202X年大阪への旅
新雀が黙ると、今度は老女が怒り出した。玲於奈へ近寄る。
「事情を説明しなさいって言ってるでしょう?それじゃ、何の説明にもなりませんね」
「詳しい事情はさきほど話したとおりです。どうか、エスガー・ウマル・ポー様も、ご席に座っていただけますか。立ったままではさぞ大変でしょう」
「余計なお世話です」とぷいと顔を横にそむけて、エスガーという名の老女は食堂の席に座った。
新雀とエスガーの恐ろしい剣幕に、何もできずにいたサニーだったが、二人が黙ったのを機に割り込んだ。
「失礼ですけど、予定が変更になった理由は何ですか?」
サニーの質問に対して、玲於奈はしどろもどろに答えた。「それは……その、運行上の障害がありまして――」
「あたしたちは警察のものです。ぜんぶ話してもらえませんか」と、すかさず、サニーは胸ポケットからマジカル身分証を取り出して、彼女へ示した。
それを見た玲於奈は目を丸くした。
「何なのです?その四角や丸の記号が書かれたカードは?」
新雀とエスガーも、わけが分からず、きょとんとした様子だった。
サニーは「失礼しました」と言って、別の自分の警察手帳を見せた。「これで信じてもらえますね?」
「わかりました」
玲於奈はため息をついて、何かを決意したかのように、唇をきゅっと結んだ。
「サニーさん。今、我々が置かれている事情を説明いたしましょう。昨日、うちの乗員一人が行方不明になったのはご存知でしょう」
「――東都湖 公太郎さんですね。彼はまだ見つかっていないんですか?」
「ええ、昨夜から見つかっていないのです。他の乗員たちと夜中じゅう、あちこちを探し回りました。けれども、煙になったかのように、姿かたちが全く発見できなかったのです。そのため、困った事態が起こりました。この汎用列車型決戦兵器が止まらなくなったのです」
玲於奈の話を聞いたサニーは、アゴに手を当てた。何か、考え事をしているらしい。
サニーに代わり、好子が片手を上げて、質問した。「あのう。さっぱり、わかりません。玲於奈さん。結局、その消えた公太郎さんはどういう仕事をしている人間なのでしょうか?今のお話だと、彼は何か重要なことを任されているような感じですが」
「彼は――」と玲於奈は一瞬、言葉に詰まった。「東都湖 公太郎は汎用列車型決戦兵器、疾風怒濤の運転手なのです。現在、この兵器は彼に代わり人工知能が自動運転をしています」




