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魔法少女警察24時  作者: 村上玄太郎
第三章 汎用列車型決戦兵器「疾風怒濤」殺人事件

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ロボットという名の電車

「は?ロボット?今、あたしたちが乗っている汎用《はんよう》列車型決戦兵器が?」とサニーが驚いた。

 初代によれば、11両すべての列車が走りながら人型へ変形するそうである。「この兵器は、魔法少女が襲ってきたとき、ビルと同じくらい巨大なロボットとなって戦うの」

 にわかには信じがたいことだった。

「本当の事なんですか?」と好子が念を押すと、ソフィーは事実だと答えた。


 初代が「なんなら、車掌に聞いてみなさい」と勝ち誇るように言った。

 好子は食堂を見渡した。

「もしかして、全車両が合体するんですか?」

「もちろんよ。この食堂車が足の部分に当たるわ」

「へえ、怖いですね」

 もし、魔法少女がこの兵器に襲いかかってきたときには、真っ先に、食堂車から逃げ出すべきだろうなと、好子はのんきに考えた。


 しかし、それがセーラーサンの事件とどう関係があるのかは、まだわからなかった。

「まさかと思いますが、セーラーサンがこの汎用列車型決戦兵器をねらっているわけではないですよね?」と好子は尋ねた。

 その疑問に答えるように、初代がこう言い放った。「……あのねえ、セーラーサンが襲ってくるわけがないじゃない。この兵器は、魔法に対する防御に優《すぐ》れているのよ。究極魔法である魔法退散フィールドが、兵器の外を覆《おおう》うように張りめぐらされているわ。魔法攻撃も効かないし、魔法で侵入することもできない」


 魔法退散フィールドとは、一種のバリアである。どんな魔法を使っても、このフィールドを自由に出入りできなくなる。また、物を動かす効果もかき消されるのだ。魔法少女を閉じ込めておく刑務所などで使われる。

 ただし、フィールドを発生させるためには、お金以外にも、高価で大型の機械と莫大《ばくだい》なエネルギーが必要となる。そのため、一般には普及していなかった。


「――確かに、その魔法退散フィールドがあれば、魔法で電車を空中へ飛ばされることもなくて安心ですね。つまり、セーラーサンの事件がきっかけで、この兵器が作られたわけですか?」と好子は言った。

「いいえ、作られたのは、事件より前の時期よ」

「そうだったら、セーラーサンの事件と兵器とは無関係じゃないですか」


 初代の話を聞いても、いまいち、何を言いたいのか理解できない。あきらめた好子はソフィーへ話しかけた。

「ホームズさん、どうか、わかりやすく教えてもらえませんか?」

 黙っていたソフィーが口を開いた。

「そうね……。この汎用列車型決戦兵器『疾風怒濤《しっぷうどとう》』が完成したのは、去年のことね。それで、いざ疾風怒濤を在来線で走らせようとしたときに、沿線近くの住人が反対したのは、ご存じかしら?」

「いえ、知りませんでした」

「ならば、教えてさしあげましょう。兵器という理由で、住民は導入を反対した。それで、鉄道会社は二の足を踏んだの。でもね、今年の春、セーラーサンが路面電車を襲ったでしょう。すると、住民は手のひらを返したかのように、疾風怒濤を歓迎した。自分たちの家に、電車が吹っ飛んでくるかもしれないとおびえだしたわけなのよ」

「自分勝手な連中ですね」と好子はあきれた。

「そうね。それに、新幹線爆破未遂事件もあったので、鉄道会社は爆風にも耐えられる兵器を喜んで導入した。だから、この兵器に乗ることができたのは、セーラーサンが事件を起こしてくれたおかげなの。これぞ、災い転じて福となす――ね」

 つまり、セーラーサンのおかげで、住民の反対運動が下火になって、その結果、彼女たちはこの兵器に乗れたというのである。

「なるほど。それはセーラーサンに感謝しなくちゃいけないかもしれませんね――いてっ!」

 サニーが好子の足を踏んだ。

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