第二十四話 レベルフォース
前回のあらすじ
表道詩沙という女の子
俺と知り合いだったらしいでも、
俺は今の時間軸でぐるぐると回っているんだよ。
「言いたいことはそれだけか?」
俺は刀を消す、急い方がいい。恐怖に支配されている生徒達が押しつぶされるほど長話をしてしまったような気がする。
「交渉決裂でいいな」
「殺さないで。もし殺したらお前を殺す」
「しょうがない。だが能力を下げてくれるなよ」
黒い服を着ている道士から複数に分かれる影、その影から生まれる死神は際限なく駐車場を埋め尽くしていく。
俺を囲む、残りの一部はブレインの、幼女を守るようだ。
戦いを分かっている。超能力者との一対一ではない場合、ブレインを中心に攻撃するのが効率的だからだ。
しかし、まあ。どうやら格が。レベルフォースとレベルサードクラスか? それじゃ勝負にならない。
簡単な計算問題だ。レベルサードは千人で、フォース一人分だ。
そして、レベルフォースは一人で人を殺す力だ。
グイッと手袋をはめなおす。
「そこ、危ないぞ?」
ズボンッッッ‼
駐車場の地面を割って出てきたのは鎌と拳銃が背中合わせで組み合わさっている武器、一瞬で生成した細い見えにくい糸が括りつけられているそれを引っ張りだし意表を突いた。それを死神たちに振り回す。
「なにい!」
ズササササササササシシシンンン‼‼‼‼‼‼‼‼
円を描くように刃物が舞う、その進路にいた死神の体が二つに裂けた。今度は道士の男に飛ばすと、ギリギリで一人焦ったように避けた。
幼女も気にしたほうがいいんじゃないか?
といっても、頭にあるかどうかすら怪しいけどな。
「手袋に宿った叶帆はどこだろうと武器を精製できる。材料は地球の下にもあるからな」
死神を縦にして鎌付き拳銃の攻撃範囲から外に出る男。幼女はまだ攻撃範囲にいるのに。
それほど、彼女を守っている死神に自信があるのか。
それとも、殺されないなら少しぐらい傷ついてもいいと思っているのか。
「ふふ、驚いた。珍妙な武器を使う。しかし、私の影がただの幻で、質量を持てないとでも思ったか?」
まだ数えるのがめんどくさいほどいる死神が黒く光る。まさか、メタル化かよ。俺は近くに鎌型拳銃を引きよせた。
「硬くなれば刃は通らない。振り回しても意味はない。無能力の分際で歯向かったことを後悔して死ねぃ! さあ、押しつぶせぇえええ‼」
多くの硬くなった死神が俺のいるところになだれ込む、会社にいる死神も戻ってきたようで減った分は補充されている。
「はっはああははははははは‼‼ どうだ、超能力者になったら何でもできる! 人を殺すことも、人生の逆転だって思いのままだ‼」
超能力は人を選ばない。でも人は超能力で人柄がわかるらしい。
そういえば。押しつぶされそうな中、ふと記憶がよみがえった。
『それで、超能力をどこまで信じますか? 人は殺せると思います? 人は生き返ると思いますか?』
そんな聞き方をしたら、
『絶対にその前に返して下さい!』
『分かりました。死にそうになったらもうこの学園都市に入ることはできません。でも絶対にその前に返しますね』
普通の親の反応、俺の親も一緒だ。しかし、
『最後まで信じます。他は興味ありません』
『死ぬかもしれないよ、いいのかい?』
『どうでもいいです。希望を持てたのなら』
それを見た、関係者の一人は笑っていた。
「きゃぁああああああああああああ‼」
叫び声が会社の方から聞こえる。うるさいな。俺という頼みの綱がなくなったと思ったからか?
当たり前か、今の俺は死神に群がられている哀れな人間だから。
「あなた、殺した、の?」
不安そうな幼女。腕でぎゅっとぬいぐるみを締め付けた。
「意識はもうないだろう。殺してはいない」
イライラしたように言葉を返す男。本心では殺したいと思っているのがまるわかりだ。
彼は、超能力から見通せる人柄通りだった。なら、
お前は能力者になる器じゃないよ。




