あの子は専門学校に進学した
●
あの子はあれから学校に一度も行かずに卒業した。(私はたまに起きてあの子に憑いて、眠ると何かの生物になっていた)
出来ない事はあっという間に増えていったが、それらが出来る状態に戻るまでは時間を要した。そして出来るようになるとなんで出来なかったんだろうと思えるほどの事になった。
〇
「勉強とかないみたい」
ママが言った。
何も無い私にそう言った。
「ぃぃねぇ…」
正直大学にも専門学校にも行きたくなかった。かといって働きたくもなかった。そしてこの言葉が頭に浮かぶたびに自分をぶん殴りたくなったがぶん殴りもしなかった。
ぁぁ、留まっている。人としてダメですよという所に留まっている。
ぁぁ、頑張らなければと焦る私がいて、地団駄を踏むほど怖がっている私もいて、んで何するの?何かしたいことあるの?という冷静な私もいて、別に何も…と横柄な態度の私もいた。
●
あの子は専門学校に進学した。
映画とか脚本とかそういう関係の専門学校だった。
入学式のあの子の顔には(こんな浅はかな知識、浅はかな気持ちで入っていいのか?)とでかでかと書いてあった。
●
あの子は専門学校の自己紹介を少し、失敗した。
「映画・ドラマ、観てますが…皆さん程見ているのか…わかりません。あと、この前まで引きこもりでした……ぁ…ぇっと、はぃ、よろしくお願いします」
○
私は自己紹介を失敗した。失敗というレベルでは言い表せない程失敗した。
心にずっとあった(にわかにも劣る私がこんなところにいていいのかな?私引きこもりだよ?これっていつか絶対ばれるよね?)これを最初という悪いタイミングで、皆の前という悪いタイミングで、何ともないことを紹介し右から左に受け流される自己紹介の場で、私は急に切腹し腸を取り出し困った顔で「よろしくお願いします」とぎごぢない笑顔を見せた。
●
自己紹介が終わり(この子また自殺しないかな?)ととんでもなく私を不安にさせていると、一人のメガネを掛けた髪の長い女の子が彼女に声を掛けた。
「実は私も…そぅ…」
彼女はその子と仲良くなり初日で終わると思われた学校生活は良き形で続けられることになった。




