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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
拠点(ホーム)

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「脱出:二の幕」 

第8話 「脱出:二の幕」  


~~~~~~~ 盗賊アジト内 牢屋内 ~~~~~~~


牢の一角。

捕らえられた一般人たちの中に鬼族の一団の姿もあった。

焦りや恐怖で取り乱す者も多い中、彼らは落ち着いて現状の整理に努めていた。

もっとも――


鬼族の青年 「お腹空いた……」


青年の緊張感のない声だけは例外だったが。


鬼族の男性 「しかし、よりにもよって島に着いて早々捕まるとはな……」

鬼族の女性 「効率ばかり考えて、到着してすぐ移動したのが失敗だったかしら」


一本角の鬼族の少女は小さく肩を竦める。


鬼族の少女 「前情報だと、ここで盗賊に襲われるなんて予測できなかったもん。

      しょうがないよ」

鬼族の青年 「お腹空いた……」


鬼族の女性「しかし遺物が取られたら街に行く意味もなくなっちゃわない?

      研究や発掘に使う道具も全部取られちゃったわよ?」

鬼族の少女「それも頭が痛いね。でも今取り返す手段がないからな・・・ん?」


少女は牢の中の雰囲気が変わってきているのを感じた。

騒がしくなっているわけではない。

しかし一部の人間が慌ただしく情報を交わしていることに気付いた。


鬼族の女性「どうしたのリューネ?」

リューネ 「ん~~~もしかしたら逃げるチャンスあるのかも?

      みんなちょっと耳貸して?」


リューネは自分の予測を踏まえ、今後の作戦を仲間に伝えていくのであった。


鬼族の青年「お腹空いた……」

・・・1名を除いて。


************************************


ゲオルグ「一仕事終わったんだ!今日は大いに飲むぞ!」

盗賊たち「かんぱ~~~い!」


洞窟内が俄かに騒がしくなる。

ゲオルグは盗賊団のこれからを妄想しながら、酒を呷っていた。


ゲオルグ「(邪魔な先代は始末し、息子も俺の手中・・・

      あとは騎士団伝手に街の有力者の弱みでも握って甘い汁を

      たぁ~~っぷり吸わせていただきますかねぇ・・・)」


自分勝手で我儘な未来を想像し、一人愉悦するゲオルグ。

自分は何をやっても上手くいく。

そんな根拠のない万能感に酔いしれながら、笑いが止まらなくなっていた。


ゲオルグ「(先代を仕留めるチャンスから追い風が吹きっぱなしだな?

      あ~面白れぇ!!)

      おい!野郎ばっかで酒が不味い!牢から何人か女を引っ張ってこい!」

盗賊A  「承知しました!親分!」


ゲオルグ「(もう金にも女にも困らねぇ!義賊なんて糞くらえだ!)

     ガハハハハハッ!」


先々を見る目を曇らせたゲオルグには、自身が破滅に突き進んでいる未来を見通すことが出来ない。

その予兆は間もなく訪れるのであった。



~~~~~~~ 宴会開始の数分前:牢屋にて ~~~~~~~


クルーゼ「っと、開いた!悪ぃ、みんな手間取っちまった!」

義賊A  「良いんでさぁ、若!」

義賊B  「今からやっちまいましょうぜ!」


今にも飛び出しそうな部下たちを前に、クルーゼは静かに口を開いた。


クルーゼ「いや、まず態勢を立て直す。

     巻き込まれた皆さんも逃がさなきゃならない。

     その後は一度山に入り反撃の様子を窺うぞ!」


義賊たちは若干不満を見せるもドノヴァンのひと睨みで静かになる。


クルーゼ「悪ぃな、暴れたい気持ちは俺も一緒だ。

     ゲオルグたちは後でちゃーんと叩き潰す!絶対にな!」


クルーゼの言葉に士気を取り戻す一団。


ドノヴァン「ではこれから行動に移る。

      一般人の皆様方はこちらの冒険者について、静かに避難下さい

      我らは陽動と奪取に分かれて行動開始するぞ!」


ドノヴァンの声かけによって牢屋内は一気に慌ただしくなる。

義賊の一団は持ち場に向けて速やかに移動を開始した。


一般人はカエデを先頭に、遠回りでも安全と思われるルートを使用して避難を開始していく。

そんな中、殿を務めるラウルの元に鬼族の少女が声をかけてきた。


リューネ「あ。船のお節介さんだ。」

ラウル 「んん?お節介さんてなに?」

リューネ「出航前におじさんたちに絡まれてた時に、お節介してきたでしょ?」

ラウル 「あぁ、あの時のチームか!?ってあの後みんなで捕まったの!?」


リューネはこくりと頷く


リューネ「あたしはリューネ。ついでにあなたの足元にある大きなリュック、

     私たちのなんだけど良い?良いよね?持ってく。」

ラウル 「あーキミらのだったか、いーよ、合流するまで持ってくよ」

リューネ「一応礼は言っておくね、お節介さん。

     今度遺物見つけたらお得意様価格で引取ってあげる」

ラウル 「ラウル」

リューネ「??」

ラウル 「俺はお節介さんじゃなくてラウルだよ、リューネさん。

     ここは危ないから早くみんなについて行った方が良いよ?」

リューネ「むぅ・・・またお節介・・・私だってそれなりなんだよ?」


リューネはラウルに大きなトンカチを見せながら、えっへんと胸を張る。

ラウルは思わず視線を逸らそうとして――失敗した。

鬼族特有の露出の多い服装。

そして同世代とは思えないほどの豊かな体つき。


チラッ。

またチラッ。


リューネ 「……ラウル」

ラウル  「はい」

リューネ 「えっち」

ラウル 「ゴゴゴゴゴゴゴメンンン!」


同世代の女の子耐性がないラウルくんは盛大にテンパっていた。

リューネは顔を赤くしながらも、ラウルの肩口に酔っぱらった盗賊がひょっこり顔を覗かせるのを見つける。

リューネはトンカチを片手に盗賊の元へまっすぐと駆けていく。


ラウル 「ちょーーー!?流石にトンカチじゃ分が悪――――」

リューネ「ポチッとな」


柄の内部から金属音が響く。

次の瞬間。折り畳まれていた機構が次々と展開し、トンカチは一瞬で巨大な両手槌へと姿を変えた。


ラウル  「は?」

リューネ「もういっちょポチッ」


槌の後方部分が火を噴き始め、その推力に任せてリューネの身体が急速に1回転する。

酒も入っていて目の前の動きについていけない盗賊は、両手槌の一撃をまともにくらい、遠くの壁まで吹き飛ばされる。


リューネはラウルの方を振り返り、

リューネ「ぶいっ!」と勝利のサインをラウルに送るのであった。

サインに応じようとしたラウルの眼に何かが映る。

次の瞬間、ラウルは急激なスピードでリューネの方向に駆け出し始める。

呆気に取られているリューネに構わずラウルは跳躍し、リューネを飛び越えていく。


リューネ「何!?なにごとなのっ!?」


思考が回らないリューネが振り返ると、先ほどの騒動を訝しんだであろう盗賊が短剣を手に角から飛び出して来るのだった。


ラウル「うらああああぁぁぁぁぁ!」


ラウルは空中で器用に前転すると、踵を盗賊の頭頂部に叩きつけた。


盗賊「・・・。。!??!??」


盗賊は声も上げられないまま、瞬時に昏倒する。

リューネは驚きのあまり声を出すことも出来なかった。

そんな彼女にラウルが手を差し出した。


ラウル「大丈夫?」


優しい声音だった。


リューネ「(トクンッ)――――!?

     だ、大丈夫!何も怪我、してないから平気!」


慌ててお礼を言うリューネだったが混乱は続く


リューネ「(私全然気づかなかったのにどうやって?

     ・・・っていうかさっきの何?何か胸の辺りが変な感じする・・・)」


混乱するリューネの方をよそに、ラウルはリューネをジッと見つめ、真面目な表情のまま半歩近づく。


リューネ「(なになになに!?わかんない!?え?どういう状況!?!?)」


顔を真っ赤にしながら混乱から抜け出せないリューネ。

次の瞬間、ラウルの口から出た言葉は―――


ラウル  「で、何その槌!?  すっげぇぇぇぇ!!  

     どうやって変形してんの!?  なにその機構!!  

     めちゃくちゃかっけぇ!!」

リューネ 「……へ?」


命を助けられて。なんかドキドキして。顔まで熱くなって。

真面目な顔で何を言われるのかと思ったら――

目の前の少年は、自分ではなく槌に夢中だった。


リューネは数秒固まった後、思考を完全に放棄した。

なお当のラウルは、リューネの気持ちに気付くことなく槌に関する質問を続けていたのだった・・・。



次回「脱出:三の幕」


読みづらい場所などありましたらご指摘ください。


もし知りたい設定などありましたら、幕間などで説明できたらと思います。

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