第十一話 調子に乗る
前回のあらすじ
不良達に超約することに決めた慎。
でも、再月が噛みついてきた。
ああ、明日から俺、休むわ
叶帆に聞いた話を俺視点で話そう。
「なぜ超能力者は地域に貢献しなければならないのか。それは今勉強している日本史、ひいては超人口爆発に関係している。二十一世紀後半、この世界は薄い膜、ブレーンという概念が定着化する事件が起こった。四次元以降の人間が私達の次元に移動してきたことが数十年経って政府から公開されたのだ。そしてその移民は住まわせてくれるかわりに超能力で人助けを行った。その祖先達が」
『ちわーす。遅れてすみませーん』
「……遅い。今何時だと思っている」
歴史の授業中入ってきたのは俺と超約した不良少女三人組だ。いつもなら怒ると怖いこの教師の授業に意図して遅れることはない。
しかし、今日からの三人は違う。それはクラスの生徒が一番理解していた。先生はまず煮えくり返る気持ちを落ち着け、怒りを押し殺すように腹の底に響く言葉を吐く。
「私の授業に遅れてくるとはいい度胸だ。よし! クラス全員罰として宿題を増やす。勿論、持ってこないやつには単位はやらん!」
はぁ? っと辺りがそのあまりの理不尽さに悲鳴があちらこちらに響き渡った。しか何故だろう、三人組だけはまるで時間が止まっているように冷静でお互いの顔を見合せたあとにっと笑い、
『いやでーす!』
普通の神経では決して吐かない言葉を言ってのけた。さすがに先生もこれには怒りを通り越して驚いたのか、口をパクパクと動かして喋ることが出来ない。
「だって先生の授業つまらないしー」
「性格も悪い」
「あと息が臭い。ねー!」
同意を確認するように周りを見渡す。確かにそれは事実であるが正面から言ったのは彼女らが初めてだ。生徒達は教師の顔色を伺いつつもこっそりと笑みを浮かべる。
なぜなら生徒全員もこの教師に対する鬱憤はたまっていたからだ。本音は面倒を増やしやがってと彼女達に思いつつもこの余興を面白そうと目を輝かせていた。
教師はクラスが苦笑いに包まれてやっと自分が辱しめを受けたことを理解したらしい。それこそタコのように――のちにその姿を見て本当にタコ先生と呼ばれるのだが――赤くなり手をわなわなと震わせ始めた。
「お前達、分かっているのだろうな。この学園都市は特殊。普通はやってはいけない体罰も国の規則であるていどは可能だ。しかも私は兵役上がり。楽に指導を受けられると」
「あーハイハイ。分かってるって。どーする? 今から私達を指導する? きゃ! 何されるんだろ?」
あまりに安い挑発。だが、あまりにレベルが低すぎるゆえにこの教師の目は死んだ。
「良いだろう。授業は戦闘歴史体験に移行。お前ら、しっかり見とけよ」
三人組は待っていましたとばかりに笑う。彼女らにしてもこの状況は望んでいたらしい。自分の力を試せる。それもいけすかない相手に。
彼女達は超能力で勝てない相手は存在しないと過信していた。現実的に考えれば、この学園都市で教師をやっているという時点でその強さに察しがつくはずなのに。
「まずはお膳立てね」
そういって三人組の一人が相手の視認遮断能力を使った。これにより三人組は透明、この状態から相手を攻撃するも逃げるのも自由自在だ。
しかし教師に睨まれる手前、三人組は恐れを抱いていたのか、取り敢えずの安心感を持ってしまいすぐには動けなかった。すると、
「きゃぁあ!」
と叫ぶ声が響く。それは教師の行動に衝撃を受けたのか、三人組が消えたのに驚いたのか。残念ながらそのどちらも当てはまらなかった。
「赤?」
「赤だな」
「下はピンクって」
「お前、バカにしているのか?」
えっ、と能力を使った少女が生徒と教師の反応に驚く。男子が彼女の方をちらちらと見ているのだ。しかも、胸や下半身の方を重点的に。隣の仲間も少女の方を向いて、目を丸くしている。
「お、お前、なんで自分の服消して!」




