110日目 守護伯爵選定
●110日目(グリウス歴863年8月22日)
カーン、コーン、カーン、コーン・・・
街中を鐘の鳴り響く音が木霊する。
その音で目覚めた俺は大きく伸びをして起き上がる。
「もうそんな時間か。」
この鐘の音は今日行われる守護伯爵任命の式典の開始2時間前の合図だ。
パルーア中に通達されているので知らないものは誰もいない。
今まさに城の前の広場にたくさんの人が集まりつつあるのだろう。
一応、侯爵という事なので俺もアンジェとマリアと一緒に
城に行かなければならない。
着替えを済ませて食堂に入る。
「おはようございます。アルス様。時間もそれほどございませんので、軽い食事を用意しております。」
執事のジョハンに勧められて席に着く。
食事は、野菜と燻製肉のサンドウィッチと果実を絞ったジュースが出された。
リリーは相変わらず果物の盛り合わせを食べている。
「アンジェとマリアは?」
「すでに食事を済まされ、出発の準備をされています。」
「そう。」
さっと食事を済ませてくつろいでいると、アンジェとマリアが入ってきた。
「アーくん、おはよう。もう準備できてる?」
「おはよう、アンジェ、マリア。もう準備はできてるよ。」
「それじゃあ、すぐにお城に向かいましょ。あまり遅くなると人混みで入城するのが大変になるから。」
「うん、そうしようか。リリー行くよ。」
今日は城には歩きではなく、馬車で行く事になった。
それというのも正門前には多くの人がいて、
とても正面から入ることはできそうになかったからだ。
馬車を使って、離れた裏門から城に入ることとなった。
そして控えの間に入るころには、開始30分ほど前になっていた。
「俺たちは特に何もすることはないよね。」
確認のため、アンジェに訊ねる。
「ええ、私たちは後ろに控えているだけよ。」
すると、扉が開き、モルガン公爵とファーン伯爵が入ってきた。
「今日はよろしく頼む。」
モルガン公爵はそう言って挨拶をしてきた。
彼らと挨拶を交わしているとアメリア女王も入室してきた。
そこで再び挨拶をしていると、鐘が再び鳴り響いてきた。
「時間ですね。参りましょうか。」
アメリアの後に続き、城のバルコニーへ向かった。
バルコニーに出ると、城の広場にはこれほどの人がどこにいたのかというくらい
人でごった返していた。
鐘が止むとアメリア女王はバルコニーの前に進み出た。
「親愛なる市民の皆さん。今日この場を持って、新しいパルーアの始まりとなります。これから先の時代、我々一人一人が立場を超えて一丸となってこのパルーアを守っていく、それが新生パルーアとなります。今日この場で新たにこの国の守護を担当する守護伯爵の選定を行います。この守護のペンダントに選ばれた者は本日より守護伯爵の地位を与えるものとします。受け取った者は速やかに登城をしてほしい。もちろん、強要はしません。だが、誇りあるパルーアの市民ならば必ず集まってもらえるものと信じています。集まった者たちと任命について話し合い、任命に支障がある場合は、次の候補を立てる事も申し渡しておきます。任命された守護伯爵には相応の待遇と義務が課せられることとなるでしょう。共にパルーアの未来を作っていこうではありませんか。」
広場から、歓声が聞こえてくる。
この内容については、あらかじめ、市民には伝えられている。
それが女王の口から直接語られることで、市民も安心できるというものだ。
「それでは始めましょう。」
アメリア女王はペンダントを掲げて凛とした声で言った。
「ペンダントよ。この国を守護せし者の元へ。新たなパルーアの守護者たちに祝福あれ。」
ペンダントは一瞬まばゆい光を放ち、街の四方へ飛び去った。
10個のペンダントの内、4つが広場の中へ飛んで行った。
それを見た騎士の格好をした者たちが馬車と共に城外へと走り出していた。
広場ではどよめきと歓声が入り混じったような声が響き渡る。
そこへ、城の衛兵が近づいていく。
ペンダントが渡った時点で、その者が害されることはないが、
念のため急ぎ保護しなければならない。
「あとは任せて、一旦下がりましょう。」
その後、控えの間にて休憩を取り、玉座の間に向かった。
2時間とかからず、全員が集まったようである。
「皆さん、よくお集まりくださいました。顔を上げてください。」
集まった10人が顔を上げる。
集まった人の中の2人は貴族のようである。
その貴族の内一人が一歩前に出て挨拶をしてきた。
「私はブロウ子爵家次男のベルガモットと申します。女王陛下。」
そう言って一歩下がって元の位置に戻った。
そしてその隣と順に自己紹介が始まった。
「ケンドル男爵家長男のジェイムスと申します。女王陛下。」
「ゴドーと言います。衛兵をしております。女王陛下様。」
「マチルダと言います。飲食店で働いてます。女王陛下様。」
「ビリーと申します。教会の司教を務めております。女王陛下。」
「ノートンと申します。同じ教会で見習いをしております。女王陛下。」
「ミリアといいます。えーと、家で家事を手伝ってます。女王陛下様。」
「フリークと言います。調理員として働いてます。女王陛下様。」
「ドルクです。そのう、工事とかで仕事をしてます。女王陛下様。」
「ケイトと言います。裁縫の仕事をしてます。女王陛下様。」
2人の貴族以外は平民のようだ。
少し疑問に思って、マリアに小声で訊いた。
「ねえ、マリア。なんでこんなに平民が多いのかな。魔術師部隊の人や騎士の人で大半を占めると思ってたんだけど。」
「そうですね。たぶん、魔力量ではなくてMP量で決められたからではないですか。」
「MPとしても魔術師のほうが絶対的に多いよね。」
「それはそうですけど。もしかしたら研修派遣のせいかもしれないですね。」
「研修派遣?」
「話したことなかったですね。パルーアでは魔術師も騎士も定期的に外国に研修に出るのですよ。例えば就任後1年経つと初任研修としてジュノー王国の冒険者ギルドに登録してEランクになる事。これはモンスターと実戦経験を積むために行われます。そのため、最低でも1年、最長で2年国外で暮らすことになるわ。これがクリアできないとそのまま除隊となるのよ。そのあと、任期6年以上になると、ダンジョン研修に出るわ。これはダンジョンの事を知るためですけど、教官と一緒にダンジョンに潜るわ。これは大体3か月くらいかかるかしら。だから、ペンダントの所有者になる10年以上の国内で暮らしている者という条件から外れるんだと思うわ。だって、そうでなければ、私やアンジェが選ばれる可能性が高いからね。」
「そうか、あの10年以上ってのは、ちょっと条件として微妙だったかな。」
「そうでもないわよ。10年未満だと外国人も対象になってしまうもの。10年以上帰らない外国人はもはや国民と大差ないわね。」
「それだったら、なんで貴族は選ばれないんだ?」
「貴族だからって別にMPが多いとは限らないわよ。そもそも貴族だと魔力は高い傾向にあるようだけど、MPを使うようなことをしないでしょうから逆にMPは低いと思うわよ。それよりも毎日生活魔法を使っている平民のほうがMP自体は多いのではないかしら。それに最近の流行は魔道具を使用する事がステイタスみたいな流れだから、自身のMPを使う人も減っているのではないかしらね。それと、この国には冒険者もいないからそういった者も選ばれることはないしね。あと、これは内緒だけど、要職についている貴族はあらかじめMPの量を調べているのよ。そして、面談した上で辞退してもらってるわ。つまり、女王が先に罷免しているのよ。」
「は?先に罷免って、そんなのあり?」
「だって、罷免の条件は特にないんでしょ。」
「もしかして、アンジェとマリアの面談ってそれの事?」
「そうよ。」
「それならそうと、先に教えてくれてもいいのに。」
「ごめんね。アメリアがどうしても内緒でってきかないから。」
俺とマリアが話している間にアメリアは守護伯爵候補者たちに
待遇面や義務の内容などを説明していた。
「ビリー司教はそれでよろしいのでしょうか。」
「はい。私の下に優秀な司祭がおりますから、その者に後を委ねて問題ないと思っております。」
「それなら良いのです。」
「あの、女王陛下様、よろしいでしょうか。」
「ええ、どうぞ。」
手を挙げて質問してきたのはミリアだった。
「私の家に体の不自由な祖母がいます。今まで私が主に面倒を見てきたんですけど、他の家族は働きに出ていて私がいないと面倒を見る人がいなくなってしまうんですけど。」
「では、辞退しますか。」
「いえ、あの、私自身はすごくやりがいがあってぜひやってみたいと思うんですけど、家族がどう思うか、それが心配で。」
「では、こういうのはどうでしょうか。ミリアさんの働きには当然お給金がでます。介助の方を雇うというのはどうでしょうか。それを補うだけの給金は出ると思いますが。」
「でも、どうやって介助をしてくれる方を探せばいいのでしょうか。」
「それについては、後ほど専門の者に説明させましょう。」
「ありがとうございます。女王陛下様。」
「他にお困りの方はいないようですし、今回全員がお受けいただいて感謝しています。では、別室で今後の事を確認してください。」
その様なやり取りが行われていた間、俺は全員のステイタスを鑑定していた。
能力値やHPに関しては兵士や冒険者と比べるとかなり見劣りする感じだが、
逆にMPだけはかなりいい線をいっていると感じた。
新たな守護伯爵たちが別室へ行った後、今度は俺が呼ばれる番になった。
「アルス名誉侯爵」
「はっ」
アメリア女王の前で片膝をつく。
「アルス名誉侯爵に兵250を預けます。これをもってアクアン市を奪還し、防衛拠点を築いて下さい。」
「謹んで拝命いたします。」
ざわざわざわ。
同席していた貴族たちから、どよめきが起こった。
貴族であればアクアン市がどのような状況になっているかは
耳にしているだろう。
そしてそれをたった250の兵だけで奪還せよとの命令だ。
普通に考えれば死んで来いと同義の命令に聞こえただろう。
「では、この後守護伯爵のお披露目会と出発する部隊の壮行会を行います。貴族諸氏にあっては今回新たな守護伯爵は平民出身の者もいることを十分配慮する事を願います。では、解散。」
貴族たちがゾロゾロと玉座の間から出ていく。
俺達もアンジェとマリアと一緒に壮行会の会場まで一緒に行った。
会場ではすでに貴族のほかに兵士250名とその関係者が揃っていた。
今回は人数も多いので立食形式で行われるようだ。
「アルス殿。ペガサスライダー隊隊長のハージェです。いつぞやは助かりました。」
近づいてきたのは、確かペガサスライダーの隊長を務めている
ハージェという騎士だ。
「いえいえ、無事で何よりです。」
「今回、私から皆を紹介するよう言われましたので、部隊の面々を紹介させてください。」
面々を紹介ってまさか250人全員ってことないだろうな。
一瞬ひきつった顔が出てしまったのだろうか。
「ははは、面々と言っても隊長クラスの者だけですので、ご安心を。」
そう言って、まず来たのはペガサスライダー5名だ。
このペガサスライダーは部隊というより単独で行動するのが
前提のようである。
主な役割は上空からの偵察と上空からの遠距離攻撃になる。
主武装は弓で他にはジャベリンの投擲による攻撃も得意としている。
そして、魔術師ほどではないにしても攻撃魔法が使えるが
レベル1の攻撃魔法だけだ。
イメージ的には槍や剣で戦うイメージがあるが、
それだと飛行しているメリットを消してしまい、
普通の騎馬と大して変わらないどころか
貴重なペガサスを失い可能性が高い。
それに剣を振ってもペガサスの羽が邪魔で
剣より先に羽が当たってしまうだろう。
つまり、近接戦闘はナンセンスなのだ。
次に来たのは、魔術師の隊長とその部下9人だ。
魔術レベルは隊長以外は全員レベル2までだが、
魔力やMPはそれなりに優秀らしい。
魔力が大きいので、同じ魔法でもペガサスライダーと比べれば、
威力も使用回数も優れている。
隊長に至ってはレベル3の魔法が使えるとの事だが、
MPの消費が大きいので1~2回が限度らしい。
集団戦では手数のほうが重要のようで滅多に使わないとの事だ。
次に来たのは弓兵、槍兵、歩兵、騎兵の隊長たちだ。
名前の通り、弓兵は弓を、槍兵は槍を、歩兵は剣と盾を、
騎兵は馬に騎乗して戦う戦士たちだ。
弓兵と槍兵の武器は全員同じものを使用しているらしいが、
騎兵と歩兵は装備はバラバラらしい。
騎兵の場合は剣や槍をメインにしている。
歩兵は片手剣と盾というのが基本らしいが、中には盾を持たずに
両手剣を持っている者、メイスやフレイルといった
鈍器を装備している者などや斧で戦う者もいるようだ。
要は槍以外の装備で戦う者たちの集団と考えてよいみたいだ。
今回騎兵の数が少ないのは、騎兵の攻撃力は
それほど高くはないというのもある。
騎兵の強みは突進力と機動力だ。
それに騎兵は物資をより多く消費してしまう事も問題だ。
馬用の飼葉や水も人のそれと比べると非常に量が多いし、
運搬にも手間がかかるからだ。
だがそれでもメリットもある。
騎兵の機動力で陽動や援護、伝令と幅広く使える。
最後に挨拶に来たのは、諜報部隊の隊長と後方支援の部隊長だ。
諜報部隊は偵察、伝令、潜入など特殊な技術を身につけた者たちで
逆に10人では少ない気がするくらいだ。
後方支援部隊は文字どおり、後方支援で、食事の準備や野営の準備、
物資の輸送など部隊の生命線となる部隊だ。
敵地近くで火を焚いての食事は問題だが、
近づくまでの間、温かい食事を取れるか取れないかは
兵たちの士気に係わるほど影響が高い。
特に今回は相手の数が想定でもこちらを上回っているのだから尚更だ。
それぞれの隊長たちと顔合わせを終えると、
今度は隊長たち以外の兵たちに囲まれてしまった。
先の戦闘で俺の戦いを見て興奮した者や結果として助けられた者など
大勢にあれやこれやとハチャメチャな状態になってしまった。
場内があまりにも収拾がつかなくなりそうになったので、
隊長たちが引きはがすのに骨を折ることになった。
ようやくひと段落したところで、
アンジェとマリアとモルガン公爵がやってきた。
さすがに高位貴族が近くにいると誰も近づいてこなくなった。
「ずいぶん人気者ね。アーくん。」
「この間の防衛線では大活躍みたいだったらしいわね。」
「儂も部下から聞いたが、兵たちの間では英雄を通り越して戦の神の申し子とまで言っている者もいたそうだぞ。」
「勘弁してくださいよ。」
「でも、良かったじゃない。面従腹背されるよりは、よっぽど率い甲斐があるわよ。」
「うん。そうね。士気も十分高そうだし。」
「兵たちの間ではアルスがいれば、敵が10倍でも100人力、いや千人力だと評判だぞ。」
「たしかに戦闘ではそれほど心配はしてないけど、今回の目的はアクアン市の拠点化ですからね。街中の掃討作戦や拠点防衛の施設の構築と防衛、そっちの方が心配の種は尽きないよ。」
「その件なんだがな。こちらで人工の手配を進めておる。南に逃げた難民がおろう。その一部をアクアン市へ移動させるよう手配しておる。それと先日打ち合わせた資材の方も何とかなりそうだ。明日の出発までには間に合わせよう。」
「助かります。モルガン公爵。」
「なんにしても、今日は美味いものを食って英気を養ってくれ。」
そう言って、モルガン公爵は離れていった。
その一方で守護伯爵たちは貴族たちを中心に囲まれていた。
何せ、今後彼らの活躍次第で自分たちの安全がより強固なものになるのだ。
中には快く思わないものもいたかもしれないが、
前回の防衛線でも下手をすれば敗戦していた可能性は
誰の目を見ても明らかであったし、
次に同じ規模の戦闘が起これば、間違いなく敗退すると誰もが思っている。
それが守護伯爵たちの魔力供給で助かるのならば多少の矜持など
吹き飛んでしまうほどだ。
それに、これまでの度重なる戦闘で貴族の数も大きく減少している。
戦時前と比べればおよそ5分の1になっていたのだ。
このままでは貴族の存在意義が薄れてしまうのではないかという
危惧を感じていたのかもしれない。
それと女王からも釘を刺されたことで、
披露会と壮行会は平穏無事に執り行われた。
壮行会も終え、アンジェとマリアと一緒に帰路につく。
もう間もなくすれば、夕方になろうという時間だ。
「明日からしばらく会えないから、この後は一緒に過ごさない。」
マリアが帰り道で提案する。
「そうだね。お腹もいっぱいで夕食も入りそうにないから別にいいんじゃないかな。」
「じゃあ、戻ったらアーくんの部屋で寛ぎましょ。お茶と軽くつまめるものを用意してもらうわね。」
館へ戻り、ラフな服に着替え、ベッドに寝転がる。
今日は精神的に疲れたなあ。あんなに人に囲まれるのは久しぶりというか
初めてというか、少なくともこの世界では初めてだったな。
でも嫌な疲れじゃない。
目を閉じるとウトウトとしはじめる。
コンコン。
「アーくん、入るわよ。」
その声に起きる。どうやら少し眠ってしまっていたようだ。
「どうぞ。」
扉があくと、アンジェとマリアが入ってきた。
手には色々と持って。
「籠る気満々だね。」
大きな籠の中には菓子やらサンドウィッチが入っていて、飲み物が入った瓶。
マリアは何かの箱と袋を持ってきていた。
ベッドの前にテーブルを引き寄せて、アンジェの持ってきた食べ物を置く。
「マリア、その箱は何?」
「これ?ちょっと試しに使ってみようかと。」
「お香?」
箱から出してセッティングしているのを見て訊ねる。
「そう。疲れた時に使うといいよって勧められたの。」
箱の蓋の裏に書かれた手書きの説明書みたいなものを見ながら香を焚く。
どうやらマリアも初めて使うみたいだ。
香を焚くとほんのり甘い匂いがしてきた。
3人でベッドの上で他愛ない話をする事、数時間、
楽しいひと時を過ごしていたのだが、
アンジェとマリアを見ると何故かドキドキしている自分に気づく。
正直、性的欲求はなくはないが、それほど強くもない。
それが何故だか今日はとにかく2人を抱きしめたいという
衝動に駆られている。
2人も妙に艶めかしく、目をとろんとさせている。
「ねぇ、アーくん。しばらく会えないし、今日はいいでしょ。」
そういって、アンジェがすり寄ってくる。
思考がうまく働かない中でマリアに訊ねた。
「あのお香は何?」
「んん、なんでも夫婦生活の営みに最適って言ってたよぅ。」
答えるマリアの口調もいつもと違う甘えたような口調になっていた。
「それよりも。」
そう言ってマリアは飛びついてきた。
夫婦生活の営みって、もしかして、あれか媚薬的な何かか。
とはいえ、自分でも求めているのが止められない。
そのあとの事は、靄のかかったような意識の中で、
気づいたのは朝になってからだった。




