第三十一話 財布は現実を見せる
前回のあらすじ
蹴り野球は不良と一緒にやるらしい
ついでに、小学生とも。
不穏な空気というものはなかったと思う
児島先生から約束反故の代償として、簡単で邪魔されない高ランク依頼を貰った。
だから今から仕事の交渉場所に向かっている。
そこは、小さな子供がよく利用する所で大人や学生の協力を得て小学生達は支配地域の運営を行っている。
つまり、今回の依頼相手は小学生ということになる。
ここ、疑似学園都市は自衛隊基地のそばにある場所ほど安全と言われている。
自衛隊基地を基準として、そこから離れれば離れるほど、中学、高校、大学と順番で支配地域をその学生が持つ、もとい危険と言われているのだ。
嘘だと思うほど小学生には危険が寄り付かない仕組みになっている。一人一人に保護者がいることからもその力の入れようは中学にあがった小学生があまりに自分が甘かったことを目の当たりにして絶望するくらいだ。
「このバスで行けるみたいです。それにしても、初めてですよね! この小学生地区は治安が良くて戦いを好まない学生のデートスポットとして人気らしいですよ!」
「知っている。言いたくないが、本当はあの寮よりこの地区のアパートを借りたかった」
金は出してやると言ったのに、金以外が支配しているこの地区は俺には冷たいらしい。権力最強だ。
ここにアパートを借りられるやつはどうやったのか。調べたら小学生関係者、自衛隊関係者、有名委員会で特殊免許を持つものと書いてあった。
有名どころのレベルフォースって、それってもうこの地区じゃなくても住みやすくなっているだろうが!
「バスの料金も、高いな」
乗り込んだバスで寂しい財布の中身を見る。入っているのはほとんどレシートでもう使えないクレジットカードが彩りを添えていた。
最近なんだが、本当にお金が減る。原因は不良三人組や、皆大路のせいだろう。
皆大路が原因は俺にあると風紀委員会が支配している『裁判所』に訴えたらしく、それが通り、俺が全額支払うことになった。
もう、あの手しかないところまで追い込まれていた。
「叶帆、お願いがある」
「はい、なんですか?」
「俺を、養ってくれないか?」
「え? 養って、って? もしかして! 私と一緒に屋根の下で暮らしてくれる‼ こくは」
「もう俺には金がない。モヤシでも、ドッグフードでも、賞味期限切れのパンだろうが食べてやる。だから、あと何日か俺にご飯を作ってくれないか?」
「ダメ、ダメよダメだから‼ 認めないわ!」
「え! この、声……」
バスの奥を見る。そこにいたのはヒーロー顔負け、身長百四十センチ少女の学園都市最強の前衛再月さんと、あとは、
スラリとして背が高いイケメン野郎がこっちを笑っている、と思うだろうが目の奥が笑っていない、
再月ヒーローさんと並ぶ力を持つ、女子が声をかけられたい男ナンバーワン。
右武最強候補の【戦争起こし】、称号φを持つ。刀龍無迅先輩だ。




