第二十六話 捨てていた未来
前回のあらすじ
俺は道士に勝った
しかし、幼女には逃げられたが
しかし、なんだ。良かった、と思う
その日は、寝苦しい夜だった。じわりじわりと過去がスライドショーのように浮かんでは消えていく、浮かぶのは俺の行動によって不幸になった人々だ。
こういうときに限って、舌打ちをして死んでしまいたい気持ちになる場面が出てきた。数人の男女に囲まれている、俺と叶帆が彼らの委員会に捕まっている中必死に抵抗しているのは、わざと姉弟と間違われるように髪をショートカットにした二十代の女性。
『だめだ、姉さん! そいつらに関わっちゃだめだ。能力を使うのは止めてくれ!』
夢の中のその女性に俺の声が届いたのだろうか。振り向いてくれると、消え入りそうな顔で笑顔を浮かべていて。
受信が断続的なテレビのように彼女のまわりをノイズで一杯にする。それは次第に、大きく世界を巻き込む。
結果、
ズレた時間は基準を求めた、女性は時間にとらわれることになった。
それでも、そのとき。涙は出ることはない。しかし高校一年生なのに、泣きたくなるほど自分は弱いのかと思うと悔しくて泣き叫びたかった。
せめて酷い顔は見せまいと地面のアスファルトを下敷きに頭をうずめている俺に、誰かが立ち止まった。
見えないはずなのにおずおずと、手が差し出されたような。
『信じています、マスター』
自分自身、まだ気付いていない幸せが、俺の呼吸を穏やかにしていってくれた。
~*~
「ねえねえどうして隠していたの。やっぱ狙ってた?」
そう聞くのは野次馬のみなさんである。みんな昨日の事件で活躍した俺達の話を聞きたいんだ。
その理由はいたって簡単。ブレインなのでその人気にあやかって傘下に加わりたいもの。もう超能力者になっている人は隙を見つけるか能力の限界を計ろうとするもの。
でも、もっぱら一番めんどくさい事柄は俺達のクラスに引き抜いてくるつもりでスカウトが来ていることだろう。
興味本意で聞くものは九雨ぐらいだ。
「ちょ、すいませんどいてください。あ~はいはい。新聞委員会? そんな記事、適当に書いといてください。俺は一向に構わないんで。くそ! あのダメ教師、だから嫌っていったんだ。すみません。二年B組までの道をあけてください!」
俺は追い払うように声を荒げる。一方の叶帆は、
「すいません、すいません、すいませ~ん」
何故謝っているのか分からないが、そんな感じで俺達二人、二年B組までダッシュで走り去ることしかできなかった。
「お~人気ものだね~慎」
「うるさい九雨。お前も少しは昨日手伝えよ」
伊達に政府が後ろ盾について、情報を引き出させないようにしているわけじゃないんだろ‼
「こうなるの分かっていたから。それよりも生徒会長が呼んでいるって」
せ、生徒会長? 誰に? 俺? ここは敵地みたいなところなのに?
「生徒会長⁉ 俺になんの用だ!」
「さあ、教卓前のドアにいるよ。ほら」
そういわれたので見てみる。生徒会長よりも生徒会長らしい風貌の女性がこちらに手を振っている。髪型は少し巻き毛があるロングヘアだ。
遅れてすいませんでした。
今日から二章目です。よろしくお願いします!




