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第十三話 客

前回のあらすじ

戦いにすらならなかった。

能力暴走、それを再月と先生は体を張って止める。

未来でこの出来事は、果たして――、

 

 最近、困ったことが起こる。


 俺の寮の部屋をどんどんと叩く人間が多く、数多くいるようだ。今日は朝五回、昼に三回、夜十五回、イラついたのか去り際に部屋のドアを蹴られた。


 まったく、これじゃあおちおち寝てもいられない。俺は学生、学校に行かない時ぐらいゆっくり、自堕落な生活を送らせてほしい。


 ああ、宅急便は仕方がない。我慢しよう。


 再月に言われた手前、俺は部屋から一歩も出ないつもりだった。でも、流石にカップラーメンだけじゃ体を悪くするし、ゲーム機で体を動かしてはいるがストレスはたまる。


 いいや、俺も引きこもりの端くれ。こんなことに音を上げていては小学、中学時代の自分自身に鼻で笑われるだろう。


 しかし、昔の俺はいじめられたから引きこもりになったわけではないのだ。


 ケンカを起こし、それを咎められ、そのケンカでのことで弱いだのなんだのからかわれ、我慢ならず、ケンカをする。負のループに入っていた。


 今は大人になった、あの頃とは違い分別もついている。


 しかし弊害として、人が怖くなっていた。


 どうせ、この世界ではふっと出た悪口なんて解決できない問題だと知ってしまったのだ。


 いじめ以上にたちが悪い。いじめだったらアイツさえいなければ俺はもっとましな人生を歩めたと信じられただろう。その人物がいなくなったとき、俺は外に出られたかもしれない。


 でも、引きこもりの原因を聞いても、多すぎて、ちょっとのこと過ぎて、心を抉る深さを上手く伝えられない、答えられない。



 色々な経験をして今は、人を信じないことにしている。それで人を怖いと思う心を押さえつけ敵意剥き出しでこの疑似学園都市では対応していた。


 さて、話がそれた。


 そう、結局、家から出てしまった。


 ハンバーガーが恋しかった。


 そもそも、だ。なぜ部屋に突撃してくるやつを恐れないといけないのだろうか。


 伊達にブレインである俺は危険な依頼を叶帆と一緒にこなしてはいない。少しも怖くはないはずだ。


 頭ではわかっている。人と会って被害妄想してしまうのが嫌いなんだ。


 でもやっぱり、引きこもっていたほうが良かったかもしれない。


 部屋から出た自分、まるで自身が指名手配犯になった気分にさせられたよ。



「A班、左に回り込んで、C班、突撃!」



「『新聞委員会』です。一言おねがいしまぁす!」



 ウゼ。せっかく買ったお得なセットを抱えてわらわらと集まってくる学生どもから誰も通らない道を通って撒いていく。


 突撃してきた一部の過激派は何がしたいんだろう? 皆目見当がつかないな。



「こんやぁろう! さっさとあの不良共から超能力を取り上げろ!」



「そうだ! お前のせいで『教室』が三つ使用不可能になったんだぞ!」



「それだけじゃない‼ 被害を受けた『教室』を支配下に置いていた『生徒会』が『体育委員会』と衝突した! 責任取れおらぁ!」



 ということらしい。風紀委員会にでも、牢屋を借りて閉じ込めておけば?


 でも、今度は牢屋が全て壊れて更に彼女達の被害総額がかさむのだろう。


 超能力は渡したが、災害級の力を手にしたいと言ったのは彼女達だ。秘密だが録音もしてある。


 責任転嫁は止めてくれ。必死に制御しようと頑張っているのだろう? 『教室』の一つや二つ、お前達の広い心で受け止めてやれ。


 しかしまあ、風紀委員会が本格的に調べていたとしたら、きっと『特殊免許を持っていない人間に力を渡しただろう』、ともっともらしい理由で俺を拘束するんだろうな。



「ハンバーガー、うどん、そば。店にも寄れない。『風紀委員会』にストーカー行為の被害届でも出すか」



「『風紀委員会』です! 矢炭くん、詳しく事情を聴きます。署までご同行お願いします!」



 止めておく。わざわざ拘束されるために自分から足を運ぶ必要はない。


 鬼ごっこのようだ。それも事態を把握した通行人の生徒が茶々を入れてくるからほんとうにたまらない。



「……、まだ午前中か。暇人どもめ」



 部屋に戻ってこられた。が、


 何かしようとしている生徒の多くが部屋の前で待ち伏せている。馬鹿みたいに追いかけてきたが、考え自体は理論的らしい。



「だが、甘いな」



 ここは学園都市。それすなわち、部屋にテレポートをしてくれる心優しき人間もたくさんいる、金を渡したら誰もが心優しき人間なんだぜ。



 超能力者は関わってこないようだ。当たり前と言えば当たり前だろう。超能力者というものはもう存在自体が成功者だ。真っ昼間から俺を追いかける正義感溢れる生徒は疑似学園都市に果たしているのか。いや、いないだろうな。



 あっと? 正義感溢れる? まさか、な。



 一瞬不穏な思考が頭をかすめたが、部屋に帰ることが出来た俺は安全だと思ってしまった。


 この部屋は俺の砦、何人も破ることはできないだろう。だから考えるだけ無駄。


 しかし、このときの俺は全てをぶっ壊す、正義感も真っ青なヒーローの存在を忘れていたよ。





今日は二話投稿したいと思います! 毎日見ていただいてありがとうございます、かなり見切り発車ですが、この小説が続く限りファンになって頂けると嬉しいです、よろしくお願いいたします。

そして、ブックマーク、評価、感想などもお待ちしています!

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