第二十八話 時限爆弾の消火方法
前回のあらすじ
俺の時間軸であったのは、
はぁ。 しかし、
天引愛夕は要注意人物だ。
「あの、生徒会長は」
「私ならここだπ君」
と目の前の大きな執務机の横から出てきたのはあまりにも小さすぎた、車椅子のポニテ少女だった。
そうだった。彼女の身長を忘れていた。
でも、普通は机の椅子に座っているものなのでは?
「あら、慎さん。ごきげんよう」
副委員長が丁寧な言葉を使っている。これは、それほど大事な話らしい。
あ、こめかみがプルプルと震えている。我慢している、これではいつ爆発してもおかしくない。ヤバい。
「……俺をπといったことは一応横に置いておきます。それよりも、せめて前会った時みたいに生徒会長らしくしていたらどうですか?」
椅子に座っておけよ、と言いたかっただけだ。こっちは結構プレッシャーを感じながらここにいるんだぞ?
え、本当の目的はなんだって? 体育副委員長のガス抜きだ。
「うるさい。私は生徒会長らしいもん。かわいいだけじゃないもん。豆粒じゃな、う、うう、うぇええええんんん!」
と、いきなり泣き出した。また、この組み合わせは。体育委員長は触れてはいけないと思ったのか逃げ出したな?
体育委員会への命令は彼が間に入らないといけない、なのに。
そして、それに異を唱えるのが矛夢さんだ。生徒会長が出しゃばるんじゃない。
「ほらほら、あなたは私のブレインじゃないの、かわいいだけじゃないですよ。ほら、大好きなスーパーナショナルキャラメル味ガムを食べて落ちついて、ね?」
「やった~愛夕大好き!」
なんだろう。ものすごく立場が絶対逆な気がする。疎外感に包まれる、突っ立っていること数分。
さてっと、そう言いながら俺とは反対側の向かいのソファに座っていた、少しリラックスした顔の体育副委員長が話を始めようとする。
どうやら少しイライラが収まったらしい。良かった。
「慎さん、実は」
「ま、待て体育副委員長。私が話す。良いだろう?」
「ええ。どうぞ。生徒会長らしくお願いしますね?」
「愛夕、またバカにされたぁ!」
ぐす、ぐすっとまた慰められている生徒会長。いいよ、分かったよ。俺が悪かったよ。
だからそんな目で見るんじゃねえ。
「さて、用件だったな」
さらに時間が経ってから切り出す。やっとかという感じだった。
「私は無駄な文章は嫌いだ。手短に話そう。慎君。ぜひ四争選に出場しないか!」
「嫌だ」
即答。これに生徒会長も呆れを通り越してビックリしていた。
ずずぅと、お茶を飲んでいる矛夢さん。分かっていたんだろう。
「俺は昨日児島先生に貸しを一つ作った。それはこういう大会に出ないということを意味して言わせてもらったんだ。俺は主人公になりたくない。そんなめんどくさいお遊びに付き合っている暇はない!」
四天王争奪選なんて出ても俺には一つも得はない。まだランク二依頼をしているほうがいい。
「主人公になりたくない。お遊びか。君が貧しいということは知っている、裏でお金を稼いでいることもな」
「分かっているなら話は早い。俺は色々とお金が入用なんだ。一攫千金よりも地道が俺に合っているんだよ」
「君は、どうしてだい? 大きな力を持っている、別に私達生徒会の一員として出てほしいと言っているわけじゃないんだぞ?」
「だったら良いだろう? それに、何処かの組織の委員会が暴走したんだぞ? もっとスマートに解決できたはずのお前達を信用しろというのが無理なんだよ」
「それは、謝罪する。昨日は私達称号持ちが四争選の下見と調整のためいったん力を回収しているときに襲撃されたんだ。しかも、辺りは混乱していた。まさか私達と争うだけの力がある体育委員会を狙うなんて思いもしなかったんだよ」
生徒会長がその眼を暗くして俺を見つめている。ポニテ少女、全ての委員会から支持された疑似学園都市の頂点の後悔、か。
少なくても、ここ『パラレル』のメンツは守りたいのだろう。
「時代だよ。油断が慢心を招いた。私の心は反省の念でいっぱいだよ。他都市の超能力者の学校も今なら四天王の座、多くの称号持ちを抱える最高峰の四つの学校に入れるのじゃないかといろめきたっている。あの事件で数少ない称号持ちが怪我をしたからな。今なら勝てるはずじゃないかって」
生徒会長は深々と頭を下げて、言ってきた。
「大会に出てくれれば君の大切な人を救ってあげよう。どうかこの哀れな生徒会長の、評価を下げる汚点をすすぐため協力してくれないだろうか」
πといい、姉さんの状態も知っているのだろう。最大組織、『生徒会』が姉さんのことで協力してくれるならこれ以上いい条件はない。理解は出来ている、けど、本音ではやりたくない。
「……だからいやだって言ったんだあのダメ教師。分かった、分かりましたよ! しかし、今回だけですからね。来年はでないからな!」
頭をかきむしりながら言ってやる。
「それでこそ、この疑似学園都市の生徒だよ! ほれガムをあげよう」
「ありがとうございます」
と子供のお遊びに付き合うような気持ちで手を出すと、
「はい。あ~げた」
と手を上に上げて自分で食べるではないか。さすがにカチンとくる。
「まあ、これぐらいにしておくか。私の名は令司紫苑という。頑張って四天王争奪選の切符を勝ち取ってくれ」
「はぁ?」
「あれ、言わなかったかな。声をかけた体育委員会の生徒は君だけじゃないということさ」
ずいぶん手玉に取ってくれるこいつ。そんなやつは握り拳に息を吹きかけ鉄拳制裁を落とすのが一番だ。
「せ。せんせ~車いすのか弱い乙女に鉄拳を下ろそうとする男子生徒がいま~す」
思った、忘れてはならない。生徒会は敵である、と。
今日は沢山投稿します。




