第二十三話 行き過ぎた望み
前回のあらすじ
叶帆の力、『生成』
あらゆる武器を生成する力
敵は二人だが、レベルフォースなら負けるつもりは、ない
「ふむ? 誰か来たぞ」
「慎様! お久しぶりです!」
嬉しくてたまらないといった、ぬいぐるみを抱えたロングヘアで銀髪の幼女が胸に飛び込んでこようとしてきた、
俺は刀を牽制するように彼女に向けた。
出てきてよかった。どうやら厄介事の中心は俺の可能性があるらしい。
「誰だ、お前」
知らない。昨晩脱獄したばっかりで指名手配されている、犯罪者を連れている幼女なんて。
幼女は始め駆け足だった、それが歩を進めていくことに遅くなっていく。最後には苦しそうに怯えるように進もうとして、足が止まってしまった。
「私、あなたのブレインをやらせていただいた、表道詩沙! 『いじめや引きこもり専用の探偵、警察機関と彼らを治療する国家資格を作る』という理念に感銘を受けた一人です‼」
「知らないな。それよりもさっさと警察候補生に引き渡したいのだけど?」
簡単に事が済むならいっそのこと知り合いの真似事をした方が良かったのに。今からでも『あ~久しぶり、どうだ元気だった? え、問題児になっちゃった? 全然気にすんな! 俺も同じようなものだから』。なんて言ってやるか?
いや、面倒事が増えるだけだな。さすがに大多数が見ている中で犯罪者と知り合いは不味いだろう。
「慎様、そんなこといわない。組んでいた時、そのお力で全ての引きこもりやいじめの代わりに力を振るってくれたよ?」
「あいにく、昔のことは忘れてしまう性格なんだ」
お前知っている一年前と、俺が歩いている一年の質を一緒と思うことはできない。
あんでって? 一年生の俺は遠い昔ってことだから。
「そう、ですか。でも、私、諦めなかった! 貴方に絡みついている超能力者に戻れない鎖。それを破る算段が付いた。そのために、その手に付けている女を殺すね!」
頬を染めて簡単に殺すことを決めるところは、さすがにちょっと引く。
一年生だった自分はこういうやつと付き合って不思議に思わなかったようだ。
「つまり、俺の敵ってことだな?」
「そんな、味方! それに聞いたよ? クラスの人達にいじめられているって。私達の『委員会』だったらいじめなんて起こらない、超能力者だったあなたならそんなカスども殺していた。牙がない貴方なんて、私の心酔した慎様じゃない!」
「おい、少年。悪いことは言わない。無能力者のブレインに価値はない。彼らは戦うことを人に任せてうまい汁をすすっている寄生生物だぞ」
そんなこと、言っていいのかよ? そのブレインに力を貰って能力者になっているのはどこのどいつですか?
「ずいぶんと。ブレインに聞こえているぞ」
「フン。このブレインとは使い捨てるにはもったいないほど利用価値があるから組んでいるに過ぎない」
使い捨てるって。さすが犯罪者は言うことが違う。
「慎様、あなたになら! 私を擦り切れるまで、それこそ奴隷のように使って! そのためになら操り人形になっても、慰み者にされても、慎様に助けていただいたこの命、あなたに捧げる‼」
相棒同士であるはずの彼女達はお互いが見えていない。関係なんていらない。犯罪者を超能力者にしても、利用されているだけになろうとも、表道というこの幼女は昔の俺を求めている。
残念ながらその人物は、もうとっくに俺の中にいないんだ。それでは変えられない現実を知ってしまったから。
どんどん、いきます! 皆が見てくれている限り。
よろしく、お願いします!




