第十二話 フォース能力の制御失敗
前回のあらすじ
俺は休んだ、そして、授業が始まる。
タコ先生と不良三人組の戦い。
でも、様子がおかしいようで、
「え?」
不良少女は言葉の意味が一瞬理解できず呆然としていたが、見た体の、自分の状態がだんだん頭の中に入ってくると泣き崩れ、
「~~~~~~~~」
声にはならない悲鳴をして体を隠しながら地面にへたりこんでしまった。しかし、対処しないといけない相手は待ってはくれなかった。
「ふん!」
「ま、まず!」
そんな不良少女の一人が欠けたことを好機と見たのか、殺気を滲ませた教師が不良少女のリーダー格の顎を狙い迫ってきた。
しかし合わせる、普通の不良少女なら手練れの教師の攻撃に対処はできないが戦闘技術とその対応は学園都市で生きていくためにしっかりと身に付いていた。
とっさにリーダー格の少女は手で顔を守るボクサーのようにガードして教師の攻撃を防いだ。はず、だった。
教師の拳がリーダー格の少女に当たったとき、それと同時に服が引き裂さかれた。彼女の肌や下着が晒されることになってしまった。
「なんで、これって私の能力、か?」
彼女の言葉の後、男子は眼福、眼福と表現しないガッツポーズをとる。それを女子達は冷ややかに、冷静に観察して怪しい行動をした男子をブラックリストに叩き込む。
「ずさんなコントロールだ。ブレインはどうした? お前達だけでは、いや、お前達には早すぎる力だ。さっさと無能力に戻るんだな」
「あねさん、避けて!」
教室に小さなトルネードが巻き起こる。これは飛行能力の応用だろう、机の上に置いてあった教科書やノート類がバラバラになった。これは片づけるのが大変だ。
「ちっ!」
先生は戦闘を終わらせることが出来た。しかしそれをせずホワイトボード前にバックステップで戻る。
敵とすら見なしていない。彼女達を相手にしながら持ってきた道具を飛ばないようにしていた。
「大きく、大きく大きく! 全て壊せ!」
馬鹿だ。それでこの場を乗り切ることが出来ると思っているのだろうか。もっとも、それ以前に自分の身に危険が迫っていることにさえ気づいていないだろう。
「止めろって! 俺達まで、飛ばされちまう!」
リーダー格の不良少女が指摘した。はっ‼ とトルネードを操る少女も身の危険に気づく。
でも、
「な、姉さん⁉ 止め、どうやって、止め、る⁉」
止められなくなったようだ。超能力者の思いとは裏腹に、トルネードは大きく、そして激しくなっていく。
「きゃああ‼」
「た、助け!」
生徒達が壁に叩きつけられ始めた、ノートの角が頭にぶつかっている生徒もいる。危険な状態。それにいち早く対応できたのは、二人だけだ。
再月と先生だった。二人はそれぞれ目線を合わせて意思疎通する。お互いの出来ることを確認し、行動に移す。
「せ、先生、助け」
「待っていろ、すぐに助ける!」
「凍りなさい‼ 『絶対帝度』‼」
カチン、と人以外が凍った。その氷漬けはクモの糸のようで教科書などが空中で絡めとられて固まっている。さらに空気の渦、トルネードも氷の檻に閉じ込められた。
これが、『熱運動』の真骨頂。炎だけじゃない。熱エネルギーをゼロにすることによって氷でさえも操ることが出来る。
聞いた感じ、再月は俺との戦闘で反省したのだろう。レベルも最大値まで上げているようだ。
「お、落ちるぅ!」
「ふんう‼」
何人かは空中に浮いていた、それをからだ全体で抱きとめる先生。
「わ、私は、ご、ごめ」
いきなり空中に飛び始める、なぜか彼女はそのまま滞空して、
「もう、飽き飽きだよ。お前達の下着を見るのは」
先生に助けられた生徒の一人がそうつぶやいた。女子生徒も咎めない。もう恥ずかしい思いをしている彼女に同情する気持ちはこのクラスには一人もいない。
それほど、今起きたことはクラスの許せる範囲を超えていた。
「お前達三人とも、後で『生徒指導室』に来るように。そこで今回のけじめをたっぷりと受けるんだ。わかったか!」
『……、はい』
気が動転しているのだろう、いつもと違ったしおらしい声で三人は返事をする。
俺は予想通りの結果に溜息を吐く、別に、満足はしたわけじゃなかった。
なにせ、まだまだ彼女達の苦難は始まったばかりだ。
そして、俺の地獄は始まろうとしている。




