第十六話 予想通り 後半
前回のあらすじ
俺は汚名を着ることになった。
だが、そんな俺を叶帆は励ましてくれていて。
おい、【教室】にいるってそれは悪手だ
体育委員会所属体育大院代学園、その支配地域は学校に無くてはならない『校庭』である。
委員会同士は敵対している、お互いの委員会を潰す、それで学校を否定しようと躍起になっているのは話した通り。
しかし、生徒会が支配している職員室や、生徒会室のなどの『仕事室』が使えないとこの学園は先生達に授業を教えても貰えないし、部費などの費用も降りてこない。
だから、折衷案として、『体育委員会』は『校庭』を『生徒会』は『仕事室』を提供しあっている。
しかし体育委員会は生徒会との取引は常にピリピリとした関係を持っているらしい。
生徒会が最強と言われる所以、それはほとんどすべての施設を一つずつは持っているからだ。
しかし、体育委員会の『校庭』は持っていない。だから、そう詮索する人は沢山いる。
今、授業を受けている会社の会議室である『教室』は美化委員会から借りているし、支配地域を持つということはそれだけ責任が伴う。
それでも、使用費として委員会からお金を徴収できるので誰でも喉から手が出るほど欲しいけど。
コツン、と何かが俺の頭に当たる。
少し机にのった。つまんだこれは、消しゴムだな。
後ろを振り向くと何人かが目を逸らした。
「こらこっち見ろサボリ魔! お前、赤点は回避したが単位はギリギリだからな。少しでもきぃ抜くと進級できないぞ?」
「……すいません」
先生に怒られる。
クスクスと悪意がなく笑う生徒とバカにする笑い声が同じものに聞こえる、そして。さらに消しゴムを投げつけられる量が増えた気がした。
「止めて、下さい」
小さな声で自分自身の心を守るため震えて言う叶帆。それで止めてくれたらこんなことになっていないのに。
きっと彼女も、飛んできたことで教室に居場所がないということがはっきりと分かっただろう。下を向いて教科書を凝視しているように見えるが、それは先生から顔を隠すため、涙がこぼれてしまうからだ。
「次振り向かせたら、そいつに昼飯奢ることにしようぜ!」
「よっしゃあ!」
チラッと時計を見る。まだ半分、まだまだこいつらの遊びに付き合わないといけないらしい。
小学生かよ。お前達みたいなやつが、この学園都市にいることがビックリだよ。
怠ける特殊なアリと一緒、そういうものか。普通を求めるお前達はその性格がお似合いだよ。
生徒というものは移動を好まない生徒が多い。確かに、最終的にはお金でいい所に就職できるから何をしても一緒だと思う。
でも高みに上りたい生徒は自分で調べて質のいい授業の『教室』に向かう。お金とはそういうものに使うとばかりに散財する。例え面倒でも。
でもこのクラスはいたって普通のクラスだ。体育委員会の生徒しかほぼいない。
前までは再月と不良三人組がいたが、もう別のクラスに移ったか。つまりこのクラスにいる生徒は仲良しこよしで卒業するのが正しいと思っている。
節約と言うか、貯金と言うか。クラスに所属するのも金が要るからな。これが払えないと、恩恵が少ない最弱クラスに入らなければならない。
「おい、消しゴムじゃ面白くなくね?」
エスカレートするらしい。その思考になるのはもっともだ。俺は無能力者、何か能力を持っている叶帆よりも反撃される可能性が低いと思っているんだ。
弱い者にはとことん厳しい。泣いたとしても今度は男として死ぬことになるだろう。
「先生に言ったらどうかな慎。とても見苦しいよ」
隣の九雨が俺に助言する、見逃さなかったぜ、お前も同調して少し投げただろう。
いいよ、やれ。俺もやっているだろうからな。
「うるさい。俺の勝手だろ。それに世界は因果応報。けじめはつけないとな」
「優しいんだね~」
こいつらはとりあえず無視だ。まだ、依頼は終わっていない。
俺はエスカレートする生徒達に意識を逸らされることなく、体育副委員長に会いたいとメールで伝える文章を考えることにした。




