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魔法少女警察24時  作者: 村上玄太郎
第三章 汎用列車型決戦兵器「疾風怒濤」殺人事件

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カギのかかった小部屋

 40センチメートル以上もあるガラスの闘争《ゲバルト》棒は、大きくて置き場所に困る。

 そんな邪魔なガラスの闘争棒を見て、好子はこう感想をぽつりと言った。

「ひょっとして、私、アームド先輩に嫌われているんでしょうか?」

「ひょっとするも何も、殺意の感じられる魔法道具ばっかりじゃない。ジーパン、あんた、絶対、恨みを買っているよ。思い当たる節《ふし》はないの?」とサニーが問うた。

「……そういえば、この前、魔法機動隊のお仕事で、ヤクザの事務所に討ち入りするアームド先輩を見かけたんです。そのとき、『がんばれ、アームド・レディ先輩!』と応援するつもりが、『がんばれ、カーマ―ド・レミィ先輩!』と先輩の本名をさらっと言っちゃったんですよ」


 麗美の本名は竈《かまど》 麗美《れみ》である。

 本名を書けば、命を奪うマジカル死帳というものがある。魔法少女の戦いにおいて、本名を敵に知られるのは、致命的なことだった。

「それ、相当、アームド先輩を怒らせているんじゃない?」とサニーは言った。

 好子は肩を落とした。「いずれ、私も、アームド先輩にコンクリート詰めされた挙句《あげく》、広島湾へ突き落されたヤクザたちと同じ運命をたどるのでしょう……」


 念のため、サニーと好子は、麗美からもらった魔法道具を、すぐ使えるよう床に置いておいた。

 二人は寝るための準備をした。


 部屋にはシャワー室があったが、一人専用だった。これでは、襲われたときに二人でキスができない。そこで、二人は洗濯魔法を使って、全身をきれいに洗うことにした。ついでに、服も洗いたかった。

 呪文を唱《とな》えると、巨大なドラム缶型の洗濯機が二人の目の前に現れた。裸になった二人は、服を抱えたまま、そのドラム缶の中へ入りこんだ。じゃぶんと水の音を上げて、二人の体が洗濯機の中を舞う。そのまま、ぐるぐるとドラム缶が回転し始めた。

 魔法のお湯なので、巨大洗濯機の中でおぼれることはない。

「ああ、いいお湯でしたね。きれいになりました」とパジャマを着ながら、すがすがしい気持ちで好子は言った。


「ドライヤーはどこかしら?」とサニーが部屋の中を探し回った。

 好子も髪を乾かすため、ドライヤーを探したが、どこにも見当たらなかった。その最中、部屋のクローゼットの扉を開けようとした。だが、カギがかかっていたため、そこだけ探すことができなかった。


「招魂《しょうこん》魔法を使って、お部屋に聞いてみたらどうですか?先輩?」と好子が聞くと、サニーは首を振った。

「……それがね、試してみたんだけど、招魂魔法が効かないの」

「へえ、不思議ですね」

 招魂魔法とは、物体や建物に魂を宿らせて、人語をしゃべらせるようにする便利な魔法である。便利なので、二人は何度も使ったことがあった。

「魔法が通用しないのは、おそらく、壁に魔法退散フィールドが張りめぐらせてあるせいね。フィールド内部では、物を動かすことができないっぽい。魂を呼び出すこともね。魔法がすべて使えるわけじゃないわけ」

 魔法退散フィールドのせいで、一部の魔法が使えないらしい。

 

 まるで、牢屋《ろうや》みたい。

 そう言いかけて、好子ははたと気づいた。まさに、今、自分たちが置かれている状況が牢屋そのものなのだ。

 外部との連絡もできず、使える魔法は限られていた。事実上、閉じ込められたのではないか。


 ふかふかのベッドに入り込んだ好子は、いろいろと考えてみたが、よい策を何も思いつかなかった。思いつかぬまま、眠りに入った。

 ニセ大学生三人やら、セーラー服を着た侵入者やら、消えた乗員やら、いろいろなことが起きた一日が、こうして終わりを告げた。

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