49/50
でも、いつかまたつまずいて、転びそうになるんだろうなと思いながら生きていく
●
「7回忌か…」
「ぅん…」
私のお母さんとお父さんが私のお墓の前に立っている。
そんなにお花大丈夫だよ…気を使わせてしまって申し訳ない。
「早いね…」
「ぅん…」
カラスの私は少し離れた電線に止まり両親を見ている。
少し経つとお坊さんが来て線香を焚いて何かを長々と読み上げた。
「…」
死んでいてもやっぱり何を言ってるかわからないんだなと思った。生きてる時は幽霊にはわかるんだろう…と考えたことを思い出した。
「…」
私を亡くして、それを覆い隠しながら生きて、ふと思い出して苦しんで、ふと忘れた事を悲しんで、忘れた自分を傷付けて、頑張って前へ進んで、罪悪感を感じて少し戻って、少し留まって、そしたら食べる事も寝る事も起き上がる事も苦しくなって、やっぱり駄目だと前へ進んだ。
少し進んでつまずいて、転びそうなのを堪えて生きて、ご飯を食べて、寝て起きてを繰り返していたら、つまずく回数も減って、転ばなくなった。
でも、いつかまたつまずいて、転びそうになるんだろうなと思いながら生きていく。
それが人間として、生きるという事なのだから。
「…」
私はいつの間にか、また自分として生きたいなどと思わなくなっていた。




